アクアの将来が危うい理由 超人気車が消滅危機!?

アクアがヤリスに吸収!? 背景にはトヨタの戦略も関係

現在、トヨタの販売店はトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4系統が存在するが、東京では図のように4つの販売店を融合する新体制が2019年4月より発足。併せて今後加速する車種再編の動きが、アクアの将来を左右する可能性も

ここにはトヨタの国内市場戦略も絡む。すでに2022~2025年にかけて、4系列の全店ですべてのトヨタ車を扱う方針を打ち出した。これに伴い、日本国内での取り扱い車種を30車種程度に半減させる見通しだ。

全店が全車を扱うなら、ヴォクシー/ノア/エスクァイアといった姉妹車は不要だから廃止され、1車種に絞る。これ以外にもマークXやエスティマなど、設計の古い車種が販売を終えそうだ。この中にアクアが含まれることも考えられる。

ちなみに、全店が全車を扱う方針に関して「全店で全車を買える方が便利だから」といった話も聞かれるが、それは言い訳だ。販売系列はディーラーが特定の車種に専念して、高価格車を丹念に売ったり、入念なサービスで顧客を繋ぎ止めるために開始した。

そもそも「全店で全車を買える方が便利」なら、最初から販売系列は不要だった。こんな話を販売系列の整備に携わった人達が聞いたら怒るだろう。

言い換えれば、高価格車を丹念に売ったり、入念なサービスでユーザーを繋ぎ止めるのが難しくなったから、全店が全車を扱うとも受け取れる。現状ではトヨタ店を閉店するとその地域にクラウンを供給できないが、全店が全車を扱えば、周囲の店舗でカバーできる。

そればかりかトヨタ店とカローラ店が並んでいる場合など、無駄が生じるから、どちらか一方を廃止した方が合理的だ。

トヨタの場合、メーカー資本に依存しない地場資本の販売会社が多いから、店舗の統廃合は簡単ではないが、全店が全車を扱えば販売力の強い方が生き残り、ほかは吸収されたり傘下に置かれる。

日産やホンダもかつては販売系列を設けていたが、景気が後退すると全店で全車を扱うようになった。この影響で両社とも店舗数が減り、日産は2800店舗から前述の2100店舗になった。

少子高齢化や市場の縮小に応じて、さすがのトヨタも販売網を小さくして国内で売る車種数も減らす。アクアもこの流れの中で、ヤリスに統合されると考えられる。

それでも光るアクアの存在意義

2017年の改良で追加されたアクア「クロスオーバー」。今後、ヴィッツ(ヤリス)との棲み分けを考えるうえで、こうした個性的な派生モデルも重要になってくる

ただし、ユーザーとしては、数少ない5ナンバー車の選択肢が減ってしまう。今はヴィッツ(ヤリス)とアクアの違いが曖昧で重複した印象もあるが、もっと個性化すれば、選択の幅が広がるだろう。

具体的には、ヴィッツ(ヤリス)はフィットのように空間効率を高め、全高を立体駐車場を利用しやすい1550mm以下としながら、ファミリーでも使えるコンパクトカーに仕上げる。

アクアは逆に空間効率の優先順位は下げて、現行型以上にダイレクトな運転感覚の5ドアクーペにする。車種の性格を際立たせれば共存できる。

ボディの大きな高価格車を多く揃えてもユーザーメリットは乏しいが、全長4m以下のコンパクトな車種は、ドライバーの高齢化もあって今後はニーズが一層高まる。ヤリスがコンパクトカーの中心車種なら、アクアはスペシャルティ指向、そして、イストのようなSUV風のクロスオーバーモデルも強化したい。

アクアは日本のユーザーにとって、大切な選択肢だから、廃止は慎重に行うべきだ。特に次期カローラは、セダンやワゴンも3ナンバー車になる。5ナンバー車は一層貴重な存在になり、アクアのニーズが今以上に高まることも考えられる。

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

終売が報じられたマツダ6はこのまま終わるのか? 否!! 次期型は和製BMW3シリーズといえるような魅力度を増して帰ってくる!? 注目情報マシマシなベストカー4月26日号、発売中!