【国民車カローラも3ナンバーへ】狭い日本 そんなにクルマの全幅を大きくしてどうする?

■紆余曲折を経たクラス変更/ホンダシビック

1972年に登場した初代シビックは全幅1505mmとさすがに現行N‐BOXの全幅1475mmよりは広い

 対して、ホンダあるいは日本車の代表的なベーシックカーである(あった、というべきか?)シビックの寸法は、外的な要因に左右されているように思える。

 1972年に誕生した初代の全幅は1505mm、2代目が1580mm、3代目では3ドア:1630mm、4ドア:1625~1630mm、1987年登場の4代目でも全幅は3ドア:1670~1680mm、4ドア:1690mmとなり、5代目には1695mmとなって5ナンバー枠ギリギリのサイズとなった。

 節目となったのは、2005年登場の8代目から日本市場では4ドアセダンのみの設定となったことだ。

2005年に登場した8代目シビックは、日本では5ドアハッチバックが廃止され、4ドアセダンのみとなった(写真はタイプR)。ボディサイズは全長4540×全幅1750×全高1440mm

 全幅が1750~1755mmとコンパクトクラスといえなくなったことには、初代フィットがコンパクトな5ドアハッチバックとして2001年に登場したことを受けて、ボディサイズの拡大に踏み切ったことが窺われる。

 ちなみに、2001年に誕生したフィットは、全幅が1675mmと日本市場を特に念頭に置いていないかのような設定だったが、2007年の2代目では1695mmと明確に5ナンバーを意識したものとなり、2013年の3代目も変化していない。

 日本市場のラインナップから外れた9代目(全幅:1770mm)は3ドアの「タイプR」のみが輸入された。

 セダン/ハッチバック/クーペを共通のプラットフォームとして開発された現行の10代目では、全幅は1800mmに達していることを見ても、フィットの位置づけがシビックのミドルクラスへの移行を促したといえる。まさに5ナンバー、3ナンバーと、サイズに翻弄された代表的なクルマだった。

■ミニバンとセダンの5ナンバー攻防戦

セレナはハイウェイスター、e-POWERハイウェイスターが全幅1740mmでそれ以外のグレードは1695mm
セレナはハイウェイスター、e-POWERハイウェイスターが全幅1740mmでそれ以外のグレードは1695mm

 5ナンバーモデルの価値と位置づけが変わっていることは、たとえば全幅だけを見ても理解できる。

 コンパクトカーのヴィッツは1695mm、フィットのセダン仕様であるグレイスなどが数少ないモデルだが、忘れてはならないのは5ナンバーミニバンの存在だ。

 たとえば、売れ筋のステップワゴンやノア/ヴォクシー(一部は3ナンバー)、シエンタ、フリードは1695mmの全幅を保っている。

 すなわち、庶民の味方としての5ナンバーセダンの領域にコンパクトミニバンが入ってきたことで、5ナンバーモデルの位置づけが変わっていったのだ。

■グローバル化に伴い、全幅は1800mmを超えるのが当たり前に

 さて、今後、クルマの全幅はどのように変化していくのだろうか?

 もちろん、こうした全幅(ボディサイズ)の拡大は、グローバルな対衝突安全性強化とプラットフォームを含むボディの共通化によるもので、無駄なく数を作ることに傾注してきているためだ。

 こうしたことから、これからも世界で売るクルマはモデルチェンジするたびに大きくなるのは避けられない。特に日本車メーカーはそれが顕著だ。

 ただし、日本市場を重視した5ナンバーミニバンやコンパクトカーは全幅1695mmを今後も死守していくだろうし、クラウンも1800mmをそう大きく超えることはないだろう。

 でも全幅が拡大する一方かというとそうでもない。例えば、新型マツダ3。全幅を現行アクセラ1795mm→1797mmと若干の拡大にとどまっている。

 どうやら全幅1800~1830mmというのが指標となりそうだ。1800mmを超えていなければ日本市場を意識している、ということになるだろうか。

 欧州DセグメントのBMW3シリーズも先代の1800mm(日本仕様)→全幅1825mmと全幅を拡大したものの、劇的な変化ではなかった。

 欧州車と日本車のセダンの全幅を見ると、CクラスやBMW3シリーズ、レクサスISなどのDセグメントで1810~1840mm、Eクラスや5シリーズ、アウディA6などのEセグメントで1850~1885mm、その上となるとSクラスが1900~1915mm、7シリーズが1900mm、レクサスLSが1900mmという感じで、1900mm前後で落ち着いている。

■全幅一覧
●Cセグメント/ベンツAクラス:1800mm、VWゴルフ:1800mm(新型が2019年登場予定)、BMW1シリーズ:1765mm(新型が2019年登場予定)
●Dセグメント/ベンツCクラス:1810mm、BMW3シリーズ:1825mm、アウディA4:1840mm、レクサスIS:1810mm
●Eセグメント/ベンツEクラス:1850mm、BMW5シリーズ:1870mm、アウディA6:1885mm、レクサスGS:1840mm、レクサスES:1865mm
●Fセグメント/ベンツSクラス:1900~1915mm、BMW7シリーズ:1900mm、アウディA8:1945mm、レクサスLS:1900mm

 アウディがここに来て全幅が拡大傾向にあるが、突出しているのがボルボだ。XC40は全幅1875mm、XC60にいたっては全幅1900mmと、クラスを超えてきた。

 こうした例外を除けば、もう全幅の拡大は限界に来ているのではないだろうか。原点回帰ではないけれど、各メーカーは一度立ち止まって全幅をこれ以上拡大しないでほしいと切に願う。

最近のボルボ車は全幅がほかのメーカーと比べると異様にワイド。世界的に大ブームとなっているSUVにおいて、ややもすると大ヒットしているボルボに追従して全幅クラスレス化が進むかもしれない

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