トラックに線路走行用の鉄輪を搭載し、道路も線路も走れる軌陸車は、一般的に鉄道保線・電車線工事用などに用いられています。
その軌陸車を、最大地上高12.1mのバケットを備える高所作業車に仕立てたアイチコーポレーションの「LK12C1FN」は、さらに車両総重量7.5トン未満も達成。準中型免許で運転できる、コンパクトで高機能な特殊作業車に注目です。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/アイチコーポレーション
準中型免許で運転できる高機能な軌陸両用高所作業車
●画像本文1
5月12日に発売されたアイチコーポレーションの軌陸両用高所作業車「LK12C1FN」は、最大地上高12.1メートルのバケットを備えながら、架装を含む車両総重量7.5トンを実現した。
これにより「準中型」自動車免許で運転可能となり、より多くの人が運転できるため、現場作業の効率化に貢献する。
また、高所作業用バケットのブームの軽量化により、全周同一の作業範囲を確保した。特に使用頻度の高い側方領域のアプローチエリアを拡大することで、作業効率の向上に寄与する。
さらに新機能の転車板格納アシスト装置を標準装備した。軌陸車は踏切などで線路・道路に車両を載退させる際、車両を回転させる必要がある。そのための装置を「転車台」という。
転車板格納アシスト装置の標準装備により転車台の設置や格納の際にスイッチ操作で転車板の向きを調整することが可能になった。従来のように車両の下を覗きこみながら専用回転棒を使う必要がなく、挟まれ/巻き込まれリスクを低減したほか、載退線作業の時間短縮が可能となる。
対応する軌間(線路の幅)は狭軌(1067mm)・標準軌(1435mm)両用仕様で、現場の線路幅に合わせて鉄輪幅の切替えが可能な機構を標準装備している。油圧動力で操作を行なうため、こちらも省力化に寄与する。
鉄輪走行モーターを改良したことで、新幹線が在来線に乗り入れている「新在線」にも対応した。これは駐車ブレーキを他箇所に移設したことでモーターサイズを縮小し、新在線における車両限界の内側に納まる構造を実現したことによるもの。これにより、より多くの現場での活用が可能になった。
鉄輪の構造として、絶縁体を鉄輪本体に埋め込む新構造の絶縁鉄輪を採用。左右レール間の絶縁性能を確保するための拭き取り作業を簡単かつ効率よく行なうことができる(スイッチで「絶縁/短絡モード」の切替が可能)。
(ちなみに従来機では鉄輪自体に絶縁性能はなく、接合部に絶縁材を入れて電流遮断していた)
そのほか、緊急格納操作時に専用ホース接続が必要な油圧投入口を集中配置し、専用ホースのつけ替えがやりやすく、迅速な緊急格納を可能とした。また、昇降ステップを等間隔に配置することで踏み外しリスクを低減し、三点支持の体勢を取りやすくするための手すりを配置することで、地上~作業床までの安全な昇降に寄与する。
主要諸元は、作業床最大地上高12.1m、最大作業半径10.1m、車両最大積載重量200kg(ウインチ仕様の場合150kg)。消費税込み標準価格は6710万円だ。
【画像ギャラリー】アイチコーポレーションの新型軌陸両用高所作業車を画像でチェック!(5枚)画像ギャラリー