■レクサスRXの販売はレクサスブランドの限界を示していた
ところが前述のように売れ行きが伸び悩むと、取り扱い車種を限定してはいられない。そこで2009年1月にレクサスRXを発売した。
RXは前輪駆動をベースにした上級SUVだから「日本のレクサスは後輪駆動のセダン」というそれまでのコンセプトを覆す車種だった。
また従来の流れでは、日本版のセルシオやアリストを廃止して、フルモデルチェンジされたグローバルモデルのレクサスLSやGSを導入していたが、RXでは対応が異なった。
従来型RXとなる日本版のハリアーを継続販売しながら、新型のレクサスRXも発売した。つまり新旧併売で、レクサスRXと、日本版だったハリアーを分離して独立させたわけだ。
これはレクサスブランドの限界を意味していた。レクサスRXでは売れ行きを伸ばすのが難しく、トヨペット店の要望もあって、2003年に登場した設計の古い2代目ハリアーを残したからだ。その後2013年まで販売され、現行ハリアーに切り替わった。
■車種を拡大し2010年には開業時の1.6倍に売れ行きを延ばした
2009年には前輪駆動セダンのレクサスHS、2011年には同じく前輪駆動で、ハイブリッドのみを搭載するミドルサイズハッチバックのレクサスCTを加えている。
2014年にはRXよりもコンパクトなミドルサイズSUVのNXも登場して、流行に沿った幅広いバリエーション展開になった。
その結果、2010年におけるレクサスの国内販売は約3万5000台、2015年は約4万8000台に増えて、開業直後の2万5000~3万台に比べると、1.6倍以上に売れ行きを伸ばした。
■国内ではメルセデスの販売台数にまだ届いていない
この後、2017年にLSが現行型にフルモデルチェンジを行い、2018年には前輪駆動セダンのES、コンパクトな前輪駆動SUVのUXも加わった。これらの相乗効果もあり、2018年のレクサスの国内登録台数は約5万5000台になった。
ただしメルセデスベンツの売れ行きには、いまだに届いていない。メルセデスベンツは2018年に、約6万8000台を登録したからだ。BMWも約5万1000台で、レクサスに迫っている。
近年のメルセデスベンツやBMWは、SUVを中心に車種を増やして、セダンだけでなく幅広いカテゴリーで日本の上級車市場を浸食している。
■トヨタと販売会社から見ると「成功」
この状況から、日本におけるレクサスの成否を判断すると、2つのとらえ方ができるだろう。
まずトヨタと販売会社にとっては、登録台数でメルセデスベンツに負けているものの、成功していると判断できる。
海外向けに開発した高価格のレクサス車を、ほとんど値引きもせず、1年間に5万台以上も売っているからだ。
店舗のコストなどは高いが、トヨタブランドを含めて日本車全体が低価格化している状況を考えると、レクサスはかなりオイシイ商売だ。
実際、車両販売に伴う1店舗当たりの利益という見方をすると、日本車の販売店ではレクサスが突出して高い。
ちなみに2位はスバルになる。スバルも価格が比較的高い車種が中心で、店舗数は460店舗前後しかない。賢い商売をしているが、レクサスはそれ以上だ。
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