日本は自動車大国 なのになぜ旧車を大事にしないのか?

ドイツには30年以上前の旧車対象の優遇措置がある

 日本の自動車関連の税金の高さには怒りを通り越して諦めムードを感じているが、欧州諸国のヒストリックカーへの優遇措置があると聞いた時には、日本はなんてひどい国なんだと溜息が出た。

 スイスにはコレクターズナンバーというものがあり、クラシックカーの保護にあたっている。クラシックカーの定義としては、30年以上前のコンディションのいいクルマであること。また年間2000マイル以内、一般車両の車検は2年だが6年ごとの車検となっている。1枚のコレクターズナンバーに対して最低3台保有することが条件で最大20台のクルマが登録できるという。さらにおもしろいのは税金や保険は排気量の一番大きいクルマに課せられることだ。

 イギリスでは以前は25年以上前のクルマが対象だったが、現在では1973年以前のクルマに税金が免除される優遇制度がある。毎年車検は必要だが、乗る期間と乗らない期間、置き場所を申請するSCRNというシステムで、乗る期間だけ税金を支払うというもの。

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 ドイツでも隣国スイスに習って、ヒストリックカーの優遇税制を実施している。どういう制度なのか、ドイツ在住のコラムニスト、シュペネマン和人氏に聞いた。

 「ドイツの自動車税に関してですが、自動車の古さとは一切関係ありません。基本、エンジンの形態、ガソリンエンジンかディーゼルエンジン、そして排気量、CO放出量、キャタライザーの装備等(どのユーロ規制をクリアしているか)が左右します。

 例えば、3ℓのガソリンエンジンでユーロ4をクリアしていれば、’01年式であっても’09年式であっても同じ税率で約200ユーロ(約2万7200円。※1ユーロ=136円)、ディーゼルエンジンだと約450ユーロ(約6万円)

 続いて、’97年に始まったヒストリックナンバーという制度です。自動車はドイツの主幹産業であり、自動車は建物やその他の芸術品と同じく、文化遺産として保護すべきという考えから誕生した制度です。

 30年以上古いクルマで、オリジナルの状態でレストアされている車両は、自動車のナンバープレートの数字表記の右端にH(ヒストリックのH)を申請することができます。TÜV(技術検査協会)で認定が取れると、一律に排気量に関係なく自動車税が191・71ユーロ(約2万6000円)と一定額になり、強制保険を含む自動車保険も減額されます。

 こうした優遇を受け、’97年には約1万3500台だったHナンバー車は’13年には約20倍の28万5000台に増えて、ヒストリックカーブームを巻き起こし、各自動車メーカーもクラシックカーのレストアから旧いパーツの供給など、立派にビジネスとして成功しています」

 実は東京都にも1945年以前のクルマを優遇するヴィンテージカー減免制度がある。新規登録は取得税と自動車税、すでに所有している場合は自動車税が減免される。

 東京都だけでなく、やはり日本の自動車文化を守るために、政府が主導してヒストリックカーの優遇制度を行うべきだ。そうしないと、日本の名車は、故郷・日本からなくなってしまうかもしれない。

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