トヨタ、ホンダ、日産のHVの仕組みと弱点
ここで、今回実燃費を計測した3台に搭載されているハイブリッドシステムをおさらいしておこう。
トヨタプリウスのTHS-IIは駆動用と発電用のモーターを持ち、エンジンと2つのモーターの動きは動力分割機構によってマネジメントされる。
歴史が長いだけに熟成、低価格化も進み、完成度は抜群。弱点は強いて挙げるなら20年以上基本が変わっていないため飽きを感じてきたのと、重量級車だとメリットが薄いことだ。
ノートのe-POWERも2モーター式だが、THS-IIと違ってエンジンは発電専用に使い、タイヤは常にモーターで駆動。
エンジンの存在感がいい意味で小さく、静か、スムーズ、レスポンスがいいというEV的な走りが味わえる。弱点は、常にモーター駆動なので、EVと同じように速度が上がると燃費が悪化することだ。
インサイトに搭載されているi-MMDはe-POWERと基本的に同じだがエンジン直結モードを持ち、 e-POWER の弱点を解消したようなシステム。
高速クルージング時にエンジンが直接タイヤを駆動して効率を高める。弱点は、エンジン直結モードはクラッチを必要とし、その分コストがかかり、スペースも必要となることだ。
総合結果/実燃費1位はプリウス!
1位/プリウス 22.9km/L(3区間のトータルの燃費)
カタログ燃費:JC08モード燃費/37.2km/L、達成率:61.6%
市街地:22.5km/L、高速道路:21.4km/L、郊外一般道:25.0km/L
2位/インサイト 19.6km/L(3区間のトータル燃費)
カタログ燃費:JC08モード燃費/31.4km/L、達成率:62.4%
市街地:17.9km/L、高速道路:19.4km/L、郊外一般道:22.1km/L
3位/ノートe-POWER 19.5km/L(3区間のトータル燃費)
カタログ燃費:JC08モード燃費/34.0km/L、達成率:57.4%
市街地:18.8km/L、高速道路:17.7km/L、郊外一般道:22.4km/L
4位/初代プリウス 満タン法で16.6km/L(3区間のトータル燃費)
カタログ燃費は10.15モード燃費/28.0km/L、達成率:59.2%
3区間のトータル燃費はプリウスが22.9km/Lで1位となった。
この好結果は、プリウス自体の重量増などの不利がありながらもトヨタがプリウスをコツコツと改良し続けたことや、車格を考慮して1.8Lエンジンを選んだことの確かさ、空気抵抗の小ささとキャビンスペースの折り合いなどをハイレベルにバランスがとれた賜物だろう。
インサイト(19.6km/L)は次期フィットハイブリッドなどへの展開も考え1.5Lエンジンとしたと思われるが、インサイトのサイズを考えるとプリウスのように排気量を増やしたほうが燃費も向上するような気がする。
ノートe-POWERの19.5km/Lという燃費はインサイトとほぼイーブン。コンパクトカーであることを考えると物足りない。巡航用のエンジン直結モードを持たない点が不利に働いた。
クルマは燃費だけで選ぶものではないが、燃費でプリウスに迫るクルマが一台くらい登場するのを切に望む。e-POWERもi-MMDもTHSの歴史と比べるとまだ浅い。トヨタ以上のスピードでハイブリッド技術に磨きをかけてもらいたい!
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