2019年8月初旬現在の納期はジムニーが8ヵ月~1年!
そこで2019年初めから4月にかけて休日出勤や残業によって50%以上の増産をするようになった。
供給体制の改善によって、2019年7月までの販売台数はジムニーが月平均2708台、ジムニーシエラは1013台、合わせて3700台規模とさらに勢いを増している。
それでも2019年8月初旬現在の納期は、ジムニーが8カ月から1年、ジムニーシエラが1年半から2年と、短縮できていない状況だ。
なぜこんなに納期が延びてしまったのだろうか? 首都圏にあるスズキの営業マンに直撃すると、
「ハスラーの時もそうでしたが、ジムニーも1年経っても相変わらずお客様は多いです。むしろ、ほとぼりが冷めたと見計らって来るお客様も多く、納車が1年待ちだと言うと、もう待ちきれないのか受注する人もたくさんいらっしゃいます。増産はしているんですけどね。ジムニーシエラはヨーロッパ、東南アジアを中心に好評で、国内販売店と取り合いになっています」。
海外市場はジムニーシエラのみの販売のため、国内向けは特に供給が遅れ、現在1万5000台もの受注残を抱えているという。まさに驚くべき状況だ。
さらなる増産をするのであれば、組み立てラインの組み換えが必要になる。それには多額の投資と時間がかかる。準備しているうちにジムニー/ジムニーシエラの人気が頭打ちになってしまう恐れがあるため、踏み切れない、というのが実情のようだ。
なぜこれほどまでに人気が高いのか? 首都圏のスズキ店営業マンに聞いてみると、
「SUVがブームになっているというバックグラウンドが追い風になっているうえに、レトロモダン的な四角いスタイルがウケたのでしょう。しかも他社に真似ができない本格的なオフロード走行ができるラダーフレームを採用しています。こうした、スズキのこだわりが本物と認められたのでしょう」。
ここまで納期が長くなる理由
では、なぜ納期がここまで長くなるのか、ほかに理由があるのだろうか?
通常、毎日の組み立て台数が決まっており、メーカーの工場とディーラーはコンピュータが端末とオンラインでつながり、成約が成立した時点で入力すれば生産&完成日時が提示され、納期が明示される仕組みになっている。
ところが現行ジムニーはコンピュータで処理仕切れないほどの受注台数になっているので、冒頭のような幅のある、おおよその納期しか示すことができないのが現状である。
また、スズキ独自の販売網も要因として上げられる。スズキには軽自動車を主体として販売しているスズキ店と登録車中心のアリーナ店がある。合わせて1000営業拠点になるが、スズキ店はアリーナ店を併設しているところもある。
アリーナ店には正規のスズキ代理店のほか、準正規店の副代理店もある。このほか小規模な業販店もあり、こちらは全国で5万店もあるといわれ、スズキ車だけでなくダイハツ、三菱、スバルのクルマも扱っており、業販店による販売比率が80%以上もあるといわれている。
通常は、メーカーへの正式な生産、販売のオーダーは正規店を通して行われ、正規店は直接に新車を販売するほか、取引きのある業販店には業販売りと称して卸業務も行っている。業販店は人気が高いモデルを先行して発注したりする。
こうして複雑に絡み合ったスズキの販売店が一気にジムニーを注文すると、パンク状態になってしまう、というわけだ。しかも、なかには仮のバックオーダー分も含まれているから、余計に納期が長引く要因にもなっている。
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