〈カローラはどうなんだ?〉
お次は同じトヨタのカローラ。これも歴史が長いクルマだ。しかし今やカローラという名には、アクシオという余計な名前がつき、すでに秘伝のタレはナンプラーに成り代わってしまった。
それもこれも元凶はカローラによる世界制覇を夢見たトヨタがいけない。もともと国ごとにクルマに対するニーズが違うのは当然のこと。そこでトヨタは欧州ではオーリスを、北米やアジアでは大柄ボディのカローラを送り込んできた。
で、日本はどうしたかというと、タイで発売しているヴォイスの兄弟車としてカローラアクシオを登場させちゃった(プラットフォームはヴィッツベースね)。
これなら車重が軽いから燃費はいいし、安く作れるから価格競争力も抜群という理由からだ。しかしどうだ。古くからカローラに対する『使い勝手のいい実用車』というイメージは崩れ去り、同時に秘伝のタレなんてどっかにいってしまった、残念!
50年に及ぶ伝統の匂いすら残っていない。このこともあって秘伝のタレ度の評価は低い、残念!
ただ最新モデルは大胆なフロントフェイスイメージチェンジでトヨタは巻き返しを図ろうとしている。この先カローラの味はどうなるんでしょう。見ものですね。
ちな、ナンプラーはタイで生まれた魚醤。魚と塩を漬け込み、発酵させたもので、日本でいえば、秋田の「しょっつる」。トムヤンクンの美味しさの秘密は、コレ。
コンパクトカーは味が大いに薄まった
お次はコンパクトカー2台。マーチとミラージュだ。どちらも日本を代表するコンパクトカー(だった)。マーチの初代モデルは’82年登場。ミラージュは’78年登場。
マーチはあのジウジアーロ先生の作品。走り屋にはマーチターボが人気で、’02年登場の3代目は特に人気が高く、ヨーロッパでも大人気、ゴーン社長もベタ惚れだった。
いっぽうミラージュはスーパーシフトにターボモデルが大人気で、かつてのワンメイクレース、ミラージュカップは本誌でもおなじみの中谷選手を誕生させたレースとしても知られている。それだけモータースポーツシーンでも大いに盛り上がった。
しかし変化が起きたのは初代ヴィッツが登場してからだ。圧倒的な燃費のよさにマーチもミラージュも押され、あえなく販売低迷。
マーチは’02年の3代目、ミラージュも’95年登場の5代目までは頑張っていたものの、ついに両車ともに生産拠点をタイに変え、低価格を維持している。つまりミラージュもマーチも長く続いた秘伝のタレを捨てて、どちらもナンプラー味になってしまったというわけだ、残念。
ナンプラー味は好みが分かれるのか、どちらも今のところ販売低迷。しかもハイブリッドモデルでもないので、アクアにやられっぱなしになっているのが現状、辛い!
なので秘伝のタレ度は両車ともに10点。
そんななか、一人気を吐いているのがマツダだ。コンパクトモデルデミオは、秘伝のタレを見直し、ベースの味としてSKYACTIVを投入することで、旨味を増し、ただいま大人気。こちら純和風の味をアピールすることで成功している。
結局マーチやミラージュのように、鰻のタレ同様、つぎ足しの加減を間違うと秘伝のタレもアッという間にどうしようもない代物になってしまうということなのでしょう。後継者の感性と舌の実力が試されるようです。開発者の皆様は要注意を。
アメリカを向くと伝統の味が変わるぞ
日本にとってアメリカ市場は大事。しかしアメリカ人の好みは日本人とかなり違う。ピザ大好き、ハンバーガー大好き、BBQ大好きとなんでも大食いだ。
最近は寿司も大ブームだけど、日本では見かけないような巻き寿司も登場。それでも人気というのだからよくわからない。秘伝の味を守るべく国産車もアメリカ人の舌に合わせてクルマを開発しなければ売れない。レガシィとZも苦戦した。
もともとZは初代モデルからアメリカで大人気。そのまま進化したから、テイストというかZならではの味はそのまま。秘伝の味を守っているといえる。
なので、秘伝のタレ度は90点。
いっぽう、大きく味を変えてしまったのがレガシィだ。それまでレガシィの美点のひとつは使いやすいボディの大きさだったけど、こともあろうはスバルはもっとアメリカで売れるようにと日本市場を無視してボディを大型化。日本の道路事情では使いにくい大きさにしてしまった。
もはや5代目(’09年登場)を登場させた時点で秘伝のタレを捨ててしまったに等しい。当然国内では販売低迷。慌てたスバルは、国内市場向けにレヴォーグを投入。秘伝のタレを一から作るハメに。なので、レガシイの秘伝のタレ度はおまけしても20点だ。
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