ユニークな視点の自動車評論でおなじみの小沢コージさんが、他誌でベンツのGクラスをつぎ足しつぎ足しの焼き鳥のタレ的クルマだと評価していたけれど、考えてみればGクラスのようなクルマはほかにもたくさんある。
例えばカローラなんか、登場したのが’66年だから、すでにおん年49歳。’79年に登場したGクラスの大先輩だ〜。しかも現行モデルは11代目、そのタレの味も熟成の域に達している。クラウンなんかも、おん年60歳。
では海外ではないのか、と探せば、あるじゃないですかポルシェ911シリーズ。こちらも50歳を超える長寿モデルの最右翼。
う〜ん、ご長寿モデルは、なんかその味に秘密がありそう! ということで、本企画ではつぎ足しつぎ足しで作る鰻のタレ的クルマ評論をしてみました。それでは早速いってみましょう。
トヨタのヘリテージ 2車の秘伝のタレ度は
のっけはやはり伝説のクラウン。ご存じのとおり国産車のなかのハイソサエティカーだ。初代モデルが’55年に誕生し現行モデルはなんと14代目。その間ずっと高級路線を突き進んできた。
7代目クラウンの「いつかはクラウン」なんていうキャッチコピーも懐かしい。タレ的にはまさに熟成の味。つぎ足しつぎ足しの効果が抜群に現われていた。
しか〜し、タレ的にいえばアスリート(最初は特別仕様車として登場、その後カタログモデルに昇格)が設定された頃からビミョーに味が変わり始めた感じだ。
それは秘伝のタレに、タバスコが入ったような感じでこの点はマイナスポイントといえるのではないでしょうか。
売り上げを伸ばしたい、モデルバリエーションを増やしたい、という思惑はわかるけど、高級車なんだからスポーティさなんてなくてもいいんじゃない、と思うのです。それをついつい欲を出してスポーティモデルを出すからタレに雑味が入ってしまった。
いいものを食べ慣れた大人の舌は繊細だ。雑味が入ればお客は逃げる。上客を逃したくないなら、伝統にこだわる、それしかないぞ。
高級フレンチでもそう。売り上げを伸ばそうと、素材の質を下げると途端に客足が悪くなり、さらに素材の質を下げなければやっていけないという悪循環に。それと同じことであります。それでもクラウンは高級車という秘伝の味を守っているクルマ、と評価したい。
ということで秘伝のタレ度は70点。
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