【道路の進化】 排水性よし、騒音低下、遮熱もできる最新の舗装技術とは

【道路の進化】 排水性よし、騒音低下、遮熱もできる最新の舗装技術とは

 高速道路を走っていて「この舗装の部分だけ、やけに音が静かだなぁ」。

 そう思った経験はないだろうか。それは単に舗装が新しいからではなく、最近飛躍的に普及してきた「高機能舗装」だからなのだ。

 さて、この高機能舗装、いったいどんなものなのか? そして、どのくらい普及しているのか?

 文:WEBベストカー編集部/写真:日本道路建設業協会、NEXCO 西日本、NEXCO中日本


排水性のよさは一目瞭然!! 近年は耐久性も併せ持った進化型も登場

 従来のアスファルト舗装に比べ、“いくつかの点”で優れる進化型の舗装が「高機能舗装」と呼ばれるモノ。見た目には従来の舗装とあまり区別が付かないが、実はかなりの優れモノなのである。

 まず、最も特筆される機能が「排水性」だ。激しい雨が降り、路面に水溜まりができると、ハイドロプレーニング現象が起きやすい。

 これは路面とタイヤの間に一定以上の水が入り込むと、ブレーキが利かなくなる極めて危険な現象で、クルマやタイヤの性能だけでは防げない側面を持つ。このハイドロプレーニング現象対策として導入されたのが、排水性に優れた高機能舗装なのだ。

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左車線が高機能舗装で、右が従来の密粒舗装。この写真からも排水性の違いが一目瞭然だ

 そのしくみは次のとおり。従来の「密粒舗装」では、舗装内部までアスファルトの材料となる砂や砂利〈=骨材〉が詰まっており、耐久性に優れる反面、舗装表面に浮き水が発生しやすい弱点があった。

 そこで「高機能舗装Ⅰ型」では、舗装の表面から内部まで骨材の間に隙間を設けるように設計。これにより排水性の大幅な改善に成功している。

 ところがデメリットもあった。高機能舗装I型は、排水性に優れる反面、路面が損傷を受けやすく、耐久性には劣る。そこで、さらなる進化版「高機能舗装II型」が誕生したのだ。

 このII型は、I型と同じく舗装表面は骨材の間に隙間を設ける作りになっているいっぽう、舗装内部は骨材がぎっしり詰まっている。つまり、排水性・耐久性ともに優れた舗装というワケだ。このように高機能舗装とひと口にいっても、2つのタイプが存在するのだ。

 ちなみに、高機能舗装にはもうひとつ大きな機能がある。それは騒音の低減効果だ。

 つまり、排水性だけに優れた舗装と、騒音低減効果だけに優れた舗装が別々にあるのではなく、高機能舗装=排水性のよさと騒音低減効果の両方を兼ね備えたものを指すのだ。

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■密粒舗装…耐久性○ 舗装内部まで骨材が詰まっている
排水性× 骨材が内部まで詰まっているので排水性に難がある
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■高機能舗装II型(右)…耐久性○ 内部は骨材間の隙間が少ない
排水性○ 舗装表面は骨材間に隙間が多いので排水性にも優れる

 NEXCO中日本によると、高機能舗装I型、II型ともに従来の密粒舗装に比べて、約3dBの騒音低減効果があるとされている。

 「3dBってそんなに違うの?」と思われるかもしれないが、実際に従来の舗装と高機能舗装で走り比べると、一般のユーザーでも明らかにロードノイズの違いを感じられるほど。その差ははっきり体感できるレベルいっても過言ではない。

次ページは : いまや8割超が高機能舗装へ移行

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