今年1月の東京オートサロン。そこで世界に衝撃が走らせた1台がチューニングショップの名門「トップシークレット」の製作した「VR32」だろう。
R32スカイラインGT-Rの外観はそのままに、メカをすべてR35にスワップした1台。そんなぶっとびマシンを自動車評論家が見たらどう映るのか?
無類のメカ好きジャーナリスト鈴木直也氏が実車をトップシークレットで見てきた。
文:鈴木直也/写真:中里慎一郎
脳内混乱から始まったR32との初接近
トップシークレットという伝説的なチューニングショップをご存じだろうか?
チューニング業界では最高速ひと筋の、スモーキー永田こと代表の永田和彦氏の存在は有名だ。そんなトップシークレットが凄いマシンを作った。
そこでメカにはうるさい自動車評論家、鈴木直也氏に実物を見にいってもらった(編集部)。
チューニング業界ではエンジンスワップは珍しくないけど、トップシークレットのR32GT-Rには正直ぶったまげた。
一見すると、ちょっとだけフェンダーがワイドに加工されてるくらいで「お、程度のいいR32ですなぁ」って印象なんだけど、どーも雰囲気がタダモノではない。
なんといいますか、ボディのなかに詰まってるメカニズムの”密度感”とでも申しましょうか。
ノーマルR32GT-Rが持っている「ある種の軽快感」ではなく、なにかヤバイものをぎゅっと凝縮した「凄みのある質量」を感じるわけです。
その危険な雰囲気はディテールにもちらほら見え隠れしていて、たとえばボンネット上のNACAスクープや、18インチのOZホイールから覗くブレンボのキャリパーなんかに、その正体をあばくヒントが与えられている。
「なんかこのR32GT-R、ヘンじゃない?」
勘のいいクルマ好きなら、もうたまらず近くに寄ってあちこちチェックするだろうね。すると、ますますアタマが大混乱する。
ドアを開けてみると、シートはR32なのにインパネはR35? もはや自分が何をいってるのかぜんぜんワカリマセン。
外見はどこから見てもR32なのに、なんだかR35の匂いがプンプン漂ってくる。
これはクルマ好きなら誰でも感じるところなんだけど、そのいっぽうで「まさか、R35のV6ツインターボをこのボンネットの下に突っ込むのは無理だよね」という”常識”もアタマから離れない。
けっきょく「ボンネット開けて中を見せてください!」ってお願いして、正解を教えてもらうこととなったわけです。
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