次のクルマ選び、見るべきは「2030年燃費基準」と生活へのフィット
BC:最後に、一般ユーザーが次のクルマ選びで何を見ればよいか、教えてください。
草鹿:まず、2030年度の新燃費基準をクリアしているかどうかが一つの目安になります。あとは、WLTCモード燃費には表れない低燃費アイテム――LEDランプ、高効率エアコン、高効率オルタネーターなど、実際に使ってみてエネルギーを減らすアイテムが付いているかもチェックしてほしいですね。
BC:BEVを選ぶ場合はどうですか?
草鹿:簡単に言うと、我慢なくBEVを使える人かどうか、という点です。BEVは使い方を選ぶモビリティです。すごく便利な人と、そうでない人がいる。今はメーカーのホームページで、自分の使い方に合っているかを診断できるサービスもあります。日産SAKURAや三菱のekクロスEVのように、毎日の走行距離が一充電走行距離の5分の1程度であれば、それと充電環境が揃っているのであれば、BEVでもいいと思います。
BC:「なんとなく新しいから電気自動車に」ではなく、生活にちゃんとマッチしているかどうかを見る、ということですね。軽自動車やコンパクトカーはどうですか?
草鹿:オールインワンを軽自動車を求める方は、ストロングハイブリッドが出てくればそちらがいい。出てこなければ、現状のもので選ぶことになります。車重650kg程度の元祖軽自動車は、リッター29kmぐらいに到達するエンジン車が次の燃費規制の目安になります。小型・普通車は基本的にストロングハイブリッド化が進むので、エンジン好きの方はロングストローク化されているか、可変圧縮比や可変膨張比の機構が入っているか、最高熱効率がいくつかを、購入時に聞いてみるのもいいと思います。
BC:ディーゼルエンジンを検討する場合は?
草鹿:ガソリンのストロングハイブリッドと比較して経済的なメリットがあるかどうか、そしてドライバビリティですね。個人的には長距離を巡航するような使い方なら、ディーゼルに分があると感じています。あとは、OTA(Over the Air)でOSがアップデートされていくかどうかも、これから注目されるポイントだと思います。エンジン制御まで含めた統合的なアップデートは、すぐには実現しませんが、いずれはそこも目指したい技術ですね。
90分の取材時間はあっという間だった。最後に草鹿教授はこう締めくくった。
草鹿:こうした技術の話を分かりやすく消費者に伝えることは、非常に重要だと思います。これから自動車情報メディアの重要性は上がってゆくので、技術を分かりやすく伝えていただき、読者の皆さんもそれにキャッチアップしていくことが大切なのだと思います。
「エンジンはオワコン」という前提から始まったこの取材は、内燃機関の最前線がむしろ熱く、そして日本の自動車メーカーへの率直な危機感と提言に満ちたものとなった。ぜひ前編と合わせてお読みいただきたい(そして実験室・研究室見学を実施した「特別編」へ続く)。
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