かつて6気筒の主流だった直6エンジンの歴史
日本車の直6エンジンの歴史の99%はトヨタと日産の直6エンジンの歴史だ。
トヨタの「M型」エンジンは、1965年に2代目クラウンへ追加(2L、直6)という形でデビューし、1992年頃まで生産され、最終的に3Lツインカムターボまで進化した。
また「G型」は、1990年代初めまで日本での需要が大変多かった2Lの排気量に特化し、1980年の初代クレスタに搭載されて以来2008年まで生産された。
そして「JZ型」は、M型の後継エンジンとして1990年のX80型マークII三兄弟と初代スープラのマイナーチェンジでデビュー(2.5L)し、翌1991年に3Lが加わり、それぞれにNAとターボがあった。
いっぽう、日産の直6エンジンは、「L型」が1965年登場のセドリックに2Lが初搭載されて以来、最終的には輸出仕様の2代目フェアレディZで2.8L、OHCターボまで進化。
そして、1969年登場のハコスカGT-R以来ケンメリGT-R、初代フェアレディZ432に使われたレーシングベースエンジンの「S型」もあった。
さらに、1984年の5代目ローレルの2L、OHCでデビューしたL型の後継エンジン、「RB型」は、数々の改良が行われ、2004年頃まで生産された。RB型といえば、R32から34のスカイラインGT-Rに搭載された未だに光り輝くエンジンだ。
直6エンジンが消滅した理由
と40年ほどの歴史がある日本車の直6エンジンだが、2000年代半ばには絶滅状態となってしまった。その理由を考えてみると、
・日産もトヨタも直6と並行して日産はVG型(80年代前半から)、VQ型(90年代中盤から今も現役)、トヨタもVZ型(80年代後半)、MZ型(90年代中盤から)というV6エンジンを持っていた。
・1990年代~2000年代になると衝突安全性の法規が厳しくなり、その対応には全長の短いV6が有利。
・V6エンジンの短さはキャビンの広さや運動性能という部分でも直6より有利
といったメリットをV6は持っており、それゆえ日産はVQ型を使い続け、トヨタも直6を2003年のゼロクラウンで登場したGR型V6に移行し、日本車から直6がなくなってしまった。
次期スープラにも搭載! 国産車に直6の復活はあるのか?
ジュネーブモーターショーではトヨタがBMWとのコラボレーションの一環として、ミドルオープン2シーターの次期Z4とプラットホームを共用する形で2018年秋に登場する次期スープラのレーシングカー仕様をワールドプレミアした。
次期スープラはBMWのものとはいえ久々の直6エンジンを搭載する日本車だけに、日本製の直6エンジンの復活も自ずと期待してしまう。
ジュネーブモーターショーで次期スープラのエンジンに関する発表はなかったが、次期スープラにはすべてBMW製となる200馬力と255馬力の2リッター直4ターボ、BMW340iなどに搭載される3リッター直6ターボ(340馬力?)という3つのエンジンに、8速ATが組み合わされる見込みとなっている。
さて気になる日本製の直6エンジンの復活だが、結論から書くとその可能性は残念ながら「限りなくゼロに近い」と思う。理由を挙げてみると
・そもそも直6、V6といったマルチシリンダーが必要になる3L以上の大排気量エンジンの需要がある市場はアメリカくらいで、世界的に考えれば需要自体が縮小傾向
・日本車ならカムリの北米仕様のようなエンジン横置きFFの6気筒エンジン搭載車を考えると、エンジン全長を短くできるようになったとはいえ、直6エンジンの横置きFF車への搭載は考えにくい
といった需要や必要性を総合すると、やはり日本製の直6エンジンが復活する可能性は絶望的だと思う。
ただ、次期スープラと同じような話になるが、ベンツの新しい直6エンジンがアライアンスを結ぶ日産に供給されることは、ない話ではないだろう。実際、現行スカイライン2Lターボのエンジンと7速ATはベンツ製だ。
その暁にはぜひスカイラインに搭載し、日本人としてはスッキリしない面もあるにせよ「スカイラインに伝統の直6エンジン復活!」なんてシーンを期待したいものだ。
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