なぜいまスズキは絶好調なのか 快進撃スズキの勝因と懸念


■スズキの「売れないクルマ」の事情

 もちろんスズキも海外を見ているが、インドや欧州が中心だから、クルマ造りが日本からあまり離れない。ほかのメーカーは、海外市場へ力を入れたことで、日本があからさまに軽んじられたが、スズキは海外の市場性もあってそうならなかった。

 それでも日本で売りにくい商品はあり、バレーノ、SX4Sクロス、エスクードなどは販売が低迷する。SX4 S-CROSSには緊急自動ブレーキが付かず、バレーノやエスクードも歩行者を検知できない。またバレーノとSX4 S-CROSSには、アイドリングストップも付かない。

2013年からハンガリー工場で生産されているSX4 S-CROSS。日本発売は2015年2月から。2017年6月にビッグマイチェンを実施し、現在のフロントマスクに。2018年8月の月販台数は85台

 この3車種はいずれも輸入車で、バレーノはインド製、SX4 S-CROSSとエスクードはハンガリー製だ。

 日本で売りにくいのは当然だが、バレーノを2016年に輸入開始した背景には「小型/普通車を日本国内で10万台売りたい」というスズキの願いがあった。今後は軽自動車の規格が変わる可能性もあり、偏った売れ方を是正する必要も生じたからだ。

 2014年における小型/普通車の登録台数は7万8290台、2015年は7万6667台だったが、2016年にはバレーノのほかにイグニスも発売されて10万2129台に増えた。2017年にはスイフトも一新されて10万9584台になり、安定して10万台を超えることができた。

 スズキは過去にも時々「売れるのかな?」と思えるクルマを発売している。

 エブリイをベースに開発した小型ミニバンのエブリイランディ(1999年)、全長が2735mmと極端に短い軽自動車のツイン(2003年)、先代エスクードの3ドア(2006年/エンジンは1.6Lで5速MTのみという海外向け)などがある。手堅い軽自動車で需要を確保するから、時々実験的な商品で冒険ができるのだろう。Kei(1998年)は成功作になり、鈴木修会長の提案もあって、現行ハスラーの商品化にも結び付いた。

■後継者問題、次世代技術問題

 スズキで気になるのは、他社との業務提携から商品化に至るまで、多岐にわたる重要な判断を鈴木修会長が行ってきたことだ。現時点で社長を務められる鈴木俊宏氏もベテランだが、鈴木修氏の時代がとても長かった。

鈴木修スズキ株式会社代表取締役会長/1930年1月生(88歳)/中央相互銀行(現在の愛知銀行)の行員だったが1958年に当時スズキ社長だった鈴木俊三氏の娘婿となる。同年4月スズキ入社。1968年6月に代表取締役社長に就任、2000年6月から代表取締役会長(CEO)

 またスズキはマイルド/フルハイブリッドを用意するなど電動化も進めるが、コンパクトな低価格車を中心にそろえるから、高コストな燃料電池車、電気自動車、プラグインハイブリッドなどは馴染みにくい。

 このような事情もあってトヨタとの業務提携を行った。

 それでも現時点で、スズキが日本の市場に優しいメーカーであることは確かだ。かつては他のメーカーも同様だったが、みんな外を向くようになってしまった。スズキにも不安な要素や欠点はあるが、今の状況ではスズキが支持されるのは当然だ。

 情けない話だが、どちらかといえば、消去法でそうなっている。

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