本格的なSUV性能を求めていない
以上のようにSUV風の派生車種を好調に売るには、デザインのカッコよさ、カタログやウェブサイトでの効果的なアピール、購入のしやすさ、価格の割安感などが求められる。
特にマイナーチェンジで追加する時は、車種に対する注目度もさほど高まらず、目立ちにくい。フリードのように、バリエーションの約半分をクロスターにするといった積極的な展開が必要だ。
SUVは、今では趣味性と付加価値が伴う最後の注目カテゴリーになった。上級セダンの人気は世界的に色褪せ、クーペも若年層は購入していない。
ワゴンは日本と北米で廃れて車種も減った。ピックアップトラックは販売できる地域が限られる。実用的なハッチバックを除くと、クルマ好きのユーザーが高いお金を払うカテゴリーがSUVに絞られてきた。
そしてSUVの商品開発には多様性がある。フィットやフリードのようにグレードのひとつに位置づけたり、スポーティな5ドアクーペのようなSUVも開発できる。
今では、SUVが最も似合わないロールスロイスまでカナリンを用意した。世界中のメーカーやブランドが、最後の甘い汁を吸おうと、SUVに群がっている。
そうしたSUVカテゴリーのなかで、今日本でウケるのは都会派クロスオーバー風SUVというのがポイントになっている。
見た目は、樹脂バンパーやホイールアーチ、アンダーガードが装着されていてクロスオーバーSUV風のスタイルだけど、本格的なオフ性能までは求めていないのだ。
ただし、撥水加工をしたシートや内装を装着するなど、インテリアも他グレードとしっかり差別化しないと売れない。
普段は通勤や買い物に使って、たまの週末休みには1泊や1DAYキャンプに家族で出かける。そんなライフスタイルには、いわゆるカッコだけの「なんちゃってクロスオーバー」がピッタリなのだ。
こうしたニーズにピッタリと合うようにホンダが戦略的に作った解答が、クロスオーバーSUVグレードである、クロスターというわけだ。
コメント
コメントの使い方