車格感、機能性、空力性能のすべてを統合した完成度の高いスタイル
スタイリング面でもエスティマの先進性は際立っていた。外観デザインは、「EGG ON A BOX(箱の上に乗った卵)」というユニークなテーマに基づき、トヨタの北米先行デザインスタジオである「Calty Design Research, Inc.(キャルティ)」によって創出された。
Aピラーからルーフへと流れる一体的なカーブ、そしてノーズからウインドシールドまでを滑らかに連続させた美しいシルエットは、空力・空間・美しさを高度に調和させることを狙った造形哲学の賜物であり、それまでの商用車をベースにしたミニバンデザインに対する明確なアンチテーゼであることを強く印象付けた。
張り出しの少ないボディパネルと緻密に制御された面構成は、広大なキャビンスペースを内包しつつ、重量感を感じさせない洗練された印象を醸し出している。とりわけ目を引くのが、ガラスエリアを含む3次元曲面の面一化処理だ。
これにより、外観全体に球体的なまとまりが生まれ、コンセプト通りの「卵」のイメージが具現化されている。単なる流線型ではない、有機的で未来感を帯びた塊感が、ミニバンというジャンルに新たな造形言語を与え、その後に大きな影響をもたらしたと言われている。
このほかにもデザインの質感を高める要素として、ボディ一体型の大型バンパーや超大型の塗装サイドガーニッシュの採用が、安定感とプレミアム感を両立させる視覚的なアクセントとなっている。
さらにこれらのパーツに呼応する形で、外板色は全7色すべてにおいてガーニッシュとの2トーン配色を採用。未来的で洗練された印象を際立たせると同時に、量産車でありながらショーカー的な完成度をも感じさせる仕上がりとなっている。
スタイル、空力、居住性を高度にバランスさせたエスティマのスタイルには、実用車としての合理性にとどまらず、“ミニバン=道具”という固定観念を打ち破るトヨタの強いメッセージを感じさせる。まさにトヨタのデザイン史においても特筆すべき金字塔のひとつと言っていいだろう。
エスティマの車内は、アンダーフロア型ミッドシップレイアウトによってミニバンとしては比類ないフラットで広大な室内空間を獲得している。その空間には広さだけにとどまらず、デザインや快適性、使い勝手といった要素を高次元で融合させた“乗員ファースト”の設計が見て取れる。
各部の造形は外観デザインと呼応する滑らかな曲面構成が特徴だ。天井やインストルメントパネル、ドアトリム、カーペットといった室内を構成する部位は全面一体成形され、継ぎ目がほとんどない作りとなっており、鉄板露出のないフルカバーリング構造が採用された。こうした作り込みによって高級感と包まれ感を兼ね備えた、視覚的にも触感的にも豊かな空間を実現している。
シートはデザインと機能性が両立されている。一体感あるヘッドレストやフルカバーのリクライニングヒンジが上質な印象を与えると同時に視覚的な統一感を演出している。
多彩なアレンジが行えるのも特徴で、2列目シートは180度回転を可能とし、3列目シートには折りたたみ式スペースアップ機構が採用され、フラットなラゲッジスペースへの変化が容易に行えるなど用途に応じた多彩な使い勝手を実現している。
さらに床面の完全フラット化は、最前部から最後部までのスムースなウォークスルーを可能にした。これを支えるのがコラムシフトの全車標準化とパーキングブレーキのドア側配置という、細部まで計算されたパッケージングによって広い車内で快適に過ごせ、スペースを有効に活用できる。
荷室も広く、3列目シート後方に十分な積載容量が確保される。レジャー用途から日常の買い物まで、多用途に対応するくつろぎの移動空間としての完成度は非常に高い。

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