『けものフレンズ』に自動運転とAIの幸せな可能性を見た【編集部便り】

近接(非接続・非直接)操作で運転するラッキーさん

 作中、第2話でジャパリバスがサーバルさんとカバンさんに発見されると、ラッキービーストがバッテリー切れを指摘します(不具合のチェックセンサーも内蔵しているということ)。

 その後、充電して以降最終話までずっと、ラッキービーストが車両前部の運転座面に立ち、操縦・園内ガイドを担当しています。

 運転席には「ハンドル」と、第5話でサーバルさんが、最終話でカバンさんがトラクター部分を操作しているところを見る限り、足元に「アクセル/ブレーキペダル」、コンソール下部分に「始動スイッチ」らしきものが存在するようです。

 いっぽうでメーター機器、レバー類(シフト含む)は見えるところには存在しないようで、またラッキービーストが操縦する場合は、ハンドルもアクセルも始動スイッチも操作している描写がいっさいありません。

 つまりあのジャパリバスは、「人およびフレンズによる手動操作」と「ラッキービーストによる自動運転」の切り替え可能な操作系オンデマンド車両なんですよね。

 後者を別の角度から言えば、ラッキービーストは「非接続型のジャパリバス操作インターフェース」ということでもある。「お任せ運転機能(会話・修理・解説可能)」が付いたラジコンのコントローラーみたいなものなわけですね。

 この形式、自動運転と応答型人工知能(三人旅を「楽しかった」と語るあの自律型ガイドロボットの思考経路を「知能」と呼ぶことに反対する人は少ないでしょう)の、すごく幸せな融合だと思うのです。

 というのも、現状、この日本で「自動運転車両」がこの先どういう形で普及していくのか、させてゆくのか、国も各メーカーもいまだ模索中なところがあるのですが、ああいう「ラッキービーストのような、運転・解説・操作インターフェースとしての高機能・高好感度キャラクターを運転席に置く(手動に切り替えも可)」というかたちは、非常に有効だと思うわけです。

 ラッキービーストは最終話で、複数個体の相互通信・一斉情報共有・同期行動が可能だと明かされました。これは車車間通信による事故防止に大変有効です。また音声応答機能とメモリ機能については、軽量小型携帯式(リストバンドとして装着可能)のガラス型チップに分離可能だということも判明しています。

 これはどういうことかといえば、ラッキービーストの本体と呼べるような機能は腹部(?)の小さなガラス型チップに集約されており(マイクもスピーカーも認識センサーもメモリもOSもあそこに搭載されているっぽい)、あの愛らしい耳と足が付いたボディは、そのほとんどが飾りであり、人やフレンズを威嚇しないための愛玩機能+ジャパリまん製造・貯蔵・運搬・供給装置なのです。

 (具体的な描写はありませんでしたが、第9話でジャパリバスが雪道スタック時に短時間でクローラー仕様へと改装しているところを見ると、タイヤ交換や修理等の物理的な整備機能が実装されている可能性はあります)

今の日本で「自動運転車両」が切実に期待される現場

 現代日本において、「自動運転車両」は、まずルートセールスや乗合バスを中心に普及していくだろうと期待されています。

 それは、これは都市部にいると実感しづらいのですが、高齢化が進んだ地方では公共交通機関がどんどんサービス低下しており、そのために運転免許が命綱となっている高齢者がたくさんいるという実態があるからです。

 加齢により視力も反射機能も運動能力も落ちてきた高齢者には、なるべくなら免許を返納してもらいたい。

 しかし電車もバスも採算が取れない地方都市では、自分で運転して年金をおろして、スーパーマーケットまで買い物に行けるかどうかは死活問題なわけです。

 こうした危機的な社会状況を、自動運転車両の普及で救えるかもしれないと。

 完全自動化された無人バスやルートセールス車が定期的に巡回するようになれば、危険を冒して運転する高齢者は減るはずなのです(だからこそ自動運転技術は経産省だけでなく国交省や警察庁も熱心に支援していたりする)。

 むろん技術的、社会的、予算的な課題はまだまだ山積していますが、少なくとも有力な緩和手段のひとつだと期待されています。

 しかしこうした地方都市で、運転席が無人のバスや乗合タクシーが走り回ることに、抵抗を感じる高齢者は多いでしょう。ハッキリ言って不気味だし、乗客の質問や疑問に答えたり、適宜説明、介助、アドバイスするインターフェースだって必要です。

 それがラッキービースト+ジャパリバスなら一気に解決ですよ。どうですか皆さん。

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