■タイ生産の雰囲気で人気低迷中!? 三菱 ミラージュ(2020年1月販売台数:138台)
(TEXT/渡辺陽一郎)
●人気コンパクトのような他人とカブる不都合なし!

ボディサイズは全長が3795mm、全幅は1665mmだからマーチよりもコンパクトだが、ワイドなグリルによって存在感は強い。ボディカラーもワインレッド、サンライズオレンジ、セルリアンブルーなど個性的な色彩をそろえた。チタニウムグレーは、ちょっと渋い感じだ。
この個性がミラージュのキモになる。フィットやヤリスでは、発売から3年も経過すれば街中に溢れかえる。値引きの大きな在庫車を選ぶと、ボディカラーもホワイトやシルバーで、どこにいても見かけられる。大型ショッピングセンターの駐車場では、愛車だと思って近づいたら他人のクルマで、車内の人と目が合って気まずい雰囲気になったりする。
ところがミラージュなら、こういった没個性が生み出す諸々の不都合と決別できる。特にサンライズオレンジなどを買えば、自分の居場所が他人にも常にわかり、いわば有名人の気分も味わえる。
運転感覚は軽快だ。エンジンは1.2Lで、車両重量は900kgだから、スイスイと走る印象がある。最小回転半径は4.6mだから、小回りの利きや駐車性は、コンパクトカーのなかでも優れた部類に入る。
全高は1505mmだから、立体駐車場を使えて、なおかつ前席については圧迫感も生じない。それに乗降性もいい。
コンパクトカーに実用性と絶妙な個性を求めるなら、ミラージュは検討する価値があるクルマだ。
■大幅に顔を変えても人気上がらず… スズキ SX4 Sクロス(2020年1月販売台数:100台)
(TEXT/渡辺陽一郎)
●スポーティではないが、峠道も気持ちよく走れる!

SX4 Sクロスには、ベーシックな欧州車の雰囲気がある。フロントマスクを除くと外観は地味だが、実用性は高い。全長が4300mmのボディは、全幅が1785mmと少しワイドながら、街中でも運転しやすい。SUVらしく最低地上高は185mmを確保するから、駐車場などに入る時の段差も乗り越えやすい。
内装では前席が少し硬めの座り心地だが、ボリューム感があり、肩回りのサポート性は良好だ。このあたりも欧州車風で、走りに影響する機能をしっかりと作り込んだ。
後席も欧州のSUVを思わせ、着座位置が高いから、膝から先が前方へ投げ出されない。空間効率が優れ、荷室容量にも不満はなく合理的だ。
エンジンは1.6Lで、6速ATを組み合わせた。有段ATとあって、装着車の多いCVT(無段変速AT)に比べると、ギヤ比が頻繁に変わらないから細かな速度調節もしやすい。高速道路を一定速度で走り続ける場面では、運転しやすく感じる。
乗り心地はコンパクトなわりに快適で、足回りが柔軟に伸縮する。重心が少し高いから、峠道ではボディが相応に傾くが、挙動の変化が穏やかに進んで不安を感じない。
むしろSX4 Sクロスなら、スポーティカーと同じ速度で曲がっても、高重心による適度な挙動変化で操る気分が盛り上がる。このようなオーナーでなければわからない密かな楽しさが得られることも、SX4 Sクロスの醍醐味だ。
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