なんじゃこれは?「日本未導入ブランド」の不思議なクルマたち!

 日本ではドイツやイタリア、フランス、英国など、さまざまな輸入車ブランドが現在販売されているが、実はまだまだ国内市場には導入されていないブランドが数多くある。

 なかには「なんじゃこれは?」というデザインのクルマも多く、逆にぜひ日本で販売してほしいと思うカッコいいクルマもあったりする。

 そこで、世界の自動車メーカーのなかから、なんとも不思議な魅力を持った、選りすぐりの日本未導入ブランドのクルマを紹介していこう。

文/永田恵一
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2020年5月26日号

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オペルの姉妹ブランド/英国 ヴォクススホール

 ヴォクスホールは、イギリスの自動車メーカーであり、フランスのPSAの現地法人である。2017年8月、PSAがGMから22億ユーロ(約2600億円)買収した。

 イギリス以外では「オペル」、イギリスでは「ヴォクスホール」というブランドで展開している。

 2020年現在、販売している乗用車は同じくPSAの子会社であるオペル車のバッジエンジニアリングである。

 2021年後半、ヴォクスホールではないがオペルが日本に再上陸することが明らかになっている。

アストラ

かつてオペルブランドで日本でも販売されていたCセグカー。現行モデルは純粋なオペル車だ

■グランドランドX

VWティグアンなどに対抗するミドルSUVで、こちらはプジョー3008の兄弟車だ

■VXR220

一瞬、ボルボかアウディかと思ったが、日本でも販売されたDセグカーのベクトラの後継車で、プラットフォームはGM系のものを使う

伝統のスポーツブランド/英国 MG

 1910年に設立されたモーリス・ガレージを起源とするイギリスのスポーツカーブランド。

 戦後、BMCやブリティッシュレイランドを経て、オースチンローバーグループ時代には、1992年にMG-RV8、1995年にMGFを登場させる。

 そしてBMW傘下に入ったミニ、MG、ランドローバーブランドを含むローバーグループが、業績不振により事実上の解体を迎えたのが2000年。ブランド力のある「MINI」はBMWに残留、同じくプレミアム性を有するランドローバー」はフォードグループへ移籍。

 残ったMGとローバーは、わずか10ポンド(当時約1700円)という少額で、ローバー元社長のジョン・タワーズ氏率いる「フェニックスグループ」に売却され、経営再建の道を歩むことになった。

 しかし、MGローバー車は基本設計の古さに起因する商品力不足が否めず、販売は低迷。

 2005年には上海汽車との業務提携交渉が決裂し、MGローバーは事実上、破綻した。同年、南京汽車がMGローバーの経営権を取得。MGローバーとの提携に失敗した上海汽車は、ローバー75の商標権と製造ラインを買い取り、中国で2006年から栄威750として生産と販売を開始した。

 ところが2007年12月、上海汽車が南京汽車を買収。結局、MGローバーブランドは、上海汽車の一部門になり、タイやインドなどの新興国市場を開拓する役割を担っている。

■MG3

かつてのローバー200のポジションを引き継ぐ面もある、日本的な表現では3ナンバー幅となるコンパクトカー。スズキのスイフトスポーツそっくり!

■HS

MGローバーは現在中国の上海汽車傘下となっており、HSは1.5Lガソリンターボを搭載するミドルSUV

VW傘下の老舗ブランド/スペイン セアト

 1950年、フランコ政権下においてイタリア・フィアットが出資し、国策の自動車メーカーとして誕生した。

 フィットから技術提携を受け、1953年にはミドルセダンの1400を発売した後、1963年に登場した小型車、600の成功により、スペインはモーターリーゼーションを迎えた。

 それ以降、いくつかの独自車種を生産したものの、フィアット車のライセンス生産を行っていた。

 しかし、1980年にフィアットが撤収。2年後の1982年にVWと業務提携を行うものの、1993年には完全子会社化された。

 ちなみに1984年、G・ジウジアーロがデザインし、ボディはカルマン社、そしてポルシェエンジン(Power by Porsche)を搭載したコンパクトカー、イビーサが、並行輸入によって日本でも販売されたのを覚えている人はいるだろうか?

1980年代、並行輸入で日本でも販売されていたセアト・イビーサ

 1991年には2代目ゴルフのプラットフォームを共用した初代トレドが大ヒットし、ドイツ車の技術と、アローサやレオンなどラテン車のデザインが融合したブランドとして認知された。2010年代以降はアウディのグループに属している。

■LEON

VWゴルフのセアト版となるCセグカー。現行モデルは現行ゴルフベースとなっており、デザインはボリューム感のあるものだ

■IBIZA

先代となる3代目からVWポロのセアト版で現行4代目は現行ポロの兄弟車でシャープなデザインを持つ

■ARONA

VW Tクロスのセアト版となるコンパクトSUV。日本のTクロスの1Lガソリンターボに加え、1.5Lガソリンターボや1.6Lディーゼルターボも搭載

秀逸なデザインが多いVW傘下のブランド/チェコ シュコダ

 VWグループを構成する12ブランドの1つであり、チェコ共和国のムラダー・ボレスラフを本拠とする。

 シュコダは、1895年、オーストリア―ハンガリー帝国時代のボヘミアで書籍商のヴァーツラフ・クレメントと機械工のヴァーツラフ・ラウリンが自転車メーカーのラウリン&クレメント社として創業したのが起源。

 1905年には初の四輪車を製造。1924年には航空エンジン製造も始めるが、同年に見舞われた工場火災で立て直しが必要となった1925年、プルゼニの重工業メーカー、シュコダに資本協力を仰ぐ。その際、ラウリン&クレメントの名称は消滅し、代わりにシュコダブランドで自動車製造が継続された。

 1926~29年には、フランスの高級車メーカー、イスパノ・スイザのモデルもライセンス生産していた。

 戦後、シュコダの自動車部門は国営化され、新たな歩みを始めることになった。ただしその製品は、周辺の社会主義国のみならず、西側自由諸国にも輸出された。

 やがて1989年のベルリンの壁崩壊で共産党政権が崩壊すると、翌1990年、新政府はVWグループとの資本提携を決める。その後VWは徐々に出資比率を高め、2000年には100%を達成、現在に至っている。

 生産はチェコのほか、VWグループのもと中国、スロバキア、ロシア、そしてインドで行われている。さらに現地企業との協力体制により、ウクライナ、カザフスタン、アルジェリアでも生産されている。

■SUPERB(シュパーブ)

VWパサートのシュコダ版でインドや中国でも生産されている。オーソドックスなパサートと比べるとフロントマスクがエグい

■CITIGO

VW UP!のシュコダ版としか言いようのないモデルで、本国では航続距離252㎞のEVのみだ

■SCALA

VWポロのシュコダ版。伸びやかなスタイルを持ち、スポーティな雰囲気のモンテカルロもラインナップする

ルノー傘下の個性派ブランド/ルーマニア ダチア

 1966年にUAPという社名でルノー車のノックダウン生産を開始し、1972年から国産化された。

 1980年代初めには、ルノーの上級モデルのルノー20もダチア2000として生産され、官公庁やルーマニア共産党の上級職員に愛用されていた。

 1980年代中盤、ダチアはいったんルノーと離れ、独自のモデルを開発していく。500㏄のコンパクトミニ、ダチア500や5ドアセダンのノヴァと生産していたが、ルーマニア革命前後の混乱の影響で業績が悪化し、1999年にはルノーの傘下に入る。

 2004年には6000ユーロ以下という驚異的な低価格車、ダチアロガンを発売し、現在、ルーマニアを含む東欧諸国やフランス、ドイツ、スペインなどの西欧諸国へ輸出されているほか、ロシアやコロンビア、モロッコ、インドで現地生産されており、近日中にはイランや中国、マレーシアでも販売される予定。

■DUSTER

日産のBプラットフォームをベースにしたダチアB0プラットフォームを使うコンパクトSUVで、インドでは日産テラノとして販売されている

■LOGAN

ダスターの兄弟車で4ドアセダンやクロスオーバーのMCVステップウェイもラインナップ

旧ソ連時代に設立/ロシア ラーダ

 ラーダはロシア最大の自動車メーカー、アフトヴァースのブランド。現在はルノー・日産がその経営権を取得している。

 ラーダといえば、旧ソ連時代、1977年に発売されたニーヴァを思い浮かべる人が多いはず。現在でも並行輸入によって販売されている。

 ラーダシリーズは1974~2002年にかけてロータリーエンジンを搭載していたモデルも生産していた。

 2008年、アフトヴァースは販売不振により、ルノーから出資を受け、その後登場するラーダ車にはルノーおよび日産の技術が採り入れられた。

■NIVA

NIVAは1977年登場ながらフルタイム4WDの本格オフローダー。日本では現在も並行輸入車として販売されているので知っている人も多いはず

■XRAY CROSS

日産Bプラットフォームに由来するダチアの基本コンポーネンツを使ったXRAYのクロスオーバーで抑揚のあるスタイルも特徴。NIVAと打って変わって現代的でなかなかカッコいい

■VESTA

日産&ルノーのパワートレー ンなどを使ったBセグメントセダン。 ロシアでは2019年に11万台以上販売された人気車だ

名門も今や存続危機/イタリア ランチア

 1906年に設立されたランチアは1969年にフィアット傘下に収まった後、1972年にはベータ、1977年にフルビアの生産中止以降、フィアットグループにおける高級車部門として存続し、デルタやテーマのほか、ストラトスや037ラリー、デルタHFインテグラーレ16VなどWRCのホモロゲーションモデルも生産した。

 2014年にクライスラーグループとフィアットが経営統合して誕生したFCA以降、ランチアブランドはイタリア専売となった。

 クライスラー300Cがイタリアではランチアテーマとして販売され、ランチアイプシロンもクライスラーイプシロンとして日本を含む世界で販売された。いまやランチアブランドはイプシロンのみとは実に寂しい限りだ。

写真はマイルドハイブリッド車が追加されたランチアイプシロン

インド第3位メーカー/インド マヒンドラ&マヒンドラ

 インドのコングロマリット、マヒンドラの自動車部門、マヒンドラ&マヒンドラは、インド国内ではマルチスズキ、タタモーターズに次ぐ第3位のメーカー。

 1945年にマヒンドラ&モハメッドとして設立され、1948年にマヒンドラ&マヒンドラへ改称した。

 1949年にはジープのライセンス生産を開始し、多目的車や小型商用車、オート三輪、トラクター(世界第4位)などを生産している。

 マヒンドラは2005年にルノーと51対49の比率で出資を行い、合弁会社「マヒンドラ・ルノー」を設立。

 2007年から同ブランドでルノーブランドの低価格車ロガンを生産開始し、乗用車市への進出を果たしたものの、ロガンの販売不振やルノーが単独で事業拡大に乗り出したことにより、2010年4月、マヒンドラがルノーの保有するマヒンドラ・ルノー株を譲り受けて完全子会社化し、合弁を解消した。

 2010年8月には韓国の双竜自動車の株式70%を取得し、買収。2015年12月には、マヒンドラグループ傘下のテック・マヒンドラと共同で、ピニンファリーナの株式76%を取得し、子会社化した。

 また2015年6月には三菱重工業と農業用部門において業務提携を結び、これに合わせて三菱農機の株式33%を取得し、三菱マヒンドラ農機が誕生している。

■XUV500

世界各国に輸出されるミドルSUV。全体的に質実剛健という言葉がピッタリなモデル

■TUV300

クロカンを思わせるコンパ クトSUV。4m以下の全長 ながら横向きに座るサードシートも備える7人乗りだ

■XYLO

7人乗り3列シートのミニバンにSUVの要素を盛り込んだミドルクロスオーバーで、ディーゼルエンジンを搭載

1967年創立の世界第5位のメーカー/韓国 ヒュンダイ

 1967年、韓国を代表する財閥、ヒュンダイグループの自動車部門として設立。

 1968年にフォードと提携し、コルチナなどのノックダウン生産を開始。1973年には三菱自動車の技術を導入する。米国市場へは1986年に進出。

 当初は品質問題から販売は伸び悩むが、日本車よりも安い価格を武器に支持を獲得。起亜を含むヒュンダイグループは世界第5位のメーカーへと成長を遂げている。

 2001年には、日本市場に進出しており、2002年の日韓ワールドカップや『冬のソナタ』に代表される韓流ドラマブームも手伝って、2002年から2005年にかけて2000台以上の新車販売を記録するも、2008年には500台ほどにまで落ち込み、2009年には日本市場から撤退した。

 日本市場にはコンパクトカーのi30やTB、ミドルセダンのソナタ、大型セダンのグレンジャーなどを投入された。

■i30

欧州などに輸出されるi30にはステーションワゴンや5ドアセダンもラインナップされる。欧州仕様は1.4Lガソリン、1.6Lディーゼルターボに加え、2LターボのNも設定する(写真は5ドアセダン)

■KONA

世界的に需要があるコンパクトSUV。プラットフォームはキアのストニックなどと共通

■IONIQ

DCTを介するハイブリッド、プラグインハイブリッド、EVを持つ、ホンダクラリティに似たコンセプトも持つエコカー。プリウスキラーと呼ばれた時期もある

ヒュンダイ傘下の世界第8位のメーカー/韓国 起亜

 1944年に自転車部品の京城精工として設立したのが始まり。1962年にはマツダオート三輪、1971年にはタイタンのノックダウン生産を開始。

 1974年、マツダファミリアをブリザの名でノックダウン生産を開始、このブリザが起亜ブランド初の乗用車となる。

 1976年、亜細亜自動車を傘下に収め、韓国政府が唯一公認する軍用車製造会社となる。

 1983年、マツダのボンゴトラックを生産。同年、マツダ(株式8%)は、伊藤忠商事(株式2%)とともに起亜自動車と資本提携締結。

 1984年、ボンゴコーチを生産。1986年、3代目ボンゴベースのベスタを生産、フォードフェスティバベースのプライドを生産し、対米輸出をスタート。同年、フォード(株式10%)が資本参加。

 その後、カペラベースのコンコード、初代タイタンベースのトレード、6代目ファミリアベースのキャピタルを生産。

 1992年、起亜産業(当時)が生産したフェスティバの5ドア仕様をマツダが逆輸入し、日本国内で「フェスティバ5(ファイブ)」として限定販売。

 当時、マツダが開発したクルマを起亜が現地で生産する場合、部品については広島のマツダ系列の部品メーカーが、それぞれ対応する業種の起亜の系列部品メーカーと提携し、日本の系列関係をそのまま韓国に移植しようという試みが行われ、日本のマツダから韓国の起亜へと技術移転が行われた。

 1990年、起亜自動車に社名変更し、1991年には欧州法人、1992年には北米法人設立。1996年にはロータスエランを起亜ビガートの名称で生産開始。

 1999年3月、前年に起きた韓国経済危機の影響もあり経営破綻、現代自動車傘下になる。

 元VWグループのデザイン統括責任者のペーター・シュライアーがCDO(最高デザイン責任者)に就任。

 2012年12月に起亜自動車社長兼ヒュンダイ自動車グループの最高デザイン責任者に就任した。シュライアーは、タイガーノーズグリルを起亜ブランド共通グリルとして採り入れて、デザイン改革を推進、ブランド力向上に成功した。

■OPTIMA

VWグループ出身のペーター・シュライアーが起亜に招聘されて以降、デザインが大きく変わった。現在はルク・ドンカーヴォルケがヒュンダイグループ(起亜も含む)のデザイントップに、起亜のデザインセンターはカリム・ハビブが率いる。写真はヒュンダイソナタと兄弟車のオプティマ2021モデル

■STINGER GT

ペーター・シュライアーが考案したタイガーノーズグリル(全車種に採用)が特徴的なFR駆動の5ドアファストバック。エンジンは365ps/51.9kgmを発生する3.3L、V6ツインターボを搭載

■TELLURIDE

2019年4月、従来モデルのボレゴ後継モデルとして登場したミッドサイズSUVで3.6L、V6を搭載する。2020年4月に発表されたばかりのワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2020に選ばれた

 みなさん、いかがでしたでしょうか? かなり個性的なデザインのクルマも多くて、なかにはこれ何? というデザインのクルマもあったので楽しんでいただけたのではないでしょうか。

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