GRヤリスに込められた想い 「スポーツ4WDを復活させるぞ」社長の執念が結実


モータースポーツ初心者には1.5LのFF、CVTのRSも用意

こちらは1.5LのFF、CVTのRSグレード。見た目には1.6Lの他のグレードとは見分けがつかない

 GRヤリスの走りを気軽に楽しむためのグレードとして「RS」を用意。こちらの駆動方式はFFで、エンジンは直列3気筒 1.5Lエンジンに、ダイレクトシフトCVTを組み合わせている。

 パワートレインは1.5Lだが、3ドアの迫力あるボディやシャシー、インテリアは1.6Lの4WDグレードと同様で、しかも価格は265万円という手頃だから、街乗りだけで雰囲気を楽しみたいという人はこちらがお薦めだ。

 このダイレクトシフトCVTは、通常のCVTとは異なり、発進用のギヤを追加してある。

 そのためCVT機構側は通常より高速側に対応できるので、低速から高速域まで力強くダイレクトな走りが可能。

 また、マニュアルでのシフト操作の感覚が楽しめる10速シーケンシャルシフトマチック(パドルシフト)を装備している。

120ps/14.8kgmを発生する1.5LNAエンジン
発進用ギヤが追加され、発進から高速域まで力強くダイレクトな走りと優れた燃費性能を実現したダイレクトシフトCVT

GRヤリスの開発者に直撃!

 さて、GRヤリスはどんなクルマに仕上がっているのだろうか? GRヤリスをモリゾウさんとともに作ってきたGAZOO RACING Company GRプロジェクト推進部 プロジェクトマネジメント室 主査の齋藤尚彦さんに話を聞いた。

――まず1.6Lターボの4WD、RCとRZについてお聞きしたいと思います。どんなクルマに仕上がっていますか?

齋藤さん RCはモータースポーツの競技用です。ナビはありません。エアコンはオプションとなります。ベースのRZは1.6Lターボの4WDです。

 RZハイパフォーマンスになると、ホイールが軽量なBBS製鍛造ホイールが装着され、トルセンLSDが前後に入って、よりフロントに駆動力が入ります。

 タイヤがダンロップ製SP SPORTS MAXX050から性能の高いミシュラン製パイロットスポーツ4Sに変わっています。

 1.6Lターボの4WD全般にいえることですが、どのような路面でも楽しめるクルマになっています。

 ドライバーの好みに応じて4WDの前後配分が替えられる、これがGRヤリスの最大の特徴といえるではないでしょうか。

 駆動力配分は前:60、後:40のノーマルモード、前:30、後:70のスポーツモード、前:50、後:50のTRACKモードが用意されています。

――なぜ、自由に前後駆動力配分を変えることにしたのでしょうか?

齋藤さん 我々GRプロジェクト推進部は、プロのレーシングドライバーやモリゾウさんと一緒にGRヤリスを作ってきました。

 当然だと思いますが、プロのドライバーのなかにはいろいろなドライビングスタイルがあります。ブレーキを奥で踏んでV字で帰ってくる人と、手前から踏んでいって脱出スピード早くする人とか、それぞれドライビングスタイルは様々です。

 例えば、WRCドライバーでもタナックさんとマキネンさんではコーナーを進入する時のクルマの向きが全然違うんですよ。

 マキネンさんは最初から横向いているんですけれど、タナックさんはまっすぐ入ってまっすぐ出る。WRCでは、それぞれのドライビングスタイルに応じて、4WDの前後配分をメカで変えているんですよ。

 こうしたWRCの世界観を、お客様に気軽に味わってほしかったんです。4WDって前後の駆動力配分を変えるだけで、こんなに走りが変わるんだと。

 これを手軽に実現するためにどうすればいいかと、一所懸命、開発のエンジニアたちを集めて完成したのが、このヤリスGRです。この4WDシステムは1.5L、FFのRS以外に入っています。

――ボディはGRヤリスと同じ1.5L、FFのRSグレードに関してはどんなクルマに仕上がっていますか?

齋藤さん 265万円とお値段も手軽で、普段使いに乗っていだたいて、たまに走りが楽しみたい、そんな人にピッタリだと思います。

 RCやRZ(272ps/37.7kgm)のようにビッグパワー(RSは120ps/14.8kgm)でないですし、逆にいうと、ものすごく高剛性のボディとスタビリティの高いサスペンションで何をしても破綻しない、そういう、走りの楽しみ方があると思います。

――最後にこれからGRヤリスを買おうと思っている人にメッセージはございますか?

齋藤さん モリゾウさんに最初に乗ってもらったのは2年半、いや3年くらい前だったでしょうか。

 それから、壊しては直しの繰り返しで何回もダメ出しをもらって作り上げました。また、ラリーやサーキットまで様々なプロドライバーに乗っていただいたのがよかったと思います。

 とにかく軽量化にこだわり、全長を4m以内にすることに苦労しました。いろいろ課題はあったのですがコンパクトにできました。4WDですと、プロペラシャフトや排気菅、シフトケーブルなどがありますが、あらゆる点を凝縮してようやく軽量化できました。

――自働車会社の社長がこんなに開発に入るなんて前代未聞ですよね。しかもST205型セリカの時代から約20年ぶりに復活させました。どんな苦労があったのでしょうか?

齋藤さん 約20年ぶりにスポーツ4WDを復活させるぞと、モリゾーさんから檄を飛ばされた時に、正直、技術は残っていませんでした。あの頃の文献とか探してもまったく理解できませんでした。このGR-FOURは、モリゾウさんとともに勉強しながら作りあげたんです。

――ではこのGRヤリスにモリゾウさんと斎藤さんたちGRプロジェクトの人たちが流した汗と情熱が入っているということですね。

齋藤さん そうですね。ぜひモリゾウさんの世界ってどんな世界なんだろうって思うかもしれませんが、ぜひダマされたと思って味わってほしいです。GRヤリスは間違いなく楽しいと思いますよ。

 それに加えて、トヨタ自動車として初めて、新車の発売と同時にレーシングパーツを備えるというのは画期的なことです。

――いやあ、熱いですね~。乗った(試乗)人はわかっていただけると思います。実際、ボクも乗りましたが心臓が久しぶりにバクバクしましたから……。

齋藤さん モリゾウさんも私も、GRヤリスを買っていただいて、気軽にレースやラリーに出てほしいと思っています。

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