人気のライズやRAV4は? 走りの楽しさで選ぶ国産SUVランキング

 国産SUVは怒涛の新車ラッシュが続いている。マツダCX-30をはじめ、トヨタライズ&ロッキー、ハリアー、ヤリスクロス、日産キックスといった具合に、コンパクトからミドルサイズまでバラエティに富んでいる。

 あまりにも多すぎて、どのSUVを選べばいいのか? と悩む人も多いはずだ。

 そこで、今回はモータージャーナリストの松田秀士氏に、クルマ選びの指標の一つ、”走りが楽しい”ということを最重要ポイントにおいてもらい、走りが楽しいSUVを選んでもらった。

 さて、どんなSUVがランクインするのか? 各車どんな走りをするのか、松田秀士氏が解説する。


文/松田秀士
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部

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走りが楽しいSUV1位:マツダCX-8

マツダの4WDはオンデマンドながら進化を続け、高いスタビリティを持っている

 いまや国産SUVはコンパクトからミドルサイズまでバラエティに富んだモデルが多く、まさにこれから購入しようと思っている人はどのモデルがいいのか、さぞやお悩みのことと思う。

 そこで、私、松田秀士が独断と偏見で、走りが楽しいSUVをピックアップしてみた。

 さっそく1位からいってみましょう。走りが楽しい国産SUV1位はズバリ、マツダCX-8!

 CX-8に搭載されているエンジンは2.2Lクリーンディーゼル、2.5Lガソリン、2.5Lガソリンターボとバラエティに富んでいる。

 FFと4WDもラインナップ。マツダの4WDは、意外に知られていないかもしれないが、数年ほど前から4WD開発に力を入れている。

 CX-8は一見するとCX-5を伸ばして3列シートモデルを作ったと思うかもしれない。しかし実は北米で販売されるCX-9のプラットフォームを採用している。

3列シートSUVでは圧倒的な居住空間を実現するマツダCX-8。座ってしまえば広々しており、足元も窮屈さはない

 3列シートゆえにルーフが長め。だけどそのフォルムはクーペのように流れるように美しい。

 マツダのデザインポリシーである引き算の美学をしっかりと具現した飽きないデザイン。

 CX-8のエクステリアはどのような環境下でも美しさが光るのだ。サスペンションアーム類もわざわざCX-9用のモノを縮めてセット。

 ボディ全体の剛性感と室内静粛性はこのクラスでは上の部類。それゆえハンドリングはナチュラルそのものでFFだから4WDだからという大きな違いはない。

 マツダ独自技術のGベクタリング+も、より効果的にセットされていて、フロントサスペンションにリバウンドスプリングを採用して高横G時には不必要なロールを抑えている。

 しかも市街地など路面の荒れたエリアでの走行ではしなやかなストローク感があり、大人っぽい質感の高い乗り心地だ。

 先進安全技術のi-ACTIVSENSEでは、個人的に重要視している運転支援のACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKA(レーンキープアシスト)の制御性能が非常に高く、行動半径を広げてくれるはず。

 インテリアはシンプルでなおかつ質感が高く、メーターパネルの向こうには視線移動を少なくして疲労を軽減するヘッドアップディスプレイが表示される。

 2列目シートはセパレートした2座のキャプテンシートと3座のベンチタイプが選べる。3列目シートは座面が厚く、最高級グレードではナッパレザーによって座面の感触がとてもよくくつろげる。

 高速走行中、1列目と3列目の会話が普通にできる⁈ というほど会話を邪魔するノイズを低減している。

 ほかにも、北米仕様CX-9をベースとしているだけあってトレーラーの牽引フックがオプションで準備されている。

 これはディーゼルモデル限定だが、トレーラースタビリティーアシストというトレーラーの揺れを抑えるブレーキ制御も行うのだ。

CX-8は高速道路でも一般道でも走りのスタビリティが高い。足も硬すぎず柔らかすぎず、しなやかな動きをする

走りが楽しいSUV2位:トヨタRAV4

パワートレーンは171ps/207Nm(21.1kgm)を発生する2L、直4エンジン+10速シーケンシャルシフト付きCVT。そしてシステム最高出力222ps(2WD車は218ps)を発生する2.5L、直4エンジン+モーターのハイブリッドの2種類
フロントデザインはよりオフロードを想起させる「アドベンチャー」、より都会的な「G・Xグレード」の2種類を設定。左が「アドベンチャー」、右が「ハイブリッド G」

 「好きにまみれろ!」などのキャッチコピーはモデルそのものの個性を良く表現しているし、グローバルでの販売数を考えても今回1位にしたいところではある。

 しかし、これだけオフロード性能も高いモデルに仕上げるのだったら、ラダーフレーム構造をデフォルトに据えるCVカンパニー(※編集部註)に開発を任せる、という手もあったのではないかと考えるのだ。

※CVカンパニーとはトヨタ車体が中核メンバーとなり、商用車、トラック、ミニバン、ラダーフレーム構造のSUV、ピックアップトラックなどの車種群に責任を持つカンパニー。

 モノコック構造はマルチなモデルに対応することを考慮して設計される。事実RAV4のGA-KプラットフォームはカムリやレクサスESといったセダン系と共用だ。

 セダンとSUVの一番の違いは車高。プラットフォームは車種によってサスペンションの取り付け位置は変更できないので、車高を上げるにはそれなりに調整用付加物やハブキャリア側での位置変更が必要になる。

 つまりセダン&SUVどちらでも性能を発揮できるサスペンションを前提に設計されているのだ。

 その意味で、SUV専用設計のラダーフレームを持つRAV4だったら、もっと魅力的なモデルに仕上がったのではないか? とない物ねだりを考えてしまったのだ。

 SUV専用設計のプラットフォームではないことが1位CX-8に対して2位に甘んじたもう一つの理由。

 もちろんRAV4だけに限らず、この後に登場するモデルのほとんどがモノコック構造で、他車種とプラットフォームを供用するモデルなのだ。

 とまあ個人的なRAV4への苦言をぶち上げたが、それはRAV4というモデルが国産SUVのなかで紛れもなくトップクラスであるからこそだ。

 まずトヨタならではのハイブリッドとガソリンエンジンという2本立てパワートレーン。

 さらに4WDが3種類。アドヴェンチャーに採用されるダイナミックトルクベクタリングAWD。

 それ以外のガソリン車に採用されるダイナミックトルクコントロール4WD。そしてハイブリッド用のE-FOURだ。もちろんそれぞれにFFも用意されている。

 これはトヨタでなくてはできない。発売前に真冬の士別テストコース(北海道)でプロトタイプに試乗したが、ハイブリッドのE-FOURはリアモーターが強化されていてアジリティの高いハンドリングだった。

 新開発のトルクベクタリングAWD(アドヴェンチャー)も予想以上によく曲がる4WDだった。

 オフロードも試乗したが本格SUVらしいキャパシティーでオンロードも高いスキルを持っている。CX-8同様トヨタセーフティセンスによるADAS(運転支援)機能も充実している。

ダイナミックトルクベクタリングAWDを搭載した「アドベンチャー」のオフロード走行。対角線スタックでタイヤが空転してもトルクベクタリング機構が働いて駆動トルクを最適配分すると同時にブレーキLSDが働いて瞬時にトラクションを回復させる

走りが楽しいSUV3位:ホンダCR-V

パワートレインは、1.5L、直4ガソリンターボ+CVTと、2L直4と電気モーターを組み合わせたハイブリッドe:HEV+CVTの2種類。それぞれFFと4WDがある。ボディサイズはRAV4とほぼ同じだ

 3位にはホンダCR-Vを推した。理由はオンロードでのライントレース性能とサスペンションのホイールストロークの長さと柔軟性だ。

 国内発表時の試乗会場は神奈川県の道志みちと呼ばれる峠道だった。

 バイク族のなかでも人気のあるワインディングだ。道幅は狭め。1855mmの車幅のCR-Vはそこをスイスイと抜ける。狙ったラインを1mmも外さないほどステアリング操作に対する正確さがあった。

 あまりにわかりやすいハンドリングなので、すぐにこのコーナーではどれくらい操舵すればよいかがピンとくる。

 しかも操舵が一発で決まり、コーナリング中の修正舵をほとんど行わなくてよい。

 欧州系の高級SUVでもここまで素直なハンドリングを持つモデルはなかなか見つからないくらい。筆者自身、先日発売されたばかりのBLACK EDITIONを1週間ほど乗り回した。

 インテリアの質感も18インチBLACKアルミホイールのデザインもグー! e:HEVのモーターパワーと燃費の両立も魅力だ。

2020年6月のマイナーチェンジでハイブリッドモデルは2モーターハイブリッドシステムの名称を「e:HEV(イーエイチイーブイ)」に変更

走りが楽しいSUV4位:スバルフォレスター

e-BOXERを初搭載したフォレスターADVANCEは重量級ボディを軽々と加速させる気持ちよさが最大の魅力
写真左が上級装備を満載したハイグレードモデル、プレミアム)、写真右がアクティブさをより際立たせたモデル、X-BREAK

 4位はスバルフォレスター。スバルのボディ作りは日本一と筆者は信じている。

 衝突安全性能を含めてスキのないボディ構造。高剛性でステアリングを切った瞬間から応答するステアリングフィールは数あるSUVのなかでもフォレスターが一番だ。

 フォレスターの魅力はRAV4にも負けないオフロードでの走破性。4WDの技術に関してはオンロード/オフロードを問わず絶大なものがある。

 サスペンションはSUVのなかでも硬め。ゆえに限界域でもロールはそれほど大きくはない。

 パシッと張っているように感じるサスペンションだが、よーく観察すると初期はとてもスムーズに路面をなぞっている。

 ゆえに微細なギャップをスムーズに吸収してくれる。乗り心地もこれで確保されるが、路面の外乱に影響されにくい。e-BOXERによる電動モーターアシスト時の加速感も新鮮だ。

 水平対向エンジン縦置きによるシンメトリカルAWDにオフロードで威力を発揮するX-MODEを備えている。

 どんな路面でも最大限のトラクションを得て、安心・安全に運転できるためのデバイスだが、e-BOXERはこのX-MODEとのマッチングもすばらしい。

 低回転から大きなトルクが立ち上がるモーターのトルク特性を生かすことにより、悪路での緻密なアクセルコントロールを可能とし、その結果、悪路での走破性を高めることに貢献している。

 ほかのモデルがFFベースのエンジン横置きなのに対して、フォレスターは前後左右の荷重配分で理想的なメカニズムが生む走りは次元の異なるものだ。

走りが楽しいSUV5位:マツダCX-30

エンジンはCX-3と同じ2Lガソリン、1.8Lディーゼルターボ、点火にプラグも使うガソリンエンジンながらディーゼルエンジンのように圧縮着火とすることで動力性能と燃費を高次元でバランスさせたという2LのSKYACTIV-Xという3つを設定

 5位はマツダCX-30。ベースはCX-3のプラットフォームだ。エクステリアデザインはマツダの真骨頂。

 そしてインテリアのデザインもさることながら質感が素晴らしい。国産で一番の出来。欧州勢にも劣らない。

 これによってドライバーのモチベーションがアゲアゲになる。といってもアドレナリン系のイケイケでなく、セロトニン系のホクホクな感じ。

 乗り味は少し硬めの締まったサスペンションがもたらすリニアなもの。ステアリング操作の初期段階からスッと向きを変える。

 一瞬、硬そうと感じる足のストローク感も、ステアリングを切り込むにしたがってプログレッシブに潰れて、コーナリングの姿勢はロールが深すぎず浅すぎない。

 S字カーブの切り返しではすぐに姿勢がデフォルトに戻り、連続した切り返しの操舵に素直に追従する。

 慣れの必要もなく、なにも考えず、すぐにコーナリングをドライブさせてくれる素の気持ち良さがある。

 話題のSKYACTIV-Xエンジンのほか、2Lガソリン、1.8Lディーゼルをラインナップ。FFと4WD、そして6速ATと6速MTを用意するところが走りを愛するマツダらしい。

難なく登板路をこなしていくCX-30

走りが楽しいSUV6位:日産キックス

キックスはエンジンを極力かけないように緻密に制御しているので、ノートに比べて走りの質感はケタ違いに上がっている

 6位は日産キックスだ。仲間ともいえるノートe-POWERに後輪モーター駆動式の4WDがラインナップされているので今後追加される可能性があるが、現在のところはFFのみ。

 というところが6位に甘んじた理由の一つ。キックスはノートとは別の欧州マイクラのプラットフォームを踏襲している。

 ドイツ・アウトバーンなどを走るため、より高速向けのプラットフォームなのだ。

高速域でのハンドリングのしっかり感はドライバーに安心感を与えてくれる。高張力鋼板を使うことでボディ剛性もしっかり確保しているからスタビリティも高い

 キックスは大幅にe-POWERのモーターアシストを見直したことで、加減速を含む電動モーターのリニアリティが進化した。

 ノートe-POWERよりエンジン5%アップ、バッテリー出力15%アップ、モーターパワー19%アップの95kWの出力を発生する。最大トルクも254Nmから260Nmへと力強くなっている。

 ボディもしっかりしているのでサスペンションがスムーズにストロークする。

 これはバンプラバーにソフトに減衰するウレタン材を採用したことが大きい。0.1Gという早い時点からラバーを当て、大径のダンパーとともに初期ロールは素直に、横Gが増えるとしっかりと減衰を上げて、過剰なロールも抑えているのだ。

 またキャスター角を10°増やし、直進性をしっかりさせ、同時に転舵時のキャンバー変化増加により、タイヤの接地性を上げている。

 欧州車系の非常にスッキリとした馴じみやすいハンドリングだ。オフロードは未知数だがキックスのオンロードでの走りはコンパクトSUVのなかでも個性のある楽しいものだ。

ボディサイズは全長4290×全幅1760×全高1610mmとコンパクト。e-POWERの走りの気持ちよさを含めてキックスの魅力度は高い

走りが楽しいSUV選手権7位:トヨタハリアー

新型ハリアーは、「オーソドックスなSUVの現行RAV4をベースにインテリアをゴージャスに、エクステリアもクーペルックにするなどしたプレミアム感あふれるスペシャルティSUV」という成り立ち

 同じプラットフォームを使ったRAV4が2位に入れたのになぜハリアーが7位なのかと思う人は多いかもしれない。

 この両車の性格付けがまったく違う。RAV4はオフロード指向のSUV、ハリアーは大人向けの都会派SUVと、同じプラットフォームを使いながらまったく異なっている。

 ハリアーとRAV4を同じ日に乗り比べてみたが明らかに走り味が違った。RAV4の足はオフロードの走行も視野に入れているため、ストロークがあり、しなやか。一方のハリアーはオンロード重視のため、ストロークがあまりない。

 これはどういうことかと具体的にいうと、路面の凹凸を乗り越える時に、「タタタタン」という、クルマのお尻(後部)が路面からの突き上げで叩かれるのだが、ボクはこれをタッピングと言っている。

 このタッピングがRAV4よりもハリアーほうがバンバン来る。2L、FFのハリアーはもっとひどい。これはリアサスペンションが固いのが原因。

 まあ、オンロードで走るために、ロールも抑えなくちゃいけないから、ストロークを少なくするのはわかるんだけどね。明らかにRAV4の方が乗り心地がいいし、しなやか。でも静粛性はハリアーの方が上。耳障りなロードノイズも少ない。

 ハリアー2.5Lハイブリッドの加速感は、2Lガソリンよりも低速域が力強い。電動パワーステアリングは素直でよく磨き上げている。そういった点は評価したい。

 都会派SUVとして、なによりカッコいいし、静粛性は高いのは評価できるが、総合的にSUVとして考えた場合、もうちょっと煮詰めが必要かな。それでこの順位にした次第。

走りが楽しいSUV選手権8位:トヨタライズ&ロッキー

ボディサイズは全長 3995×全幅1695×全高1620mmという5ナンバーサイズ。搭載される1L、直3ターボエンジンは98ps/14.3kgmを発生

 トヨタとダイハツの協業によって生まれたコンパクトSUVのトヨタライズ&ダイハツロッキー。

 月販販売台数ではライズが1位の常連になっているが、これはもうマーケティングの大勝利。軽自動車やコンパクトカー、ダウンサイザーにとって、一番小さい5ナンバーSUVという、これまでありそうでなかったツボにキター! という感じだね。

 肝心の走りはというと、970~980kgという1トンを切る軽いボディに、1L、直3ターボとCVTで、小気味よくキビキビ走る。4WDも用意されているが、SUVというよりはリッターカーを走らせている印象。

 ただし、足回りはSUVには不釣り合いなほど柔らかく、ロールやピッチングも大きいし、突き上げも感じる。

 走りや乗り心地に関しては、ほかのSUVと比べると厳しい評価をせざるをえないが、都内や街中で乗るには、ほかのSUVにはない魅力が際立ってくる。

 軽量な5ナンバーサイズのボディで、取り回しがしやすく、軽快な走り。そして167万9000~228万2200円という手頃な価格。そんなところが大ヒットしている所以なのだろう。

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