なぜこのタイミングでエンジンを全面刷新したのか?
このタイミングでエンジンを全面刷新した最大の理由は、新型レヴォーグに相応しいエンジン性能目標を達成するには、既存のFA型やFB型がベースでは難しいと判断したから。
CB18型の開発にあたっては、出力特性、燃費、安全性のすべてを高次元でバランスさせることを念頭に改良を図ったという。
実のところ初代のユーザーからはFB16型の動力性能への不満の声が少なからず聞かれた。
スバルにとってツーリングワゴンはパフォーマンスワゴンであり、それでは非常によろしくない。そこでエフィシェンシー(効率)を確保しながらパフォーマンスを高めるべく、排気量を増やすことを考えた。
とはいえ、2Lまで拡大すると燃費面で不利になってしまうので、1.8Lとすることを前提に、クランク長からボア×ストローク、ボアピッチなどすべてを1.8Lエンジンとして最適となるようイチから設計し直した。以前のように既存品からブロックを流用しておらず、完全新設計となる。
CB18型ではレスポンスを向上して低回転域からトルクを立ち上げるためにターボチャージャーを小径とするとともに、リーンバーンを採用して効率を高めているのも特徴で、空気過剰率(実際に供給される空気量を理論上必要な最少空気量で割った値)は2を実現しており、空燃比は25~26程度となり、熱効率は40%を達成している。
リーン燃焼中はミラーサイクルではなく、ターボチャージャーによる過給で空気を送り込み補っている。
他社で見受けられる高応答エアサプライのようなシステムを用いる案も考えたが、ターボチャージャーをより効率的に使おうとの発想からオーソドックスな手法としたという。
さらに、リーンバーン化に合わせてインジェクターを着火性に有利なセンターマウントとするとともに、FB16型にあったタンブルジェネレーションバルブを、ポンピングロス低減のために廃している。ノッキングにも万全に配慮しており、レギュラーガソリン仕様を維持しているのもありがたい。
ターボチャージャーはシングルスクロールに変更
ターボチャージャーは、FB16型のツインスクロールをやめて、CB18型ではシングルスクロールとした。
それは排ガス対策の一環として触媒を少しでも早く温めるため、できるだけ熱を逃がさず触媒に集められるよう、従来は左右2本ずつ出ていた排気系をCB18ではヘッドのなかで1本にしたというやむをえない理由によるものだ。
また、リーンバーンを採用すると三元触媒が効かないため、NOxが出てしまうことに対しては、NOxを吸着して還元するトラップ触媒を採用した。
燃焼効率のさらなる向上のため、エンジン自体も工夫している。たとえばフリクション低減を図るべく、オフセットシリンダーを採用したほか、ピストンスカートにもともと潤滑性のあるコーティングを施していたところにパターンを配し、オイル保持だけでなく必要な時に必要なオイルをかき集めるようなアイデアを採用した。
オイルが常に介在するとそれはそれで不都合があるところ、これにより爆発工程前と圧縮工程の力を受けるタイミングだけ適宜オイルを集めることができるという。
そのほかにも多岐にわたり変更されているが、効率向上のため、可変式のオイルポンプをスバルとして初めて採用したのも新しい。これによりエンジンオイルの総量を減らすことができたのもメリットのひとつだ。
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