競争の激しい軽自動車作りのノウハウを小型車に展開したのが成功した理由
以上のようにトヨタのダイハツ製OEM車が好調に売れる理由は、「軽自動車のノウハウを小型車に展開する」という、ダイハツならではのクルマ作りを行ったからだ。
背景には競争の激しい軽自動車の開発を通じて、ダイハツが小さなクルマ作りを磨いてきた実績もある。
トヨタとの共同開発では、ダイハツの良さを十分に発揮できなかったが、OEM車になったことで商品力が向上した。
特に2016年にダイハツがトヨタの100%出資に基づく完全子会社になってからは、価格帯を含めて、トヨタ製とダイハツ製で明確に線引きされるようになった。
コンパクトカーの場合、1Lエンジンを搭載するパッソの売れ筋価格帯は130万~150万円だ。トヨタ製のヤリスは1Lエンジンも用意するが、主力は1.5Lで、160万~190万円が売れ筋になる。ハイブリッドは200万~230万円だから、パッソとヤリスでは価格帯がほとんど重複しない。
コンパクトSUVも同様だ。2WDの場合、ダイハツが製造するライズの売れ筋価格帯は190万~206万円だ。トヨタ製ヤリスクロスは202万~221万円。ハイブリッドは240万~260万円に高まる。これもライズが安く、ヤリスクロスはその上の価格帯に位置する。
軽自動車を中心に手がけてきたダイハツは、コスト低減が得意だから、コンパクトカーのなかでも価格の安い車種を扱う。トヨタとの役割分担が明確になり、合理性を高めた。
今後のダイハツは、DNGAをベースに、トヨタとは視点の異なる割安なコンパクトカーを開発するだろう。まずはDNGAを使った次期型のルーミー系姉妹車やブーン&パッソが登場して、その後に空間効率の優れたSUVなども加わるに違いない。
かつてモータースポーツ向けに、小排気量ターボのストーリア/ブーンX4があったが、とても楽しいクルマであった。
クルマ好きとしては、ロッキーのみに設定されるプレミアムのような、OEMのトヨタ車とは違うダイハツならではのバリエーションも欲しい。
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