JAIA(日本自動車輸入組合)が発表した2020年上期(4月~9月)の輸入車新規登録台数ランキングを見ると、MINI(BMW MINI)がNO.1となっている。
モデル別のランキングではJAIAが1988年にモデル別販売台数の調査を初めて以来、28年間トップに君臨してきたVWゴルフを引きずりおろし、2016年にMINIが初めて輸入車NO.1の座を獲得。以来、2019年まで4年連続で輸入車NO.1の座を盤石なものとしているのだ。
ちなみにブランド別では2015年からメルセデスベンツがVWを抑えて輸入車NO.1ブランドとして君臨している。ブランドとしてのMINIは5~6位をキープしている。
なぜ、これほどまでにMINIは日本人に愛されているのか? MINIが売れる理由をモータージャーナリストの石川真禧照氏が解説する。
文/石川真禧照
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 BMW
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ベストセラーのVWゴルフを抑えてMINIがNO.1な理由
なぜ、世界的なベストセラー、VWゴルフを抑えて輸入車NO.1の座に立ち続けていられるのか? そこにはMINIの巧みな販売戦略が隠されているのか? MINIが売れ続けている理由を多角的に考察していこう。
なぜMINIがモデル別でトップに立ち続けていられるのだろうか? MINIを販売する営業担当者に話を聞いた。
「特に日本においては、クラシックMINIの時代から、MINIは日本のユーザーに愛されてきました。2002年3月からBMW製のMINIとして新たなブランド展開となりましたが、クラシックMINIの哲学を継承しています。
クルマを買いたい人ではなく、MINIに乗りたい、という指名買いの方が多いので他社を競合することなく、販売されています。
やはりクラシックMINIの哲学を受け継いでいる、これが日本のみなさまに愛され続けている最大の理由ではないでしょうか。それが1位になった理由と考えております」という模範回答が返ってきた。
しかし、世の中、そんなきれいごとで済むはずがない。各インポーターが1台でも多くの新車を売りたいと、しのぎを削っているのだ。
MINIが販売増を計画し、実行しはじめたのは2014年に遡る。当時MINIディビジョンに本部長として就任したF・ロカ氏は、
「我々は2002年、日本に上陸した時点でディーラーは69店舗だった。約10年で114店舗に増やした。さらに14年以降、1~2年で10%増やす」と公言している。
実際に2014年前半には5店舗増えた。その後もこの方針は受け継がれ、現在では約280店舗まで増えている。
このディーラー数の増加と、日本でのMINIの販売台数の伸びを比較してみると、2015年あたりから2万台超えを達成し、VWゴルフに急速に迫り、2016年にはついに2000台近くの差をつけ2万4548台でMINIがトップに立った。
ただし、ブランド別での新車登録台数は、VWは2015年にメルセデスにトップの座を明け渡したものの、2016年は4万7234台で3位。MINIは2万4548台で5位になっている。
この数字を見て、賢明な読者は気が付いたかもしれない。MINIは車別の新車登録台数とブランド別の登録台数が同じなのだ。他ブランドは何車種かを販売しているので、それぞれの車名でランキングされている。
例えばBMWの場合、MINIのほかに3シリーズ(2018年7位)、5シリーズ(同8位)、2シリーズ(同9位)、X1(同10位)にランキングしているのだ。VWもゴルフは2位だが、4位にポロが入っている。
MINIのラインナップを見てみると、3/5ドア、コンバーチブル、クロスオーバー、クラブマンの5車種が揃っている。さらに各モデルにジョン・クーパー・ワークスというチューニングモデルが用意されている。
どれもMINIなのだ。一時期は3ドアクーペのペースマンというモデルもあった。この5車種を合わせた新車登録台数がBMW MINIとして発表されているのだ。
ほかのブランドはセダンとクーペ、ステーションワゴンにコンバーチブルが加わるぐらいだが、MINIの場合はそれらの車種に特徴を持たせ、より多くのユーザーのニーズに合うように開発され、提供されている。
ここからは、なぜ売れているのか、主要なMINIそれぞれのモデルの魅力を解説していきたい。
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