革新的すぎたアイデアと技術とコンセプト 生まれるのが早すぎたクルマたち10選

■『もしこれが欧州車だったら当時でも高評価だったかも?』(片岡英明)

 バブル期に開発され、送り出された新型車はアクの強いクルマが多い。デザインは個性的だし、メカニズムに対するこだわりも強烈だ。また、ジャンルを超えたクロスオーバーの作品も多かった。

 バブルに惑わされ、大胆な挑戦や試みを好む風潮が強かったから、頑張りすぎて失敗してしまったのである。

 失敗作の中には今の時代なら売れたのでは、と考えられるクルマが少なくない。その筆頭が、傑作と言われたR32型からバトンを託された9代目のR33型スカイラインだ。

3ナンバーサイズの全幅とし、ホイールベースも延ばしたR33型スカイラインは、今の目で見たら「大正解」。リニアチャージターボも、現代流だ
3ナンバーサイズの全幅とし、ホイールベースも延ばしたR33型スカイラインは、今の目で見たら「大正解」。リニアチャージターボも、現代流だ

 ふくよかな3ナンバーのワイドボディをまとい、リニアチャージコンセプトを採用した直列6気筒ターボは驚くほど扱いやすかった。

 が、ファンからは大柄なボディが嫌われ、走りも薄味になったと酷評され、販売は伸び悩んだのである。あのGT-Rでさえ売れなかった。

 が、今ならウエルカムだろう。若さのないデザインをキレのいいデザインにし、メカニズムには今の技術を投入する。エンジンは新設計の直6だ。

 ダイハツのアプローズも今ならヒットするだろう。

4ドアセダンのシルエットだが、Cピラー部からハッチゲートでガバッと開くダイハツアプローズ(写真は後期モデル)
4ドアセダンのシルエットだが、Cピラー部からハッチゲートでガバッと開くダイハツアプローズ(写真は後期モデル)

ちょっと見は3ボックスの4ドアセダンだが、実は巧妙にデザインされた5ドアハッチバックだったのがアプローズだ。シトロエンのエグザンティアと同様の合理的な設計のファミリーカーだった。

 マスコミとの確執により失敗作の烙印を押されたが、今の時代はVWアルテオンのようにキュートな5ドアセダンが売れる時代だから、復活すれば買う人は多いはず。

 FFスポーツクーペの地位を捨てて新しい舞台に飛び込み、失敗したのがホンダのCR-Xデルソルだ。最大の売りは世界初の電動開閉式ルーフの「トランストップ」である。が、そのよさが認められず販売は低迷した。

ホンダ CR-Xデルソル
ホンダ CR-Xデルソル

 先代のCR-Xと大きく違うために敬遠されたが、これに刺激され、ベンツのSLKやBMWのZ4が誕生している。今の時代なら絶対にヒットするはずだ。

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