アクア、フィット…初期型はイマイチでも改良で名誉挽回したクルマたち 5選

■ホンダ フィット(先代)

 先代のフィット3が出た時、いくつかのメディアでガソリンはよしとして、ハイブリッドはダメだと率直な思いを書いた。まだ新車だから、みんな忖度して好意的な記事を書いていた頃だ。

 でも僕は、まずテストコースでプロトタイプに乗って頭のなかが「?」だらけになり、さらに公道で市販版に乗って、ハイブリッドは全然未完成であることを確信した。

 となると、フィット2のハイブリッドに乗っていた人が、同じように乗れると思ってフィット3を買うとまずい。買った人にとってもホンダにとっても不幸だ。

 そこで僕は、警鐘を鳴らす意味も込めて率直な印象をありのまま書いた。

フィット3を苦しめたi-DCD。フィット3後期型ではかなり改善されたのだが、フィット4ではi-DCDを捨ててe:HEVを採用。もったいない
フィット3を苦しめたi-DCD。フィット3後期型ではかなり改善されたのだが、フィット4ではi-DCDを捨ててe:HEVを採用。もったいない

 ある編集部からは、このまま掲載するのはいかがなものかと確認されたけど、僕はぜひそのまま載せてほしいと伝えた。その後の顛末はご存知のとおり。

 まさかあれほどまでにリコールが続くとは思ってなかったけど、結果的にハイブリッドがよろしくなかったことが証明された格好になった。

 すると過去記事がネット民から掘り返され称賛されたこともあったようだが、その後フィット3についてたまたまメディアで書く機会に恵まれなかった(苦笑)。

 でもまあ折にふれてフィット3に乗る機会はあったので、やがてi-DCDの制御が劇的に改善されたり、直進性が格段によくなったり、乗り味が洗練されたことは確認していた。

 ホンダの関係者にはその旨を伝えることはできたけれど、もっと世のなかにもちゃんと知らせる機会を積極的に作るべきだったように思っている。

 かたや新しくなったフィット4の完成度は出ていきなりかなりのもの。今度はそのよさをしっかり読者のみなさまに伝えていかなければ!

(TEXT/岡本幸一郎)

■BMW2アクティブツアラー

 BMWはコンパクト系にもハンドリングを重視してFRというコンセプトを貫いていた。その代表的モデルが1シリーズだったわけ。

 M140iなんて直6エンジンをあの狭いエンジンルームに縦置き。覗くとギッシリ感満点のエンジンルームだった。

 縦置きでエンジンルーム長いからキャビンは狭い。エンジン横置きのFFが主流のこのクラスで「ハンドリングが大事だ!」とひとりFRにこだわっていたのでした。

 ところがある日突然2シリーズ・アクティブツアラーなんてモデルをリリースしてFFを発売したのです。BMWお前もか! と叫びたくなったものでした。というのも初期モデルにボクはそれほど感動しなかったから。

 BMW製MINIはFFなのだから同じプラットフォームを使えばそれほど難しくなくBMWらしいハンドリングの味つけが可能だろうと踏んで試乗したのだが、ステアリングフィールやサスペンションの動きにも素直さが見られず、ちょっとガッカリしたのを覚えている。

 当時はメルセデスもFFとなったAクラス(BMWよりもずっと前からFF)に手こずっているように見えたので、BMWも仕方がないか? だったのだ。

 しかし、そのガッカリから半年くらいして試乗会に出向きステアリングを握って驚いた。初期モデルの悪印象が払しょくされて、驚くほどハンドリングも乗り心地も改善していた。

 さらにPHEVモデルはリアモーターのみのFRモードも設定されている。やっぱり! とメーカーの意気込みを感じたのだ。そして現行モデルにはグランクーペが追加デビューして、FFでもアジリティー豊かなBMWらしい味つけになっている。

 BMWコンパクトFF系名誉挽回の思い出でした。

(TEXT/松田秀士)

BMWはやっぱFRっしょ! という人にも納得のレベルに進化した2シリーズ。まさに名誉挽回である(写真はグランクーペ)
BMWはやっぱFRっしょ! という人にも納得のレベルに進化した2シリーズ。まさに名誉挽回である(写真はグランクーペ)

次ページは : 【番外コラム】マイナーチェンジで名誉挽回できるクルマの条件

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