カッコよければ売れる!? “なんちゃってクロスオーバー”がいい!

■増加する軽自動車のクロスオーバー

お馴じみのハスラー。製フェンダーやバンパー、アンダーガードなどクロスオーバーSUVスタイル。最低地上高も180mmを確保
お馴じみのハスラー。製フェンダーやバンパー、アンダーガードなどクロスオーバーSUVスタイル。最低地上高も180mmを確保

 続いて、最近増えてきたのがアンダーガードやバンパー、ルーフレール、大型アルミホイールなどを装備した、クロスオーバースタイルの軽自動車。一見するとどれもなんちゃってクロスオーバーSUVに見えるので、各モデルはなんちゃってクロスオーバーSUVなのか、見ていきたい。

 最も注目されるのはハスラーだろう。ワゴンRをベースに開発されたから設計は古くなったが、最低地上高は180mmと余裕がある。悪路のデコボコも乗り越えやすい

 4WDには雪道やアイスバーンでのタイヤの空転を抑えるスノーモードやぬかるみなどの滑りやすい路面で片輪が空転した場合などに走破力を高めるグリップコントロール、滑りやすい下り坂を安定して走破できるヒルディセントコントロールの機能も用意されている。

 さらに荷室には汚れを落としやすい樹脂素材が使われ、ネットや棚を装着する時に便利なユーティリティナット(穴)もある。助手席の背もたれを前方に倒すと水平になり、テーブルのように使うことも可能だ。

 このほかディーラーオプションも豊富で、車内を就寝スペースに変更できるベッドクッション、ウインドウに取り付けるカーテンやプライバシーシェードを用意した。走破力から車内の使い勝手まで、SUVの機能をバランス良く高めている。

 樹脂製フェンダーやバンパー、アンダーガード、最低地上高180mmと、なんちゃってではなく、ちゃんとしたクロスオーバーSUVに仕立てられている。

■スズキハスラー
1:ボディサイズ/全長3395×全幅1475×全高1680mm
2:最低地上高/180mm
3:四輪駆動方式/ビスカスカップリング式
4:ポイント/ハスラーは2代目となって4WDにはスノーモードを設定するなど、既存のジムニーのヘビーデューティなイメージからカジュアルさを与えた

最低地上高や四駆システムはスペーシアと同じで変更点はないが、樹脂製バンパーやグリル、ルーフレールなどクロスオーバーSUV風のデザインはカッコいい
最低地上高や四駆システムはスペーシアと同じで変更点はないが、樹脂製バンパーやグリル、ルーフレールなどクロスオーバーSUV風のデザインはカッコいい

 スペーシアギアは見るからにやる気のあるクロスオーバーという印象がある。しかし、最低地上高は150mmで、標準仕様のスペーシアと同じだ。ハスラーと違って拡大されておらず、サスペンションのセッティングも変更はない。

 4WDの付加的な機能もなく、ハスラーのようなグリップコントロールなどは採用されない。つまり走りの機能にSUVの特徴は見られない。

 その代わり外観はSUVらしさが濃厚だ。ボディサイドのプロテクター風の装飾など、デザインの演出が巧みで、最低地上高に変化はないが車高が持ち上がったように見える。

 内装は水を弾くシート生地が採用され、荷室には汚れ防止の加工を施した。オプションも充実しており、車中泊に適したリラックスクッション、ボディに結び付けて日陰を作るカータープなどが用意される。

 走破力を向上させる工夫がないのは残念だが、楽しく遊べるクルマに仕上げた。ハスラーが本気のクロスオーバーSUVなら、こちらはなんちゃってクロスオーバーSUVといえるかもしれない。とはいえ、ハスラー以上の道具感があるのでいいんじゃないだろうか。

クロスオーバーSUV風というよりギアという車名のとおり、道具として使い倒すイメージ
クロスオーバーSUV風というよりギアという車名のとおり、道具として使い倒すイメージ
スペーシアギアのインパネ。ツールボックスをイメージしたインパネアッパーボックスなど、道具類に囲まれたガレージのような空間が、遊び心を感じさせる
スペーシアギアのインパネ。ツールボックスをイメージしたインパネアッパーボックスなど、道具類に囲まれたガレージのような空間が、遊び心を感じさせる


■スズキスペーシアギア
1:ボディサイズ/全長3395×全幅1475×全高1800mm
2:最低地上高:150mm
3:四輪駆動方式/ビスカスカップリング式
4:ポイント/ハイトワゴンとしての魅力に加え、アウトドア・ユースを考えるユーザーに向けてアピールする

カクカクしたボディに樹脂製フェンダーやバンパーなど無骨なスタイルのタフト
カクカクしたボディに樹脂製フェンダーやバンパーなど無骨なスタイルのタフト

 いっぽうでスズキのライバルたちに対抗してダイハツが2020年8月に発売したのが、軽クロスーバーのダイハツタフトだ。

 開発コンセプトは、“Tough&Almighty Fun Tool”。簡単にいえば、幅広く使い倒せるタフな相棒を狙っている。それだけに使い倒したくなる、SUV風味たっぷりのタフなデザインを採用する。

 ダイハツの軽クロスオーバーといえば、1999年発売の「ネイキッド」を思い出すが、それよりもワイルドで、よりシンプルな直線スタイルと樹脂製フェンダーモールがパンチを利かせる。

 しかし、ただ外観を無骨にしただけでなく、190mmを確保した最低地上高や165/65R15の大径タイヤなどのアイテムを備えており、アウトドアシーンや降雪地での活躍を予感させる。

 軽快な印象の外観デザインとともに190mmの最低地上高などオフロード走行を意識した設定はいかにもクロスオーバー的で、なんちゃってクロスオーバーSUVとは言い難い。また電動パーキングブレーキ(ダイハツ初)を採用したことは街中使いにも配慮した設定といえる。

最低地上高は190mmと本格派。見た目も含め、オフロード走行を意識した設定はいかにもクロスオーバー的
最低地上高は190mmと本格派。見た目も含め、オフロード走行を意識した設定はいかにもクロスオーバー的


■ダイハツタフト
1:ボディサイズ:全長3395×全幅1475×全高1630mm
2:最低地上高/190mm
3:四輪駆動方式/ビスカスカップリング式
4:ポイント/スクエアなフォルムとカジュアルさが魅力。グラスルーフや電動パーキングブレーキなど装備も充実させた

最新の三菱デザインのアイコン、ダイナミックシールド顔を採用するekクロス
最新の三菱デザインのアイコン、ダイナミックシールド顔を採用するekクロス

 三菱ekクロスはいわゆるデリカD:5など同じ三菱の最新デザインのアイコン、「ダイナミックシールド」を採用したekクロス。

 最低地上高は155mmだから、eKワゴンと同じだ。4WDに悪路走破力を高めるような機能は採用されていない。内装は上質だが、荷室に汚れを落としやすくするような工夫は見られない。

 つまりeKクロスは、eKワゴンのフロントマスクやアルミホイールを変更した仕様ということになる。ルーフキャリアなどは用意されるが、クロスオーバーSUVとして、外観はかなりカッコいいが、走破力と内装ともにもう少しクロスオーバーSUVテイストに仕立ててほしい。


■三菱ekクロス
1:ボディサイズ/全長3395×全幅1475×全高1640(4WD:1660)mm
2:最低地上高/155mm
3:四輪駆動方式/ビスカスカップリング式
4:ポイント/見た目の印象はフロントグリルなど強めだが、クロスオーバーSUVとしての中身は「ソフト」といえる仕上がり

次ページは : ■なんちゃってクロスオーバーSUVがもっと増える!?

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