カッコよければ売れる!? “なんちゃってクロスオーバー”がいい!

■なんちゃってクロスオーバーSUVとはどんなクルマ?

古くはレガシィグランドワゴンやボルボクロスカントリーは樹脂製バンパーやフェンダー、アンダーガード、ルーフレールを装備し、見た目、最低地上高、4WD性能も本格的だった。しかしいつの頃からか、見た目だけで4WD性能の高くないなんちゃってクロスオーバーSUVが登場してきた。2006年に登場したこのクロスポロもそんな一台だった
古くはレガシィグランドワゴンやボルボクロスカントリーは樹脂製バンパーやフェンダー、アンダーガード、ルーフレールを装備し、見た目、最低地上高、4WD性能も本格的だった。しかしいつの頃からか、見た目だけで4WD性能の高くないなんちゃってクロスオーバーSUVが登場してきた。2006年に登場したこのクロスポロもそんな一台だった

 スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル=SUVといえば、ラダーフレームを備えたランドクルーザー300やプラド、ジムニーなどのクロカン四駆を筆頭に、いまではハリアーやRAV4、C-HR、カローラクロス、ヤリスクロス、ライズ、エクストレイル、フォレスター、CX-5、CX-30など、モノコックボディながらも、それぞれ都会派SUV、ラフロード派、FFしかないライトなものまで、実にさまざまな形態がある。

 そのなかでクロスーバーSUVのルーツといえば1995年に発売されたレガシィグランドワゴン(アメリカ名はアウトバックで1994年発売)が、クロスオーバーSUVのルーツであったように思う。

 レガシィの最低地上高を200mmに高めてSUV風のスタイルに仕立てていた。その後継車となる、現行アウトバックは誰が見ても本物のクロスオーバーSUV。スバルXVにしてもインプレッサスポーツをベースに最低地上高を200mmとして、フォレスター譲りのXモードを備えたAWDを装備するなど、本格派のクロスオーバーSUVも存在している。

 最近増えてきたのが、既存のFF車をベースに、側(外観のみ。内装も変更している場合もあり)だけクロスオーバーに仕立てた、クロスオーバー風のモデルだ。

 モデルチェンジで消えてしまったが、先代アクアクロスオーバーや先代ノートシーギアは既存のボディをそのまま使い、最低地上高やサスペンションの設定はベース車と同じで、外観やホイールをSUV風にドレスアップしていた。

 アクア/シエンタ/ポルテ/スペイドは、同じく2019年10月4日、各車種に特別仕様車のグランパーを設定。

 この4台の特別仕様車は、クロスオーバーとは表現していないが「グランピングをはじめ、カジュアルなアウトドアの雰囲気に合う特別仕様車」 としている。フロントグリル、ドアミラー、ホイールキャップをブラックに塗装するなど、外観をそれらしくアレンジしている。 

 フリードは2019年10月18日のマイナーチェンジで、クロスターと呼ばれるグレードをNAエンジンとハイブリッドの両方に用意した。フィットのクロスターも2020年2月14日に登場している。

 輸入車のなんちゃってクロスオーバー車は、筆者の記憶が正しければ2006年にVWポロに設定されたクロスポロが最初ではないだろうか。

 そもそもなんちゃってクロスオーバーという定義がないのは明白なのだが、ここでなんちゃってクロスオーバー車と呼んでいいのはどんなクルマか考えてみたい。

 クロスオーバーSUVに搭載されている4WDシステムといえば、悪路走破性の高いパートタイム方式(ジムニーやハイラックス)、センターデフや電制カップリングなどを備えるフルタイム4WD(ランクル、フォレスター、スバルXV、アウトバックなど)。

 そして最も一般的なのが、基本はFFでビスカスカップ式を用いて、前輪のスリップを感知した場合に駆動力を後輪に配分するスタンバイ(オンデマンド)式だ。電子制御式であればタイヤのスリップを予測して4WDに切り替えることも可能。

 最近では、プリウスやC-HR、ノートなど後軸上に電動モーターを装備して、適切に後輪を作動させて四輪駆動とする4WDシステムが目立ってきている。

 たとえば、トヨタのヤリスクロス(2020年8月発売)とカローラクロス(2021年9月発売)の矢継ぎ早に市場に導入された2車種の「クロス」を見ると、ヤリスではガソリンモデルでは電子制御の油圧多板式カップリング、ハイブリッドは「E-Four」と呼ばれる後軸モーター駆動方式を採用。カローラにはハイブリッド仕様のみに「E-Four」を与えて、ガソリン車はFFのみの設定となる。

 その他のクロスオーバーを見ると、前述のノートオーテッククロスオーバーは、FFベースの前後輪をモーターで駆動する4WDシステムとなる。ホンダのフィットクロスターはハイブリッドを含めプロペラシャフトを用いたビスカス式を採用する一方で、フリードは世代の違いからか油圧多板式を採用している。

 軽自動車ではスズキやダイハツのクロスオーバーは、ジムニーのような例外を除いて、ほとんどが4WDシステムは構造がシンプルなビスカス式となっていて、コストを考慮して含めての設定といえる。

 もうひとつ区別できそうなのが最低地上高。以下の表はクロスオーバーモデルの最低地上高を一覧にしてみた。


●最低地上高150mm以上のクロスオーバーSUV車
・ノートオーテッククロスオーバー:150mm
・C-HR:155mm
・フィットクロスター:155mm
・カローラクロス:160mm
・ヤリスクロス:170mm
・ヴェゼル:FFが195mm(16インチ装着車は185mm)、4WDが180mm
・キックス:170mm
・CX-30:175mm
・ハスラー:180mm
・クロスビー:180mm
・ライズ&ロッキー:185mm
・タフト:190mm
・アウトランダーPHEV:190mm
・ハリアー:190mm(HV)、195mm(NAエンジン)


●最低地上高200mm以上のクロスオーバーSUV
・XV:200mm
・RAV4:200mm(アドベンチャー)
・ジムニー:205mm
・ジムニーシエラ:210mm
・CX-5:210mm
・フォレスター:220mm
・ランドクルーザープラド:220mm
・ランドクルーザー300:225mm

 駆動方式や電子制御デバイスを含めたトラクション性能をはじめ、床下の形状、前後のオーバーハングも影響するので、最低地上高だけでは言い切れないのだが、SUVとしての実用上、必要な最低地上高は180mm以上と筆者は考えている。SUVらしいと感じられるモデルの最低地上高は軒並み180mm以上だからだ。

 もちろん180mm以下だからダメということではなく170mmあれば許容範囲だが、160mm未満のモデルはSUVというより、乗用車+αのなんちゃってクロスオーバーと考えたほうが無難だろう。

 まとめると、なんちゃってクロスーバーとは、ベースモデルに樹脂製のフェンダーやサイドスカート、前後バンパー、ルーフレースなどを装着し、FFまたはオンデマンド式4WD、最低地上高が160mm未満、ということになるだろうか。

 もちろん、それが悪いと言っているのではない。むしろ、外観をクロスオーバー風でカッコよければ、中身は四駆じゃなくてもいいのではないか。

 悪路や雪道などほとんど走ることがないのだから四駆じゃなくてもFFのほうが燃費はいいということもあり、時代に合っていると思うのだがいかがだろうか。

次ページは : ■フリードクロスター:ノーマルよりワイルドなアウトドア風

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