日本ではある用途のための装置などを備えた自動車を「特装車」と呼んでいます。トラックはたいがい特装車というわけです。しかも世界には、日本と同じだったり違ったりユニークだったりスゴかったり、いろんな特装車が存在します。
トラックマガジン「フルロード」では、そんな特装車を紹介する「世界の特装車」を絶賛連載中ですが、ベストカー読者の皆さまにもこの底なし沼の一端をぜひとも味わっていただきたい!!!! というわけで、今回はアメリカで活躍する様々な業種の大型特装車たちをご紹介!!!
※本稿は2022年5月のものです。本文中「GVW」は「車両総重量」、「GCW」は「連結総重量」の略語です
文/緒方五郎(トラックに詳しいフリーライター)、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
初出:『ベストカー』2022年6月26日号
■ド迫力な大型特装車!
ここでは、大型車のメイン・クラス8(編集部註:クラス8は車両総重量(GVW/GVWR)14.9t以上の車格区分で最高のものになります)の特装車をまとめよう。特装車は、重架装に対応したベース車が使われ、米国ではそのジャンルを「ボケーショナル」と呼んでいる。同じクラスでも、ボケーショナルとロングホール(長距離)でモデルを明確に分けているのが特徴だ(もちろん例外もある)。
キャブは、コンベンショナル(ボンネット)型が圧倒的だが、塵芥車などでは、専用の低床キャブオーバー(COE)型も普及している。またボケーショナルは運行距離が短いため、ベッドレスのデイキャブが多い。
特装車のウワモノの大半はアメリカ国産で、塵芥車やクレーン車、レッカー装置などは輸出商品にもなっている。一方でコンクリートポンプ車や重量物運搬トレーラ、オールテレーンクレーンなどは、欧州や中国などのメーカーが進出している。残念ながら日本のウワモノはまず見られない。
■ピアース アセンダント107フィートはしご車
ピアース社はウィスコンシン州の大手消防車メーカーで、ウワモノの消防装置や資機材収納庫付ボディだけではなく、専用シャシーも生産している。「アセンダント」はオリジナルシャシーの一つで、はしご車用に開発されたものだ。
写真の107フィートモデルは、アーティキュレート型シャシーの最大揚呈高32.6mはしご車だが、はしご装置は前側シャシーに架装、長い後側シャシーは60度に折ることで、はしご展開時の安定性を大幅に高められる効果があり、通常車では得られない広大な作業範囲を実現する。
また後側シャシーは、後尾のキャブから最後軸のステアリング操作が可能で、狭い場所への進入にも利用できる。
コメント
コメントの使い方