完璧な街での完璧な生活が崩れていく…… フローレンス・ピュー×ハリー・スタイルズ共演の映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」

■深まっていく謎……しかしベストカーWeb的には見どころはクルマ!?

1950年代の世界観で暮らす人々は所有する自動車もミッドセンチュリー。クラシックカー好きは目が離せない
1950年代の世界観で暮らす人々は所有する自動車もミッドセンチュリー。クラシックカー好きは目が離せない

 後半には大きな謎が用意されているのだが、それはさておき、ついつい目を奪われてしまうのがパーフェクトなミッドセンチュリーっぷり。とりわけ車好きの目が釘付けになりそうなのが、次々と登場するヴィンテージカーの数々だ。

 極秘プロジェクトに就いている夫たちの愛車で、これに乗って出勤し、みんなが一か所に向かって疾走する。その向こうにあるのは、これまたミッドセンチュリー風のミステリアスな建物だ。

 主人公のジャックことハリー・スタイルズの車は1955年頃のフォード・サンダーバード。冒頭ではこちらを乗り回しているのだが、中盤あたりで出世すると車もアップグレート。今度はブラックのコルベットスティングレーに乗り換える。

 この車を見て隣家の奥さんがいうセリフは「私の夫が発情しそうな車」。それくらいセクシーなのだ。

 そんな車を、サングラスをかけ、1950年代の細身のスーツに身を包んで運転するスタイルズはとてもクール。彼のファンは大喜びしそうなサービスショットと言ってもいいくらいだ。

 余談だが、スタイルズは車好きで、とりわけクラシックカーを愛し、1966年製のメルセデスベンツ230SLコンパーチブルに乗っている姿を目撃されたこともある。また、1970年製のフォードカプリやフェラーリディーノ等を所有していると言われているから、本作の車にときめいた可能性はとても高い。

 本作の車はすべてヴィンテージカーで、このほかにも1953年製のナッシュ・メトロポリタンや、1950年代のステュードベイカー・チャンピオン等が登場する。ナッシュ・メトロポリタンは車好きのポール・ニューマンやエルヴィス・プレスリーの愛車としても有名で映画ファンにも知られている。

 このヴィンテージカーの役割は単なる彩やファッションではない。映画の特異な価値観と世界観を決定づけるためにあり、その特異性のなかには、男たちの象徴性もある。つまり、大きくてゴージャスな車が男たちが望む価値を代弁しているということ。本作ではこのヴィンテージカーの存在が極めて重要なのだ。

●解説●

 いつも太陽があふれる砂漠の街、ビクトリー。若夫婦ジャックとアリスはその地に暮らすことに何の疑問も抱いていなかった。

 ジャックは毎日、車で出勤し、アリスは家で家事。すべてがパーフェクトだったのだが、隣人のひとりがおかしな行動をとるようになる。さらに、アリスは飛行機が砂漠に墜落するのを目撃し、その現場に向かうのだが……。

 メガホンを取ったのは、『ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー』(2019)で監督デビューを果たし、高い評価を得た女優のオリヴィア・ワイルド。

 ケアリー&シェーンのバンダイク兄弟によるオリジナルの脚本は、ハリウッドの「ブラックリスト」(まだ映画化されていない優れた脚本)の1本に数えられていたもので、それにワイルドが注目し、映画化が実現したかたちだ。

 見どころはやはりパーフェクトに作られたビクトリーの街。その街は、カリフォルニアの砂漠のリゾート地、パームスプリングスをモデルにしている。

 女性たちのファッションやメイクはブリジット・バルドーやアン=マーグレット、スタイルズのモデルとなったのは1960年~1970年代のグラマラススター、ウォーレン・ベイティだという。この世界観だけでも十分に楽しめる。

 また、本作はいくつかのスキャンダルでも注目されている。ジャックの役は当初からスタイルズで進んでいたのだが、撮影が彼のツアーと重なり、代わりに『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフが登板。

 ところが、コロナ禍の影響でツアーが延期となり、再びスタイルズが演じることになったという紆余曲折がある。ラブーフ自身は自ら降板したと言っているが、マスコミは解雇されたと報じた。それによって、ラブーフがいろんな言いがかりをつけるようになったというトラブルもある。

 もうひとつは恋のトラブル。本作をきっかけにハリー・スタイルズとオリヴィア・ワイルドが付き合いはじめ(その前から付き合っていたというウワサもある)、ゴシップ欄をにぎわせていた。

 女性が10歳上の年の差カップルだが、ふたりの仲は真剣だという説もあれば、そろそろヤバいという声も。映画と同じようにこちらのゴシップも話題になっている。

『ドント・ウォーリー・ダーリン』
2022年11月11日(金)日本公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

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