こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 ロータリー復活に沸く今 改めて4ドア4シータースポーツカー「RX-8」を振り返る!

■4名乗車の実現と利便性向上を実現した観音開き

 RX-8のスタイルは、紛れもなくスポーツカーの新しい姿を具現化したものと言っていい。躍動感と緊張感にあふれる造形を基本とした引き締まったスタイルは、マツダがそれまでに生み出してきたコスモスポーツやRX-7、ロードスターといったスポーツカーが有していた「マツダスポーツカーDNA」が継承されていたことを強く印象付けた。

 フロントのエアインテークからボディサイド、トランクリッドにつながるダイナミックな3次元造形は、RX-8のスタイルにおける最大の特徴である躍動感を表現し、ハイレベルな走りの性能を期待させてくれる。

 また、タイヤをボディの四隅に寄せて配置するとともに、力強いオーバーフェンダーによってオーバーハングを短く見せる作り込みで安定感をさらに強調したこともスポーツカーらしさの表現に貢献している。

 こうした独創的で斬新な作りによってスポーツカーといえば2ドアクーペという定石を打破し、スポーツカースタイリングを革新したわけだ。

 スポーツカーフォルムのなかに大人4名が乗車できる空間を確保できたのは、小型軽量化したロータリーエンジンによる高効率パッケージングや2700mmのホイールベース、さらにセンターオープン式フリースタイルドアといったマツダの創意に富んだ独創技術によるものだ。

 これによりRX-8は、スポーツカーをフレキシブルに使いこなすという過去に類を見ない楽しさと機能をユーザーに提供できた。

センターピラーレスドアは約900㎜という開口幅を確保し、後席への乗り降りが容易に行える。安全のため、フロントドアを開けてからでないとリアドアが開かない構造となっている
センターピラーレスドアは約900㎜という開口幅を確保し、後席への乗り降りが容易に行える。安全のため、フロントドアを開けてからでないとリアドアが開かない構造となっている

 後席は一般的な4ドア車に比べると、ゆったり広々とは言えないが、スポーツカーとして見れば十分に余裕があって大人2名の乗車をしっかりと許容する。

 4ドア車としては後席への乗降性に配慮が必要となるが、この要件についてはセンターオープン式フリースタイルドアを採用することでクリアしている。

 センターピラーレスのボディ構造と、フロントドアが約70度、リアドアが約80度まで開くドアの組み合わせによって大きなドア開口スペースを確保。前後ドアの開閉角度の最適化や、リアドアを軽量なアルミ製とするなどの工夫によって、センターオープン式ならではの大開口とスムーズな操作性を実現している。

 センターピラーレスはボディ剛性を確保するうえで懸念される要素だが、RX-8では、強固なアンダーボディフレームワークやキャビンの効果的な補強を行うことで、同等のホイールベースを持つスポーツセダンをも凌駕する剛性が確保されている。

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