ジムニー、ハスラー…から読みとく謎多きスズキデザイン6選

【いいデザイン2】ハスラー 「そのユルさがたまらない」

ハスラー:110万520~170万5320円

 登場からすで5年たつが、いまだその傑作デザインぶりは色あせていない。

 ハスラーは、Keiの後継モデルといわれるが、Keiが比較的マトモにSUVっぽかったのに対して、ハスラーはワゴンRのアウトドア版的な、はるかにユルい脱力系の香りが漂っている。

ハスラーは2013年の東京モーターショーで世界初公開され、2014年1月から販売を開始。デビューから丸5年が過ぎたがいまだにそのデザインの新鮮味は薄れない

 つまり、なんちゃってSUV的なのだが、その脱力感とワゴンR譲りの居住性の高さが、独特のかわいらしさや腕白感を醸し出して大ヒットにつながった。

 ユルい雰囲気でありながら、前後オーバーハングは短く、最低地上高も180ミリを確保しているので、走破性はかなり高い。ちゃんと走りそうな気配があるところがまたイイのだ。

 ハスラーのデザインは、大ヒットは狙わないスズキ的な無欲さゆえの思い切り感が濃厚だ。だからこそ、王道を大きく外したユニークなデザインが生まれるのだ。つまりハスラーは、瓢箪から駒で大ヒットになった初代ワゴンRに近いだろう。

 しかも、ハズシ技のハスラーが大ヒットしたからこそ、新型ジムニーは徹底的に機能に徹した本格的オフロード4WD的なデザインにすることができたのだから、瓢箪から駒が、また駒を生んだことになる。

柔のハスラーに対し剛のジムニー。好対照な2台だが、ジムニーが本格オフローダーの道を究められたのはハスラーのハズシ技が成功したことと無縁ではないはず

【いいデザイン3】イグニス 「本格的ヨーロピアンデザイン」

イグニス:138万2400~177万8600円

 小型クロスオーバーSUVで、踏ん張り感の強い台形の断面を持っている。そのデザインテイストは明らかにヨーロピアンだが、決して欧州市場だけを狙ったわけではなく、まず日本市場に投入され、その後欧州やインドでも販売が始まっている。

イグニスのコンセプトは使いやすいコンパクトクロスオーバーカーで、2016年2月から販売開始。全グレードとも1.2Lマイルドハイブリッド

 ヨーロピアンなフォルムであるがゆえに、居住性は軽ハイトワゴンにも大きく劣る。おかげで日本市場では苦戦しているが(今年1~5月の販売台数は1890台)、そのデザインは随所にセンスが光っている。

 まず、クロスオーバーSUVでありながら、いかにも走りそうなたたずまいだ。

 ハスラーや歴代ワゴンRなど、「遅いデザイン」で数々のヒットを飛ばしてきたスズキだが、イグニスはその逆でありながら、しっかりカッコよくまとまっている。ただリアビューは、オーバーフェンダーが強調されすぎていて、スッキリ小粋なフロントとのバランスを欠いているのが惜しいが。

お世辞にも高級素材を使っているわけではないが、デザイン、色遣いにこだわりを見せるイグニスのインテリア。こういった雰囲気のある仕上げはスズキの得意技だ

 インテリアは、チープな素材でオシャレに仕上げたイタリアンテイスト。このあたり、トヨタや日産には、逆立ちしてもマネできまいて。イグニスを見ると、スズキデザインの懐の深さがよくわかる。

 そのほか現行モデルのデザインでは、軽自動車として屈指のカタマリ感を持つアルトや、かわいいヌイグルミ系デザインの傑作・ラパン、ヨーロピアンデザインのスイフトが光っている。

清水氏が現行の軽自動車として一番固まり感があるデザインと高く評価するアルト。非対称グリル、高いウェストラインが特徴。価格は84万7800~165万5640円

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