■静寂の先に喧騒が待つ 美味をもとめて向かう街
東京在住者や職場がある人にとっても、この町を訪れる機会はそう多くはないだろう。高層マンションやビルが立ち並び、その合間に佇む古びた一軒家。住宅地でもありオフィス街でもあり、どこか下町らしい風情も残す町だ。
地名の由来は、明治維新後に京都の島原遊郭から名を取った“新”島原遊郭が置かれたことに始まる。その後、隣接する大富町の一部が編入され新富という地名が生まれたそう。
西は銀座、南に築地、北の八丁堀と繁華街に囲まれながらも、夜の通りを歩いていると、すれ違う人の姿もまばらで閑散とした印象を受けるかもしれない。
しかしポツリ、ポツリと点在する飲食店の扉を開けてみれば、どこから集まってきたのか不思議になるほど大勢の客で賑わっていた。そう、新富町は食いしん坊たちがお気に入りの店を目指してわざわざやってくる町なのだ。
『おとなの週末』/2024年5月号より
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