アンダーオーバーフラットライド??? カタカナばかりでようわからん! クルマ専門誌を読むために必要な[いまさら聞けないクルマ用語]とは

■アンダー、オーバー、ニュートラルステアくらいは知ってほしいかも

 まだまだあります。カタカナばかり(和製英語もあり)で嫌になっちゃうと言う人も出てくるだろう。でもこのカタカナ語を日本語に直すとこれまた逆に難しくなっちゃいそうで考えたくない。ということで、一気にいきましょう!

出典:ホンダNSXタイプRのプレスリリースより
出典:ホンダNSXタイプRのプレスリリースより

●アンダーステア

 コーナリングでの走りに関して一丁目一番地ともいえるのがステアリング特性で、アンダーステアはFF車、4WDに起きる現象。コーナーにおいて、一定速度での旋回状況から速度を上げていくと、クルマの向きが外側に膨らんでいくことをアンダーステアを呼ぶ。

 高速でコーナーを曲がろうとすると、進行方向と逆方向に進もうとする遠心力が加わるが、タイヤのグリップを超えた遠心力が加わり続けると、アンダーステアになってしまい、ハンドルをいくら切り続けてもクルマは外側に進んでしまう。そのため、前輪がグリップを取り戻すまでは速度を戻す必要がある。

アンダーステアが強いクルマといえばR32GT-R。フロントヘビーで限界域に近づくとアンダーが出た
アンダーステアが強いクルマといえばR32GT-R。フロントヘビーで限界域に近づくとアンダーが出た

●オーバーステア

 アンダーステアがいくらハンドルを切っても曲がらないで外側に膨らんでいくのに対し、オーバーステアはその逆で、ハンドルを一定の角度に保ったままでも、クルマが内側に回りこんでしまい、リアタイヤのグリップ力が遠心力に負けて横滑りを起こしてしまう。つまり曲がり過ぎてしまう現象。

 オーバーステアは、フロントに重量物のあるFR車に出やすく、ブレーキをかけるとどうしても前輪にかかる負担が大きくなるため、リアの荷重不足によるテールスライドが発生し、オーバーステアとなってしまう。なお、オーバーステアのコントロールは、アクセルをオフにし、エンジンブレーキを利用して行う。

●ニュートラルステア

 アンダーステアとオーバーステアの中間にあたるのがニュートラルステア。前述したように、FF車がアンダーステア傾向、FRがオーバーステア傾向にあるが、最近のクルマはニュートラルステアに近い弱アンダーステアのクルマが多くなっている。

 それはコントロールが難しいオーバーステアに対し、アンダーステアはアクセルやステアリング操作のコントロールがしやすいためといわれている。もちろん、さまざまな電子制御デバイスによって年々進化しているので、個々のクルマの特性も違ってきている。

右足のつま先でブレーキペダルを踏んで踏力を維持したまま、右足のかかとでアクセルペダルを踏んでエンジン回転数を上げるヒールアンドトゥ
右足のつま先でブレーキペダルを踏んで踏力を維持したまま、右足のかかとでアクセルペダルを踏んでエンジン回転数を上げるヒールアンドトゥ

●ヒールアンドトゥ

 走り屋さんだったら実践しているのでわかると思うが、普通の人はヒールアンドトゥは使う必要がないので、聞いたこともないという人が多いかもしれない。

 ヒールアンドトゥは、コーナー入口での減速時に使うドライビングテクニック。シフトダウンのタイミングで右足のつま先(トゥ)のブレーキペダルの踏力をキープしたまま右足のかかと(トゥ)でアクセルをあおる。こうすることによってエンジンの回転数を落とさず、減速後、コーナー出口ですぐに再加速できる。

FFスポーツ全盛時代、タックインは当たり前のドラテクだった
FFスポーツ全盛時代、タックインは当たり前のドラテクだった

●タックイン

 FF車特有のドラテクで、コーナーの進入速度が速すぎてアンダーステアが出そうな時に、アクセルを抜いて、または軽くブレーキを踏んで、フロントタイヤのグリップ力を回復させてコーナーを抜けること。

●プッシングアンダー

 プッシングアンダーとは、前輪が後輪の力にプッシュされることで起きてしまうアンダーステアのことで、FR車や4WDのコーナリング中に起きる現象。前輪が曲がろうとする力に対して後輪の駆動力が強すぎてクルマをまっすぐ走らせようとするために、ドライバーが意図したラインよりも実際の旋回が小さくなり、思うように曲がらない状態。

●アジリティ

 アジリティとは敏捷性、機敏、軽快という意味で、欧州車によく使われる用語。アジリティを感じさせる、アジリティが足りないなどと使われる。

 2015年頃からメルセデスベンツが走行状況に応じてダンパー内のオイル流量を変化させ、減衰力を調整するアジリティコントロールサスペンションを採用し、操る楽しさにおいてアジリティを重要視している。

●スタビリティ

 スタビリティに優れている、スタビリティが高い、などと言われる。直訳すると安定性となるが、ボディ剛性、サスペンションやタイヤの性能によって変わってくる。

フルモデルチェンジすると、車体剛性が何%向上しましたと自慢げに書かれていた。図はスバルの新世代プラットフォームSGPが初めてインプレッサに搭載された時の資料。100%向上とは驚き
フルモデルチェンジすると、車体剛性が何%向上しましたと自慢げに書かれていた。図はスバルの新世代プラットフォームSGPが初めてインプレッサに搭載された時の資料。100%向上とは驚き

●剛性感がある、剛性感が高い

 メーカーの新車開発者から「車体剛性が高いというならわかるが剛性“感”とは何ですか? 剛性感があるというのはあいまいな言葉ではないですか?」とよく言われた。

 剛性の高いクルマに使われる高張力鋼板は、その名の通り引っ張り強度に優れた合金鋼の鉄板で、通常の鋼板から置き換えることで薄肉化できるため、軽量化が達成できる。Bピラーやスカットルなど強度が必要な部分には特に硬いスーパーハイテン(超高張力鋼)を使うことで、剛性を高めながら重量増を抑えている。

 新車が登場する度にねじり剛性40%向上とか剛性についてプレスリリースに書かれているケースが多い。ボディのねじり剛性を上げると、変形が少なくなり、ボディ剛性が高いといわれるが、ガチガチに固くすればいいわけではない。ある程度ボディのしなりも必要で、それがしなやかな走りを生んで、乗り心地やハンドリング性能にいい影響を与えることもある。

 ということで、例えば剛性感がある乗り心地という用語は、正確にはボディ剛性が高いという意味ではなく、ガッチリした印象の乗り心地という解釈のほうがいいだろう。

●力感

 直訳するとエンジンの力強さを感じること。例文としては、実際の走りはスペック以上の力感を感じることができる。

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