2026年4月13日(現地時間)、WRC今季第4戦「クロアチア・ラリー」の最終ステージが終わった瞬間、WRCのドライバーズスタンディングに、これまで日本人が立ったことのない景色が広がった。勝田貴元、ドライバーズポイント81点で選手権首位。日本人ドライバーが日本マニュファクチャラーを駆ってWRCのチャンピオンシップをリードするのは、世界ラリー選手権の歴史上これが初めてだ。前戦サファリに続いてシーズン2連勝という事実だけでもニュースになったはずが、今回の「首位」は日本のモータースポーツ史に刻まれる偉業として讃えたい。
文:ベストカーWeb編集部、写真:Gazoo Racing
【画像ギャラリー】今年の「GR YARIS Rally1」は速い!!! クロアチアラリーの雄姿と勝田選手の画像一覧(23枚)画像ギャラリー「クロアチア・ラリー」で何が起きたか
2026年シーズンWRC第4戦「クロアチア・ラリー」最終日(Day3)開始時点で、勝田貴元選手の名前はトップではなかった。首位のティエリー・ヌービル(ベルギー/ヒョンデ)との差は1分14秒5。通常なら逆転は難しい差だった。しかしラリーは最後の一秒まで何が起こるかわからない。パワーステージ、SS20でヌービルがコースオフを喫し、勝田に勝利が転がり込んだ。
「棚ぼた」と言う人がいるかもしれないが、それは違う。
勝田選手の今シーズン4戦を振り返れば、開幕のモンテカルロで7位(ポイント獲得)、第2戦スウェーデンで2位、第3戦サファリ・ラリー・ケニアで優勝、そして今回のクロアチアで優勝。路面がまったく異なる4つのラリーで、勝田は一度もリタイアせず、毎戦確実にポイントを重ねた。ヌービルがトップ争いから陥落する「その瞬間」に首位争いで生き残っていられたのは、4戦の総合力があったからにほかならない。
これがWRCの本質だ。速さだけでなく、完走力、タイヤマネジメント、判断力、人の和と地の利――すべての積み重ねが天の時を引き寄せ、現時点での「81点」、「ドライバーズランキング首位」という結果になった。
篠塚建次郎から34年、日本ラリー史の最前線
勝田選手がサファリ・ラリー・ケニアで2026年の初優勝を飾ったとき、「1992年の篠塚建次郎選手以来、34年ぶりの日本人WRC勝利」という快挙だった。篠塚氏は1991年・1992年のアイボリーコースト優勝、サファリでの2年連続2位など、日本ラリー史に燦然と輝くレジェンドだ。だがそのアーカイブを見ると、ドライバーズランキングの最高位は1991年の11位。日本人が「選手権を率いる」段階には、当時は届いていなかった。
対して勝田は、2022年シーズンに自己最高5位を記録し、2025年も122点で6位。この数年、着実に”シーズンを通じて戦える選手”へと進化してきた。2026年の「首位」は突然変異ではない。蓄積がついに”見える形”になった瞬間だ。
チームオーダーなし、だから勝田の首位に本物の価値がある
もうひとつ、勝田選手の戦績には重要な背景がある。トヨタ豊田章男会長は2026年シーズン開幕前、「チームオーダーは課さない」と明言している。つまりTGRチームメイトのエルフィン・エバンス(現在2位、7点差)も、オリバー・ソルベルグ(3位、13点差)も、自分の優勝を全力で狙ってくる。
だからこそ、この首位には重みがある。誰かに道を譲ってもらった暫定トップではなく、自分で勝ち取り、自分で守り、自分でさらに広げていかなければならない首位だ。
【豊田 章男 (TGR-WRT会長)コメント】
こういう勝ち方もあるのがラリー…。
貴元もサミもゴールまで走り切ってくれたからこそのワンツーフィニッシュでした。
貴元は2連勝おめでとう! サミも3戦連続のポディウムおめでとう!
(※サミ・パヤリ選手がTGR-WRT2にて総合2位でフィニッシュ)
【ユハ・カンクネン (チーム代表代行)コメント】
私たちは常に勝利を目指していますが、ライバルにこのような事態が起きることを決して望んでいません。過去に私たち自身も経験したことがありますし、チームにとってもドライバーにとっても良い気分ではないことを理解しています。それでも貴元が2連勝を飾り、日本のマニュファクチャラーに属する日本人ドライバーが、WRC史上初めてチャンピオンシップをリードしていることを、我々は嬉しく思います。貴元とサミは今週末も素晴らしい走りを見せてくれましたし、それは我々のチームの強さを証明するものです。たとえ一部のドライバーがミスをしても、勝利を収める力を持つ他のドライバーがいるということです。
























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