ホンダF1撤退も涙なし!? ホンダ撤退でメルセデスが歓喜する意外な理由

■グランプリから去るホンダと他チームの思惑

チェッカーフラッグを受けるフェルスタッペンの33号車。ホンダエンジン搭載車のドライバーが王者となるのは30年ぶりとなる
チェッカーフラッグを受けるフェルスタッペンの33号車。ホンダエンジン搭載車のドライバーが王者となるのは30年ぶりとなる

 それでもホンダのF1撤退の意思は強く、多くの意見のある中で撤退が覆る事は無く、ホンダ最後のシーズンは終ってしまった。F1からホンダの存在が消えてゆく。

  多くの意見と言っても、これは日本で考えるのとは違った感覚のものだ。ホンダ撤退を残念がり、もったいないと考える者たちはF1部外者が多い。ファンやジャーナリズム、プレスやメディアが捉える意見であり、F1チーム自体の考え方とまた違うのだ。

 F1の現場でホンダPUの撤退をもったいないと考えるのはおそらく次期PUの供給に不安がある小型チーム。それもパフォーマンスだけではなく、PU供給と供に付いてくるサービス。

 ホンダがチームに費やすサービスの多くは他のメーカーよりも大幅にクオリティーが高く、信頼性の高いアファター・ケアーが得られ、とコスト・パフォーマンスは群を抜く。

 ホンダのエンジン供給やレースへの態度は他メーカーとは大きく違い、予算も規模も小さなチームには垂涎のホンダからのPU供給なのだ。

 しかし全てのカスタマーチームは既にメルセデスやフェラーリ等からしっかりとしたサポート付きでの供給を受けている。多くのチームはそれらのワークスとの契約にPUの供給以外にもチーム運営に有利な契約が交わされている。

 例えばBチーム的な立場でそのメーカー絡みのヤングドライバーの育成とか。シート利用とバーターでPUの支払いが安くなったり、無料になったり、時にはスポンサー・フィーの上乗せがあったりして。

 弱小チームのPU選びの多くは実際のパフォーマンスよりも他の付加条件が大きく影響しているのも確かなのだ。

 したがって中堅チームの意見としては自分のチームに有益ではないPUは例えパフォーマンスが高かろうと、消えてくれる事に異存はないのだ。

■形を変えて遺されるホンダの魂

優勝トロフィーを掲げるフェルスタッペン。来季はレッドブル・パワートレインズとしてホンダPUの技術が受け継がれる
優勝トロフィーを掲げるフェルスタッペン。来季はレッドブル・パワートレインズとしてホンダPUの技術が受け継がれる

 しかしワークスチームはまた意見を異にする。

 と言うのも現在4PUで10チームを賄う、つまり要求があれば3チームまでは供給義務があるのだ。供給はPUを渡せば済む事では無く、サービスとエンジニアのリソースの提供が必要で、かつ組立現場でも各チームに合った仕様の組立が必要で、この為のリソースの確保は絶対条件となり、人材的負担も大きくなる。

 ホンダの撤退でエンジンメーカーが少なくなると、義務供給は本来なら4チームに増えてしまう。他のワークスには痛手となるので、ホンダの撤退は回避したいと言うのが本音だ。

 しかし、いざホンダ最終戦を迎えても、ホンダ撤退に対しての声高な意見はきこえて来なかった。コンプリメントは多数あったが、あくまでも挨拶代わりのようなものだ。

 なぜなら、ホンダは見かけ上の撤退はするが、そのままレッドブル・パワートレインズに移行し、現在のホンダ PUが25年までは維持されパフォーマンスも変らずに行けるのだから期待は大きいのだ。

 以前メルセデスのトト・ウルフはホンダPUのレッドブル・パワートレインズへの移行を歓迎するコメントをしている。実際メルセデスはワークスを含めて業界最大4チーム供給をしているのだから、PUサプライヤーがホンダであろうとレッドブルであろうと、存在してさえすれば負担が増える事はないのだから。

【画像ギャラリー】またいつの日か!! レッドブル・ホンダにとっては最高の形で幕をおろした2021年F1世界選手権最終戦アブダビGP(10枚)画像ギャラリー

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