唯一残る名門レガシィの系譜 新型アウトバックが抱える苦悩と限界突破の可能性

唯一残る名門レガシィの系譜 新型アウトバックが抱える苦悩と限界突破の可能性

 2021年10月発表となった、スバルの新型「レガシィアウトバック」。約7年ぶりのフルモデルチェンジとなったレガシィアウトバックだが、北米では、すでに2019年から新型が販売されており、今回、ようやく日本導入となった。

 日本仕様のレガシィアウトバックは、X-BREAK EX(税込414万円)とLIMITED EX(税込429万円)の2グレード、最新鋭のデジタル装備や、先進運転支援装置が付き、価格も、装備内容を考慮すればまずまずといえるが、今回の新型レガシィアウトバックからは、スバルならではの「苦悩」も垣間見える。それは…。

文:吉川賢一
写真:SUBARU

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北米に向けて開発された、最上級のリフト系ワゴン

 ワゴンボディに、ワイドフェンダーを付けて大径タイヤを履かせた、という独特のスタイリングをもつ、レガシィアウトバック。日本ではあまり馴染みがないスタイルだが、このような「リフト系ワゴン」は、北米市場で根強い人気がある。

 ベースがワゴンなので、荷室エリアは十分にあり(レヴォーグと同じくVDAは561L)、SUVであるフォレスター(VDAは520L)よりも広い。走りにおいては、SUVとは違った良さがあり、野山を駆け巡るようなハードな走りとまではいかないまでも、オンもオフもきちんと走りたいとなれば、北米では、まずこのアウトバックが頭によぎるそうだ。

 ボディサイズは、4860×1855×1680(全長×全幅×全高)mm、先代に対しては40mm長く、15mm幅広く、20mm高くなった。ちょうど、フォレスター(4640×1815×1730)と、北米アセント(4998×1930×1819)の間くらいの全長全幅で背が低い、というサイズ感だ。レヴォーグ(4755×1795×1500)よりも、長さも幅も一回り大きい。

 キープコンセプトとなったエクステリアデザインとは違い、インテリアは大幅に進化をし、最新のデジタル化が織り込まれている。センターコンソール中央にある縦型ディスプレイ(11.6インチサイズ)は、レヴォーグに搭載されているものと同種のため、見覚えがある方も多いだろう。渋滞時にハンズオフができる先進運転支援「アイサイトX」は全グレードで標準搭載だ。

 また、今回の新型レガシィアウトバックには、レヴォーグでもお馴染みのフルインナーフレーム構造が採用されており、車体剛性感を高める構造用接着剤の範囲拡大や、高張力鋼板の拡大採用などによって、質感の高い走りを実現している。高い安心感と疲れにくさが期待でき、先代のレヴォーグから現行レヴォーグに切り替わった際、進化の大きさに驚かされたように、新型レガシィアウトバックでも同様以上の進化が感じられるものと期待している。

「苦悩」は、パワートレイン

 今回の新型レガシィアウトバックから感じるスバルの「苦悩」、それはやはり「パワートレイン」だ。北米向けには、2.5リッター水平対向4気筒エンジン(最大出力181ps/最大トルク238Nm)と、ハイパワーな2.4リッター水平対向4気筒ターボエンジン(最大出力260ps/最大トルク375Nm)が存在するが、日本仕様では、1.8リッター水平対向4気筒ターボ(最大出力177ps/最大トルク300Nm)のみ。

 その燃費は、WLTCモードで13.0km/L(市街地9.6、郊外13.7、高速道路14.7)というレベルであり、排気量が1.8リッターというレベルにしては、決していいとは言えない。おそらく、遠くないうちに、レヴォーグのパフォーマンス仕様「STI Sport R」に搭載されている2.4Lターボが追加されると思うが、こちらはもっとよろしくない(レヴォーグSTI Sport Rの燃費は11.0km/L)。

 フラッグシップであるアウトバックに、このターボエンジンのキャラクタが合うかどうかは議論が起こりそうだが、キャラクタがどうこうよりも、不安なのはやはり環境性能(=燃費)。フラグシップSUVであるレガシィアウトバックに、これしか搭載できなかったのか、と思ってしまう。

 これからも、スバルが、水平対向エンジンが生き残っていくためには、水平対向のストロングハイブリッドやプラグインハイブリッド仕様が欲しいところだが、そこにスバルの「苦悩」がある。

2021年3月に北米市場へ追加された「アウトバック ウィルダネス」。最低地上高を9.5インチ(約24cm)まで上げ、前後バンパーも専用設計、フロントアンダーにはスキッドプレートも備わる。専用サスはストロークを拡大し、オールテレーンタイヤも装着する

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