WRC第1戦を終えた勝田貴元選手に新型WRカーの感触を最速で直撃!!

WRC第1戦を終えた勝田貴元選手に新型WRカーの感触を最速で直撃!!

 WRCやF1といった世界選手権のドライバーや関係者の記者会見といえば「情報を出さないようにしよう」という意思を感じることが多い。内容も薄いため、原稿を書かなくちゃいけないから聞いているけれど、そうじゃなければ「誰かが書いた記事を読めばいいや」というイメージ。2022年1月20~23日に開催されたモンテカルロラリーは世界ラリー選手権(WRC)2022年シーズンの開幕戦。長いシーズンを考えたら、なるべく情報を出したくなかっただろうなとも思う。

 ところが今回のラリー終了後に行われたトヨタの勝田貴元選手とラトバラ監督の記者会見、楽しく&情報量多かった。質問すれば可能な限りわかりやすく答えてくれる。大乱戦になったモンテカルロのバックボーンがなんとなく見えてくるほど。ファンからすれば「どんな課題を抱えているのか?」とか「何がおきていたのか?」を知ると、さらに盛り上がります。ということで火曜日(1月25日)に行われた勝田選手の記者会見の概要をまとめてみました。
(注・なお2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロ、総合優勝はフォード PUMA Rally1を駆るセバスチャン・ローブ/イザベル・ガルミッシュ組が獲得。トヨタは残念ながらセバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス組の2位が最高位となった)

文/国沢光宏
写真/国沢光宏、TOYOTA

【画像ギャラリー】超絶景!! 大変身を遂げたGRヤリスRally1の雄姿と勝田選手モンテカルロラリー激走の行方を画像でチェック(15枚)画像ギャラリー

■「妖精さん、脱出を手伝ってくれてありがとう!」

「今年のモンテカルロは、非常に路面コンディションが難しかったです。雪が多ければタイヤ選びも迷わないですむのですけれど、直前情報だとウエット状態だったのに(実際に走ってみると)凍っていることもあったほど。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationから、GR YARIS Rally1でモンテカルロラリーに出場した勝田貴元選手。Day3にコースオフで大幅タイムロスを喫するも、最終日に2本の3番手タイムを記録するなど、総合8位まで順位を回復してポイントを獲得した
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationから、GR YARIS Rally1でモンテカルロラリーに出場した勝田貴元選手。Day3にコースオフで大幅タイムロスを喫するも、最終日に2本の3番手タイムを記録するなど、総合8位まで順位を回復してポイントを獲得した

 木曜日に行われたシェイクダウン走行はトラブルが出て2回しか走れませんでした。シェイクダウン走行した日の夜に行われた2本のSSについていえば、ハイブリッドブーストを使えない状態でしたが、それほど悪くないタイムを出せています。

 金曜日からブーストも掛けられるようになったんですが、今度はドライビングの難しさを感じることになりました。不安要素もありましたけれど、タイムを見たらオジエと互角で走れたSSなどあり、手応えは感じました(注・SS5とSS7、SS8は上位陣と並ぶ5番手タイム!)。

 今回のラリーで一番難しかったのが土曜日です。コースアウトなどトラブルに見舞われたドライバー続出となり、SS12で5番手に上がりました。SS13はSS走行直前にコースの情報を教えてくれる「アイスノートクルー」からウエット状態と聞いた場所が凍結しておりコースオフしてしまいました。

 すぐ脱出できればよかったのですけれど、その場所には妖精さんが(注・レギュレーションにより競技中はオフシャル以外車両に触っちゃいけない。コースアウトしたクルマを押したり引っ張ったりするのは「森に棲む妖精」という解釈)2~3人しかいなかったんです。集まってくれるまで10分くらいかかり、タイムロスしました。(注・豊田章男代表はラリー後の公式コメントで「脱出を手伝ってくれてありがとう」と妖精たちにお礼を述べていた)

 これで総合順位は落ちましたが、日曜日は気持ちを切り変えプッシュしたら、SS15はヌービル、オジエに続く3番手! SS16も優勝したローヴと、今回初めてステージベストを取ったグリーンスミスに続く3番手。最終ステージは抑えすぎて6位でしたが、ハイブリッドブーストの使い方もわかってきました。

 ハイブリッドブーストは、SSのスタート前に3段階から選びます。モンテカルロだと「中」と「強」でした。ハイブリッドブーストの使い方はチームによって違うようです。また、ハイブリッドブーストを掛けられる条件として「ブレーキを連続して3秒以上使い続けたあと」というのがあります。今回、ハイブリッドの電池切れはありませんでした。

 車体はターンインでアンダーステア。立ち上がりでアクセル踏むとオーバーステアというピーキーな特性。アンダーステア対策をすると、全体的なグリップまで落ちてしまうため、センターデフの調整などもやってみましたが(今シーズンから電子制御が禁止になったため微調整しかできない)、今後の課題になると思います。」

オンラインではあったが、質問にはすべて丁寧に答えてくれた勝田選手。ありがとうございます!!
オンラインではあったが、質問にはすべて丁寧に答えてくれた勝田選手。ありがとうございます!!

 以上、読んでいただければわかるとおり、極めて具体的な内容。ドライバーがこんなに状況をしっかり説明してくれた記者会見は、記憶にない。予定を大幅に延長するほど多くの質問に対応してくれていた。

次ページは : ■「ラトバラという選手もいますよ」

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