プロスト、シューマッハ、ロズベルグ、そしてベッテル……。トップドライバー引退のタイミングとは?

強い意思で引退をした2016年ワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグ

ニコのチャンピオン獲得はセカンド・ドライバー扱いしたチームと当然のように振る舞ったハミルトンへの強いアピールとなった
ニコのチャンピオン獲得はセカンド・ドライバー扱いしたチームと当然のように振る舞ったハミルトンへの強いアピールとなった

 ニコ・ロズベルグは2016年シーズンの開幕からチャンピオン獲得に集中し、そのエイムを果たすためには躊躇なく、いかなる手段も講じる覚悟が見えていた。開幕当初ハミルトンがトラブルで足踏みしている間にチャンピオンシップをリードしたロズベルグは、そのリードをどんな手段を講じても守り抜く決意をアピールしたのだ。それはライバルのハミルトンにポジションを守るためには同士打ちも辞さないということだった。事実スペイングランプリでは抜きにかかったハミルトンと接触、双方リタイアでポイントリーダのポジションをニコ・ロズベルグ守った。ニコはハミルトンに無言の恫喝をしたのだ。

 以後、ハミルトンにポイントのリードを許しはしたが、無言の恫喝はハミルトンに大きなプレッシャーとなり、結果的にロズベルグは目的を達成しチャンピオンを勝ち取った。

 そして驚くことに最終戦のチャンピオン表彰式において、チームも誰も知らないでいた引退宣言を行ったのだ。見事な引退劇であり、彼をセカンド・ドライバー扱いしたチームとそれが当然のように振る舞ったハミルトンへのこれは強いアピールであった。

 引退を実に綿密な計画の元で極秘裏に進め、誰も考えもしなかった形で見事に引退して見せたのだ。わずか31歳での引退、この引退への是非はあるだろうが31歳の若者の見事な演出であることには間違いない。

42歳フェルナンド・アロンソのモチベーションの凄さ

ブラジルGPではレッドブルを抑えて5位となったアロンソ
ブラジルGPではレッドブルを抑えて5位となったアロンソ

 引退の時は誰でもいつかは迎えなければならない。しかし引退は年齢ではなくモチベーションのあり方と、自分の能力への判断が行うことだ。

 さて今年42歳フェルナンド・アロンソ、彼の枯れることなきレーシングスピリットは一体何時そんな引退の時を迎えるのだろうか。そこはアロンソ引退の時も、彼らしくアロンソ・スタイルでファンを驚かせてくれるのではないだろうか。

【画像ギャラリー】アロンソ、ベッテル、ハミルトンと、かつてのチャンピオンの記録を超えていったドライバー達(3枚)画像ギャラリー

津川哲夫
 1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
 1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
 F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
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