新型ヴェゼルの登場によりコンパクトSUVの勢力分布はどう変化する?
そしてヴェゼルのフルモデルチェンジにより、コンパクトSUVの勢力分布も変化するのだろうか? 現時点で最も登録台数の多い車種は、ライズだ。
2020年1~12月の登録台数では、ライズが総合2位で12万6038台で圧倒し、年間SUV販売NO.1に輝いている。ちなみに年間SUV販売2位は6万6067台でハリアー、3位は5万4848台でRAV4。
ヤリスクロスが発売された2020年8月31日以降の2020年9月~12月の販売台数を見ると、直近の12月では、ヤリスクロスが8910台、ライズが8912台と、ライズがヤリスクロスと2台差でコンパクトSUV販売NO.1! そのほか、キックスが3529台、ヴェゼルが2205台、C-HRが2185台と続く。
ホンダの販売店舗数は約2100ヵ所、ヤリスクロスとライズを扱うトヨタは約4600ヵ所という販売網の違いも考えると、ヴェゼルがヤリスクロスとライズの売れゆきを超えることは難しそうだ。
おそらく新型ヴェゼルは、この2車種に続いてコンパクトSUVの3位に入る可能性は高い。ファミリーカーとして使う場合、ヤリスクロスとライズでは後席と荷室が狭いが、ヴェゼルなら余裕があるからだ。
コンパクトなボディに広い室内を備えた本格的なSUVはヴェゼルのみだ。ほかの車種では得られない機能があるため、順調に売れゆきを伸ばす。
C-HRは今では飽きられはじめ、同じトヨタのコンパクトSUVにユーザーを奪われた。そうなるとコンパクトSUV市場は、次期ヴェゼル/ヤリスクロス/ライズ/キックスの4車種で争うことになりそうだ。
キックスの荷室長は、現行ヴェゼルよりも長い。後席の足元空間は、逆にヴェゼルが上まわる。キックスはe-POWERのみでノーマルエンジンを用意しないから、販売面で不利が伴うが、ヴェゼルとは商品特徴が似ていて激しい競争を展開するだろう。
そして次期ヴェゼルの売れゆきには、ホンダの販売方針も影響する。2020年におけるホンダの国内販売状況を見ると、N-BOXが32%を占めており、軽自動車全体なら53%に達する。
同じ状態が今後も続くと、次期ヴェゼルが登場しても、従来ほど売れゆきを伸ばせない可能性がある。
N-BOXのヒットや軽自動車の販売比率が高まった結果、ホンダのブランドイメージが小さな実用車に偏ってきたからだ。現行ヴェゼルが7年前に登場した時と今では、取り巻く状況がかなり変わった。
優れた商品を開発すれば、必ず売れるとは限らない。発売時期、販売方法、ローンの金利、さらにほかのホンダ車の売れゆきなども大きな影響を与える。
トヨタも全店が全車を扱う体制に変わり、人気の高いアルファードと伸び悩むヴェルファイアでは、基本的に同じクルマなのに7~8倍の販売格差が生じた。次期ヴェゼルが好調に売れるホンダであってほしい。
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