さまざまなトラックボディを紹介する「働くクルマの大図鑑」。今回は、さまざまな積み荷に対応する汎用性、積み荷を風雨から守る気密性、フォークリフト荷役が容易な荷役性の三拍子が揃ったカーゴトラックのド定番「ウイングボディ」に迫ります。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/パブコ、浜名ワークス、山田車体工業、「フルロード」編集部
ウイングボディとは?
ウイングボディは、一般雑貨、宅配貨物、工業製品、農産物、食料品、建築資材、原材料、廃棄物など、さまざまなモノの輸送で多用されているトラックボディ。用途は極めて多く、モノを運ぶだけでなく、イベントのステージの代わりに使われることさえある。
業界資料から推測すると、大型トラックの約4〜5割、中型トラックの約2割をウイングボディが占めると考えられ、近年ではトレーラ(被けん引車)でも約2割超に及ぶと言われている。ここまで普及したのは、主に以下の4つのメリットがトラックユーザーや物流企業に好まれたためだ。
●ウイングボディの4つのメリット
【1】荷台が平床なので多種多様な貨物が載せられる
【2】パレット貨物ならフォークリフトで効率的な荷役が可能
【3】ウイングで積み荷を風雨雪から守れる
【4】ウイングの開閉も容易
一方、ウイングボディにはトラック頭上にウイングを開くことができる大きな空間が必要で、クレーンなど直上からの荷役が困難というデメリットもある。しかしながら、日本ではウイングボディが一般化したことによって、物流施設もそれを考慮して設計されるようになり、デメリットはあまり目立たなくなっている。
ウイングボディの実力
現在の大型ウイング車は、車両総重量25トン級の8×4(4軸)または6×2(3軸)のベッド付フルキャブ長尺シャシーをベースとし、荷台は内法長9.6m級×内法幅2.41m級×内法高2.65m(8×4)または2.5m(6×2)を確保。縦1.1×横1.1mの「T11パレット」を2列8枚積みでき、最大積載量13〜14トンというスペックが標準的だ。
中型ウイング車は標準キャブ、ワイドキャブともに普及しているが、幹線輸送で多用されるのはワイドキャブの高馬力車で、荷台は内法長6.2m級×内法幅2.41m級×内法高2.4m級。T11パレットを2列5枚積みできる能力があるが、最大積載量2.5〜2.8トン程度のため、積み荷を選ぶことになる。
なお、あまり普及していないものの、中型免許で運転できる車両総重量11トン級の中型ウイング車では最大積載量5.1〜5.4トンを確保することも可能だ。
いっぽう、小型トラックはまったく様相が異なり、ウイング車はかなり少ない。小型ウイング車は主にワイドキャブの積載量3〜4トン級シャシーベースでつくられるが、ドライバンや平ボディに対して積載量が少なく、側面開放ができてもあまりメリットがないためである。