■4A-GEUをポート噴射のままで水素エンジン化
一方の水素エンジントレノだが、こちらは4A-GEUエンジンのままで、MIRAIの小さいほうの高圧タンク2本搭載し、インジェクターなど水素用に変更されているが、最小限の改造で水素エンジン化が図られている。
ここで注目すべきは直噴ではなく、ポート噴射のままなこと。一般に水素エンジンでは直噴が必須とされている。理由はポート噴射では圧力が低すぎてエンジンの筒内に燃料が入っていかず、パワーが出ないことが挙げられる。
エンジンの筒内に高い圧力で燃料を噴射できる直噴のインジェクターが有効であることは言うまでもないが、あえてポート噴射のままにしたことで、AE86らしさを残しているともいえる。
実際に水素エンジントレノの最高出力は30psほどで、佐々木選手も乗りにくそうにしていた。それでも「AE86の高回転のフィーリングなどは感じられ、今後に期待したい」とコメントを残している。
GR車両開発部の高橋智也部長によれば「ポート噴射でどこまでできるか? やってみようということです」とその意義を語るが、BEVに比べると旧型車を水素エンジン化することの難しさが改めて浮き彫りになった形だ。
しかし、負け嫌いのGRのことだ、一昨年始まった水素エンジンプロジェクトが、継続してレースに参戦することで大きな進化を遂げたように、何らか次の進展が必ずあるはずだ。
AE86によるBEVと水素エンジンモデルの提案は、カーボンニュートラルを身近に感じさせるとともに、大きな注目を集めるはずだ。
さらに言うなら今後AE86のカーボンニュートラル燃料仕様の提案があれば、より多くのクルマ好きにアピールできるはずだ。なお、2023年は1983年にAE86が発売されて40周年となり、記念した新たな取り組みにもこれから期待したい。
コメント
コメントの使い方BEVも否定はしません、バスや高齢化用途など活躍の場があると思っています。
しかしEVだけじゃなく、PHEV含むHV系と、燃料電池、そして水素エンジンを並行で挑戦してくれることは、何より大事なことです。
その共通テーマと共に、心から嬉しい。エンジンを諦めずを、純エンジンの形で挑戦してくれる企業が日本であることに感激。