10台以上ストックする初代シーマ専門店に直撃取材!
初代シーマの概要を理解していただいたところで、今、初代シーマはおおむねいくらで販売されているのだろうか?
現在、中古車の流通量はおおむね全国で40台前後、その相場は下が約60万円といったところで、最高価格が約300万円となっている。250万円オーバーになると、走行距離2万~3万kmの1オーナー車という個体もみることができる。
さて、さらに初代シーマの“現在地”を知るためにやってきたのは、神奈川県秦野市の『ファイブスターテクニカル』。
取材日時点で初代シーマを10台以上ストックし、さらには2代目ソアラやS13型シルビア、はたまたX70系マークIIなどの“上物”を多数ストックしているため、その展示場はほとんど「昭和車のテーマパーク」と化している(?)中古車販売店だ。
――ということでファイブスターテクニカルの高橋一也さんにお尋ねします。伊藤かずえさんが初代シーマに新車から30年間乗り続けていることがニュースになりましたが、初代シーマって、そんなにフツーに乗り続けられるクルマなんですか?
高橋一也さん もちろん30年も前の機械ですので、今のクルマみたいに「ほぼメンテナンスフリーで数年間乗れちゃう」みたいなクルマではありません。
しかし各部のコンディションとメンテナンス履歴が良好な個体であれば、決して手がかかりまくるクルマではないと思いますよ。
――でもエアサスはさすがにちょっと心配だったりもしますが?
高橋さん そうですね。まぁあれも決してしょっちゅう壊れるものではないのですが、やはり経年によって必ず壊れる部位ではあります。
ですから、もしもこれから初代シーマをお買い求めになるのであれば、エアサスの状態と修理履歴はしっかり確認するべきです。また、それでも壊れてしまった場合には「普通のバネサスに換える」という選択肢もあります。
――あ、そうか。その手がありましたね!
高橋さん 新品のエアサスは1本7万~8万円ぐらいしますし、そもそも最近は入手困難です。
「じゃあ中古のエアサスを使うか」となっても1本2万〜3万円ぐらいしますし、なおかつ中古品ですから、またすぐに壊れてしまう可能性もゼロじゃない。ならば、いっそ金属バネの車高調に替えてしまったほうがよかったりもするんです。
――車高調だったら、交換費用もそこまで高くはなさそうですね?
高橋さん そうですね。あくまで概算ですが部品代が15万円ぐらいですので、工賃込み20万円ぐらいでイケるでしょう。
――エアサス以外はさほど神経質にならなくても大丈夫なものですか?
高橋さん 弊社の場合はそもそも「低走行の良質物件」だけを厳選して仕入れているので、基本的にはそのとおりなんですが、一般的にはボロい個体も多いですよ。特に内装がヒドいものが多い。
シーマだけじゃないんですが、この年代の日産車って保管状態が悪いと、エアコン吹き出し口の樹脂がドロドロに溶けるんですよ。例えば、ウチが仕入れたのではなく下取り車として入ってきたこのシーマ、見てください。
――うわっ! エアコンルーバーの最上段が本当にドロドロだし、内装の縁はめくれ上がってるし、シートは太陽光で謎に焼け焦げてるし……ちょっとひどいですね。
高橋さん こうなってしまった個体は直すのが本当に大変ですので、手を出さないほうがいいでしょう。弊社では部品取り車として役立てます。
――ところで日産の純正部品ってまだ出るんですか?
高橋さん 出るものも一部ありますが、多くは廃番になってますね。
――そんな状況下で、御社のお眼鏡にかなう初代シーマ、つまり「仕入れるに値する初代シーマ」の数というか割合って、だいたいどのぐらいなんでしょうか?
高橋さん うーん、オークションや買い取りなどで出てくる全体を10だとしたら……せいぜい1か2ですね。いい個体が出てきたら必ず仕入れるようにしてますが、その数は極端に少ないですよ。
――そうなってくると、仕入れ相場もけっこう高騰しちゃうんじゃないですか?
高橋さん そうなんですよ……。2020年3月ぐらいまではまあ普通といえる値段で買い付けることもできたのですが、ここ最近のオークション相場は半年前の2倍以上になっちゃってますからね。
――ううむ、それこそが「令和のシーマ現象」!
高橋さん いや、「うまいこと言ってやった」みたいな顔をされてますが、仕入れ値が倍ぐらいになったのは初代シーマだけじゃないんです。
2代目ソアラもそうですし、S13シルビアのK’sの5MTも凄いことになってます。もちろん全部の個体が高いわけではないのですが、内外装のコンディションと整備履歴がしっかりしている人気モデルの人気仕様は今、思いっきり高騰してしまっているというのが現実です。
――こういったモデルの相場って、将来的にも延々と上がり続けるんですかね……?
高橋さん 未来のことはわかりませんし、なんとも言えません。しかし、少なくとも下がることはないのではないかと、個人的には思っています。
良質な個体の数が日々減少していっているという事実と、「それでも素敵な旧車が欲しい」と思ってらっしゃるお客様各位の“熱”を掛け合わせて考えると、「相場が極端に下がる」という未来は見えないんですよ。
――まぁクルマの購入というのは資産価値うんぬんで考えるものではなく、「好きか嫌いか」でき決めるべきものだとは思いますが、それでも、もしも本気でこの手の車が欲しいなら、早めに決断したほうがいいのかもしれませんね……。
高橋さん そうですね。好きでもない人が無理に買う必要はありませんし、コンディションのよろしくない個体は絶対に買うべきではないとも思います。
しかし本当にお好きな人が、もしもコンディションと素性の良い個体と巡り合うことができたなら……、まぁ早めにお持ちになっておかれたほうが良いかとは思います。
押忍、了解です。本日はお忙しいなか、ありがとうございました。また内装がこれだけキレイな初代シーマって、かなり久々に見た気がします。いいモン見せていただきありがとうございました!
【画像ギャラリー】シーマ現象を巻き起こした魅力は何だったのか? 発売当時のシーマの写真をチェック!
■初代セドリックシーマ タイプIIリミテッド 主要諸元
・全長×全幅×全高:4890×1770×1400mm
・ホイールベース:2735mm
・車両重量:1640kg
・エンジン:VG30DET型2960㏄、V6ターボ
・最高出力:255ps/6000rpm
・最大トルク:35.0kgm/3200rpm
・タイヤサイズ:205/65R15
・436万5000円
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