売れなくてもいいんです!
店主 まあ、売れなくてもいいんですよ。
――へ?
店主 もちろんお客様にこういう言い方はしませんが、私の正直な気持ちとしては「もしも598万円であっても欲しいとおっしゃるなら、お譲りしても構いませんが?」ぐらいのつもりなんです。つまり、あまり売る気はないんです(笑)。なので、このまま売れないとしてもOKなんですよね。
――なるほど。御社にある他の物件は「商材」なのでしょうが、このフィガロは「個人の趣味として店に置いている」ぐらいの感じなんですね?
店主 そうかもしれません(笑)。
――ところで、フィガロの相場っていつからこんなに高くなっちゃったんですか?
店主 うーん。直接的には、昨年のコロナ前ぐらいからグッと上がってしまった感触がありますね。しかし、フィガロはもう10年ぐらい前からイギリスやオーストラリアからの買い攻勢がすごかったですから、いつかはこうなるんじゃないか……と危惧はしていましたが。
――「いつかはこうなる」とは?
店主 海外に持っていかれちゃうものだから国内の流通が枯渇して、それに伴って相場が上がってしまう――という循環ですね。だから、今は「やっぱりこうなってしまったか……」と思っています。
英国でのフィガロ人気は凄まじい!
日産フィガロは日本国内での人気も高いが、それ以上に海外でもカルト的な人気を博しているクルマだ。
英国には「FIGARO Owners Club」という巨大な愛好家クラブがあり、同クラブは今年6月26~27日、フィガロの生誕30周年を祝うビッグイベントをイングランド中部のウォルトンで開催するらしい(が、入場チケットはすでに完売!)。
そして海外の自動車オークションでも、日産フィガロならぬ「Nissan Figaro」は、常に高値で取引されるモデルの一つとなっている。
筆者が確認した限りでは、海外オークションにおけるフィガロの主な高価落札事例はおおむね下記のとおりだ。
●2021年4月、英国。5.7万kmの個体が1万304ポンド(約160万円)で落札
●2020年10月、米国。4.6万kmの個体が2万8000ドル(約308万円)で落札
●2020年3月、スイス。7.0万kmの個体が1万9040スイスフラン(約232万円)で落札
このほかにも「落札額100万円クラス」の多走行フィガロは数多く、頻繁に出品&落札されており、「海外版ヤクオク」みたいなところで、4.2万kmのフィガロが2万ドル(約220万円)で落札されたのも見たことがある。
こういった海外における「フィガロ熱」と価格から考えると、現在の高騰した国内相場というのは「日本の業者が結託して相場を吊り上げてる」みたいな話では決してなく、「グローバルな市場原理」によって必然的に上がってしまった結果であることが、見えてくる。
そして同時に「日産 フィガロが100万円ぐらいで買える時代」はもう二度とやってこないこともよくわかるため、なんとも寂しい気分になってしまうのである。
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