■ホンダ初代NSX/MTとATの価格差は500万円近い!
プロストとセナがF1マクラーレンホンダで大活躍し、日本GPがフジテレビ地上波のゴールデンタイムで放送されて視聴率が20%を超えるF1ブームのなか、「ホンダのF1技術を結集させた」を売り文句に日本初のスーパースポーツカーとして1990年9月に発表になった初代NSX。
MTが860.3万円、ATが830.7万円のプライスタグにもかかわらず、発売当初は納車3年待ちといわれ、1991年の国内販売台数は3800台を超えていた。今の若い人にこう話したら嘘つき呼ばわりされそうだが、全て本当の話。
5速MTは280ps /6800rpm、4速ATは265ps/6800rpmを発生。CPUのセッティングがMTとATで異なるうえ、MTのVTECのハイリフトカム(高回転時にバルブ開閉量を大きくして吸気量を大きくする機構)のほうがより高回転型の仕様になっているため、15psの差が生まれている。レッドゾーンもMTが8000回転からなのに対し、ATは7500回転から。
それではNSX3.0のMTとATの価格差を見ていこう。いずれも車庫保管、低走行の無事故車だ。
■5速MT
・1991年式、走行距離2.4万キロ、外装色フォーミュラレッド、支払総額1590万円
・1991年式、走行距離2.9万キロ、外装色フォーミュラレッド、支払総額1600万円
■4速AT
・1991年式、走行2.6万キロ、外装色セブリングシルバー、支払総額1110万円
・1993年式、走行1.8万キロ、外装色ベルリナブラック 、支払総額1110万円
MT車は一番人気の外装色フォーミュラレッドということもあるが、こちらもMTとATの価格差は500万円近い。
発売当時はバブル景気絶頂期で、納車が3年待ちと聞いて並行輸入車が2000万円で売られていた、と言われるぐらいだったので、クルマ好きではない人たちでも運転できるAT車も相当量流通していた。
そのため状態がいいAT車が比較的多く残っており、価格差を考えるとMTへの換装を考えたいところ。だが、こちらもミッション本体やワイヤースロットルなどメーカー純正部品が欠品しており、納期未定のものも複数あるため、現実的には相当難しいそうだ。
MT仕様のハイリフトカムも入手が難しいとのこと。実際にノーマルに近い形で換装できたとしても、500万円以上かかる可能性もあるという。
■トヨタ スープラ(JZA80型)/MTとATの価格差は400万~600万円
2001年の映画「ワイルド・スピード」で主人公の愛車だったことからカリスマ的な人気を今なお誇る、JZA80型スープラ。アメリカやアジア、中東などでの人気の高さから状態の良いクルマは国外流出していくものが多く、国内でも在庫は相当少なくなっている。当然MTが人気なのだが、ATとどれぐらいの価格差があるのだろうか。
まずはツインターボ系で比較してみよう。最もスパルタンな仕様RZのATの在庫車が残念ながら見つからず、RZのMT(新車価格448万円)とRZ-SのAT(同388万円)の比較になる。
両者の大きな違いは油圧サス、レカロシートなどの有無でエンジンは同一。今ならSがつく方が上級グレードになりそうだが、そうでないところがおもしろい。
■6速MT
・1999年式RZ、走行距離3.4万キロ、外装色スーパーホワイトII、ヴェイルサイドリアウイング他エアロパーツ、アルミホイール、エアクリーナー、マフラーなど社外品付き、ワンオーナー、支払総額1200万円
・1993年式RZ、走行距離3.9万キロ、外装色ダークブラウニッシュグレーマイカメタリック、フルオリジナル、支払総額1085万円
■4速AT
・1999年式RZ-S、走行距離3.2万キロ、外装色スーパーホワイトII、フルオリジナル、支払総額420万円
・1998年式RZ-S、走行距離1.9万キロ、外装色スーパーレッドIV、フルオリジナル、支払総額775万円
データ数が少なくスペックもやや違うので結論を出すのが難しいが、ツインターボ系だとMTとATとで400〜600万円の違いがついているのがわかる。
一方、NAのSZで見てみると、
■5速MT
・1998年式、走行距離5.0万キロ、外装色シルバーメタリックグラファイト、社外アルミホイール、支払総額520万円
■4速AT
・1999年式、走行距離3.2万キロ、外装色スーパーホワイトII、フルオリジナル、支払総額420万円
・1998年式、走行距離6.7万キロ、外装色ブラック、フルオリジナル、支払総額396万円
となっているのでMTとATの差はおよそ100万円程度。
RX-7やNSXではミッションスワップは現実的ではないという結論になったが、80スープラであればマークII JZX110系の部品を使えば、200万円程度かければ5速のMT化は可能だそうだ。逆に80スープラの6速MTはもう部品がなく、修理することも難しい状態だそうだ。
もしかするとフルノーマルのATの低走行車を420万円で買って、さまざま手を加えてMT化するのは意外と悪くないかもしれない。ただし早くしないと状態の良いものはなくなってしまう可能性が高い。
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