【そっけない無塗装ウレタンバンパーをなぜ使う?】コストの安さと利点は?

【そっけない無塗装ウレタンバンパーをなぜ使う?】コストの安さと利点は?

 普段、見慣れているクルマのバンパー。衝突時の衝撃を吸収し、車体の損傷を防ぐという役割を担っているが、最近の新車ではボディカラーと同色のカラードバンパーをほとんどの車種が採用している。

 かつて、このカラードバンパーは傷がつきやすいため、安いグレードになると無塗装になる場合が多かった。

 この剥き出しのウレタンバンパーを安いクルマの象徴として懐かしむ読者も多いのではないだろうか? 担当も経年変化して白くなったウレタンバンパーを保護艶出し剤でよく磨いていたのを思い出す。

 この無塗装バンパー、実は今でも商用車に採用されており、乗用車でも新型ジムニーやスバルXV、マツダCX-5、CX-30といったクロスオーバーSUVにも無塗装の樹脂製パーツが積極的に採用されている。

 はたして、無塗装バンパーの交換費用はカラードバンパーより安いのか? 無塗装バンパーのコストと利点について、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。

文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部

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ウレタンバンパーの素材は?

商用車プロボックス/サクシードの一部無塗装の樹脂製としたフロントバンパー
商用車プロボックス/サクシードの一部無塗装の樹脂製としたフロントバンパー

 ひとことで無塗装の「樹脂製バンパー」といってもピンと来ないオジサンには「ウレタンバンパー」と言い換えたほうがわかりやすいかもしれない。

 なにしろ樹脂といってもさまざま種類があって、1990年代以降はバンパー素材の主流はPP(ポリプロピレン)にゴム素材を添加したものになっている。

 バンパーに使われる素材は、かつては金属製だったが、1980年代以降には軽量化などのために樹脂製品が使われ始め、ポリウレタンやFRP(繊維強化プラスチック)、ABS樹脂などざまざまな製品があった時期があった。

 だが、FRPやABS樹脂は衝撃を受けて破損した際に鋭い断面ができるため、人との衝突した場合に身体を傷つけてしまう可能性があるとされ、1990年代以降から現在に至るまで、バンパー用素材としては耐衝撃性や耐熱性、成形性などを含めた製造コスト、リサイクル性に関して、PPがバンパー用の樹脂素材としては総合的に優れているとして主流となった。

 このように数十年ほどの間に、バンパーの材質や素材、製法は大きく様変わりしてきたが、ここで採り上げるのはいわゆる無塗装バンパーだ。

 製法に関して詳しく見ると、PPを素材とする事前に着色された原材料(ペレット)をそのまま金型を用いて成型する工法である、材着(材料着色)、原着(原料着色)と呼ばれる生産品が使われている。

 主に商用車で使われてきた、グレーあるいは黒っぽい色合いの表面に艶のない消し製品である無塗装バンパーに対して、塗装を施された製品がいまだにカラード(塗装済み)バンパー(トヨタ系の通称?)と呼ばれているのは、塗装/非塗装の製品が混在していた時期の名残だろうが、現在でも社外品などでは非塗装でも、表面がコーティングされて艶があるものもあるようだから、色が付いていても塗装されているとは限らないので多少なりともややこしい。

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