俊足なのはスポーツカーにとって重要な要素のひとつ。もちろんそれがすべてではないが、やはり遅いクルマをスポーツカーと呼ぶのには抵抗がある。しかし、世の中には想像以上に鈍足のスポーツカーが存在していたりする……。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、ホンダ、フォルクスワーゲン、Newspress UK、CarsWp.com
「ローパワー」=「遅い」ではないけれど…
最初に押さえておきたいのは、パワー(馬力やトルク)が低くても、それが即、遅いクルマというわけではないこと。
もちろんパワーがあればそのクルマは必然的に速くなるが、ローパワーでも車体が軽量ならばそれを生かした俊敏な加減速が行えるし、コーナリング性能も高くなる。
とはいえ一般道でコーナリングの限界まで攻めるのは難しく、どうしても停車時からの発進や高速道路での巡行性能に優れたクルマを速いと思うのも間違いではない。
そこで今回は、見た目のわりに低出力でスピードを出しにくいクルマを「鈍足車」と定義して紹介していことにしたい。
しかし、たとえ遅くても各車には独自の魅力があり、総合評価がパワーだけで決まるのではないということも忘れるわけにはいかない。
【画像ギャラリー】見た目は速そうだけど…鈍足車たちをもっと見る(21枚)画像ギャラリー速そうな見た目ならブッチギリの2モデル
●光岡自動車 オロチ
まずはそのルックスに注目してほしいのが、日本の光岡自動車が2007~2014年に販売していた2シーターモデルのオロチ。
大蛇をイメージした名称とデザインのオロチは、他社製モデルを大改造したコンプリートカーを製作していた同社がゼロから自社で作り上げたモデルで、全幅2035mm、全高1180mmのロー&ワイドフォルムが特徴になっている。
他のどのクルマにも似ていないそのフォルムはスーパーカーそのものであり、いかにも速そうなたたずまいだが、実際にはそこまで速いクルマではなかった。
エンジンはトヨタ製の3.3リッターV6が搭載され、その出力は233ps。
233psは決して低出力ではないが、見た目の迫力と1580kgという重量から考えると少々もの足りないものではあった。
実際に光岡自動車自身もこのオロチを「ファッションスーパーカー」と呼び、スピードではなく雰囲気を楽しむクルマと定義づけていた。
とはいえ、見た目に合ったパワーを期待した人は少々がっかりしてしまったであろうことは否めない。
●フィアット X1/9
イタリアの名門フィアットが1972年にリリースしたミドシップエンジンのスポーツカーがX1/9。
FFモデルのフィアット 128のコンポーネンツを利用したため、128の開発コードネーム・X1/1から数えて9番目のモデルにあたるX1/9の名称が与えられたこのクルマは、低くかまえたフォルムやエンジン搭載位置から純粋なスポーツカーだと思われた。
だが、エンジンは128と共通の1.3リッター直4という小ぶりなものであり、イタリア国内仕様での最高出力は75ps、排ガス規制のあった日本やアメリカ仕様にいたっては66psにとどまった。
このパワーではいかに軽量な車体であっても心もとなく、X1/9が速いクルマといわれることはなかった。
X1/9で用いられたFFモデルのエンジン&駆動系を使ってミドシップカーを作るという手法は、後のトヨタ MR2&MR-Sでも採用されている。
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コメント
コメントの使い方今も固定ファンの多いCR-Z、最大出力が弱いだけじゃなく、FFでこのサイズの割に重く、旧IMAで充電切れも頻発するのがネックでしたね。
しかし最もこの記事に当てはまるのは、NDでしょう。NAほどの軽さもエンジンのキレもないため、数字以上に遅い。
普通に軽に発進置いて行かれますし、サーキットでも30や40年前のローパワー車にコーナー立ち上がりで負けます。ゲームと現実は違う
見た目とのギッャプでは発売当時のS13シルビア、特に1.8LのNAモデルはカタログでも135ps(実馬力では100psちょい?) 当時のインプレでの1.6LNAスポーツモデル対決なんかで1.8Lなのに負けてましたね。マイチェンでSR20載せて良くなりましたが。でもS13は当時デザインでは抜けてましたね。今の日産には無いセンスでした。