遅っ!!! [鈍足]っぷりが話題になった悲しきスポーツカーたち

名車の陰に隠れた悲しきスポーツカーたち

遅っ!!! [鈍足]っぷりが話題になった悲しきスポーツカーたち
ホンダ CR-Z。新時代のFFハイブリッドコンパクトスポーツカーとして期待されていたが、かつてのCR-Xにあった軽量&パワフル感が薄れてしまった

●ホンダ CR-Z

 ホンダから2010年に発売されたCR-Zは、かつて人気を博したコンパクトFFスポーツカーのCR-Xをイメージさせるコンセプトを体現した新時代のモデルだった。

 CR-Xシリーズのなかでも特に人気の高かった初代&2代目と共通するフォルムのボディに、時代にふさわしいハイブリッドパワーを搭載したCR-Zには、かつてのCR-Xを知る人への訴求はもちろん、新たなユーザー層の開拓にも期待がかかった。

 しかし、CR-Zを運転した人は「思ったよりもだいぶ遅い」との感想を持ってしまうケースが多かったという。

 ハイブリッド車であるCR-Zのシステム最高出力は135psと控えめで、この時代のコンパクトスポーツとしては不十分な感は否めなかった。

 小気味よく回るVTECエンジンを生かしてキビキビと走るCR-Xの思い出を抱いてCR-Zに乗ると、どうしても遅さを感じてしまうのは致命的といえた。

 結局CR-Zは高評価を得られず、販売台数も伸びずに2015年に1代限りのモデル生命を終えてしまった。

●トヨタ スプリンタートレノ/カローラレビン(AE85型)

 ハチロクの愛称で現在も愛されるトヨタのAE86型スプリンタートレノ&カローラレビンだが、実は彼らにはほとんど同じ外観の兄弟がいる。

 それがAE85型のスプリンタートレノ&カローラレビンだ。

 スポーツ走行での性能を重視して1.6リッター直4DOHCエンジンが搭載されたAE86に対し、廉価版のAE85には先代のトレノ&レビンで使われていた1.5リッター直4SOHCエンジンを採用していた。

 このため出力はAE86の130psよりかなり低い83ps止まりであり、当然ながら速さもなかった。

 そもそもAE86自体もパワーではなく、ハンドリング特性の良さで評価されたクルマであって、それよりさらに出力の低いAE85のパワー不足感は相当なものだった。

 見た目はまんまAE86と同じだっただけに、余計に残念なスポーツカーと評されてしまった。

●フォルクスワーゲン カルマンギア

 現在でこそあまりスポーツカーのイメージがないドイツのフォルクスワーゲンだが、ポルシェと共通するルーツを持つメーカーだけに、以前はスポーツカーのラインナップもあった。

 1955年に登場したカルマンギアは、フォルクスワーゲン タイプ1(ビートル)のコンポーネンツを流用して作られたスペシャリティカーであり、ボディデザインはイタリアのギア社が担当していた。

 そのボディフォルムは優美さを感じさせる洗練されたもので、この時代のスポーツカーのひとつの頂点に達していた。

 だが、中身は大衆車のビートルであって、初期型カルマンギアのパワーはわずか30psだった。

 1950年代のこととはいえ、やはりパワー不足は歴然としていて、カルマンギアは見た目のように速いクルマにはならなかった。

 しかし、ボディデザインの良さやビートル譲りの耐久性が高く評価されて、特に北米では人気を獲得することに成功し、1975年まで生産が続けられるという息の長いクルマになった。

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