マツダが5月に発表した、2020年3月期の決算資料を見ると、新型コロナ禍の影響を受けて厳しい数字が並んでいる。
■グローバル販売台数:141万9000台(9%減)
売上高:3兆4303億円(4%減)
営業利益:436億円(47%減)
当期純利益:121億円(81%減)
※カッコ内は対前年同期比
■地域ごとのグローバル販売台数
日本:20万2000台(6%減)
北米:39万7000台(6%減)
欧州:26万4000台(2%減)
中国:21万2000台(14%減)
その他:34万5000台(16%減)
※カッコ内は対前年同期比
グローバル販売が163万1000台と過去最高を記録した2018年3月期の売上高は3兆4740億円だったが、2020年3月期のグローバル販売台数は141万9000台、売上高は3兆4303億円。
しかし、この実績を見ると、販売台数が激減した割に売上高が落ち込んでいないことがわかる。
売上高が減っていない要因として、1台あたりの単価が高い高額車であるクロスオーバーSUVの販売比率が年々上がっていることが考えられる。
マツダ車全体の内、クロスオーバーSUVが占める割合は、8年前の2012年3月期に全体の12%だったが、2020年3月期には52%に達しているのだ。
そこで、本企画では、マツダ車の52%を占めるクロスオーバーSUV、CX-3、CX-30、CX-5、CX-8の4車種の魅力を、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が改めて解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーWeb編集部 マツダ
【画像ギャラリー】CX-3、CX-30、CX-5、CX-8の違いを写真でチェック!
マツダ車の半数を占めるクロスオーバーSUV
今の国内市場は、各メーカーともコロナ禍の影響で売れ行きを下げたが、特に伸び悩むのがマツダだ。
コロナ禍の影響が生じる前の2019年における国内販売台数は、小型/普通車と軽自動車を合計して約20万4000台であった。2010年の約22万4000台を下まわる。
マツダは2012年から魂動デザインとSKYACTIV技術に基づく新しい商品戦略を開始したが、日本では思ったほど販売に貢献していないもが正直な感想だ。
そこで改めて考えたいのは販売台数の意味だ。たくさん売れるクルマは、多くのユーザーが使っている以上、優れた商品と判断できる。ダメなクルマがたくさん売れることはない。
しかし販売が低調な車種の判断は難しい。優れた商品でも、ユーザーのメジャーな用途に合わないために、伸び悩むこともあるからだ。
極端な例を挙げるとピックアップトラックは、北米では一般ユーザーにも好調に売れるが、日本国内の販売台数はきわめて少ない。
2人乗りのスポーツカーも売れない。若い人達が積極的にクルマに乗らなくなった影響もあり、1990年前後に比べて車種数と販売台数が大幅に減った。
例えば初代マツダロードスターは、1990年には約2万5000台を登録したが、2019年の現行型は約4700台だ。20%以下に落ち込んだ。
しかしスポーツカーの商品力は、着実に進化している。現行ロードスターは、スポーツカーでは珍しくカメラを使った衝突被害軽減ブレーキを採用する。ロードスターの魅力が、約30年前の20%以下に下がったわけではない。
つまり好調に売れるクルマは、価格などを含めて優れた商品と判断できるが、売れていないから商品力が低いとは決めつけられない。マツダには、商品力は高いのに、市場性が乏しく販売の伸びない車種が散見される。
今のマツダは、OEM供給を受ける軽自動車などを除くと、8車種の小型/普通乗用車を用意するが、今ではマツダ車販売全体の52%を占めるようになったのがクロスオーバーSUVだ。
そこで、今回はマツダのSUVを改めて検証、CX-3、CX-30、CX-5、CX-8の4車種それぞれの魅力を探ってみた。
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