高い人気が続くトヨタ「ランドクルーザー」ですが、その人気は車両盗難という深刻な問題にもつながっています。日本損害保険協会の調査によると、2025年に保険金が支払われた車両本体盗難のうち、ランドクルーザーが占める割合は30.0%に達しました。
盗難件数は2023年からの2年間で2倍以上に増え、2位以下を大きく引き離しています。なぜランドクルーザーはここまで狙われるのか。最新の盗難状況とその背景、オーナーが取るべき対策を紹介します。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA、LEXUS、警察庁
【画像ギャラリー】世界が欲しがる圧倒的な存在感!! トヨタ ランドクルーザーシリーズ(31枚)画像ギャラリー2年間で2倍以上に!! 盗難全体を押し上げるランクル
日本損害保険協会が2026年3月に公表した「第27回自動車盗難事故実態調査」によると、2025年に車両本体盗難によって保険金が支払われた件数は2746件でした。2024年の2499件から247件増え、増加率は約9.9%です。
車名別でもっとも多かったのはランドクルーザーの825件で、全体の30.0%を占めました。2023年の383件から2年間で約2.2倍に増えています。2位はアルファードの240件、3位はプリウスの204件です。ランクルの件数はアルファードの約3.4倍に達しており、ほかの車種と比べても被害の多さが際立っています。
車両本体盗難全体の支払件数も、2023年の2597件から2025年には2746件へと149件増えていますが、ランドクルーザーの増加数はそれを大幅に上回ります。この調査結果に限った傾向ではありますが、近年の保険金支払件数の増加をランドクルーザーが押し上げているといえそうです。
車両本体盗難1件あたりの支払保険金も増えています。車両本体盗難1件あたりの支払保険金は、2023年の237万9000円から、2024年には281万5000円、2025年には297万5000円へ上昇しました。支払件数と1件あたりの金額を掛けると、2025年の支払保険金は概算で約81億7000万円。2023年の約61億8000万円から、2年間で約20億円増えたことになります。
警察庁が公表した2025年の車名別盗難台数(※)でも、ランドクルーザーが1177台で最多でした。2位はプリウスの424台、3位はアルファードの303台で、ランドクルーザーは2位以下を大きく引き離しています。(※日本損害保険協会の825件は、調査対象となった損害保険会社が車両本体盗難として保険金を支払った件数です。警察庁の1177台とは集計条件が異なります。)
世界中で求められる価値の高さが狙われる理由に
ランクルが狙われる背景には、世界各地での高い需要があります。
ランクルは1951年の誕生以来、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」を掲げ、信頼性や耐久性、悪路走破性を磨き続けてきました。トヨタによると、ランドクルーザーは190を超える国と地域で人々の暮らしを支えてきており、累計販売台数は2025年8月時点で1215万台に達しています(レクサスLX/GXを含む)。
都市部で使われる高級SUVとしてだけでなく、道路環境の厳しい地域で人や物を運ぶ移動手段としても支持されています。走行性能や耐久性への評価が高く、中古車としてだけでなく補修用部品にも需要があることから、年式を重ねても価値を保ちやすいのも特徴です。
国内では、新車の供給が需要に追いつかず、受注停止や販売台数の制限が続いてきました。中古車も高値で取引されており、高額で換金しやすいランドクルーザーは、犯罪グループにとって狙う価値の高い車種になっていると考えられます。
警察庁も、近年は特定の車種を狙い、盗んだ車両を一時的に駐車場などへ保管した後、都道府県境を越えて解体ヤードや倉庫などへ運び、海外へ不正輸出する実態がうかがわれるとしています。さらに、メンバーを入れ替えながら犯行を繰り返すなど、組織的かつ広域的に実行される例も多く確認されているそうです。


































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